Googleインド 地方に住む女性起業家100万人に26億円の資金提供で起業やデジタル化支援
Googleインドはインドの地方に住む100万人の女性の起業家を支援していくことを、GoogleのCEOのスンダー・ピチャイ氏が明らかにした。Google.orgを通じて2500万ドル(約26億円)を提供し、インドの地方にいる100万人の女性起業家にコミュニティ支援、メンター、女性向けのプログラムを提供する。事業家だけでなく社会起業家も支援する。スンダー・ピチャイ氏は「資金を通じて、インドだけでなく世界中の働く女性や少女たちが経済的な力をつけていくことに支援していきたい」と語っていた。例えば、10万人以上の地方の女性の農業従事者にデジタルや金融知識などのトレーニングプログラムも提供する。また個人商店などを運営している女性に対しては、無料で支払アプリのGoogle Payの促進による商売の販路拡大なども支援していく。
またGoogleインドがインドのタタグループと一緒に提供している女性の社会進出支援のためのインターネットサイト「Internet Saathi」で2000人の女性の雇用も確保し、起業家に向けたプログラム提供などの支援を行っていく。タタグループ会長のラタン・タタ氏は「インドの地方に情報通信技術が普及していくことは、多くの女性にとって雇用の機会も増えます」と語っている。
起業家(アントレプレナー)というと、企業を設立してビジネスをしているイメージが強いかもしれないが、Googleが支援しようとしているインドの地方の女性の起業家のほとんどは農業従事者や個人商店で雑貨や食料品などを売っている女性だ。インドでは地方に行けば行くほど、現在でもカーストの名残があり、女性の地位は低いことが多い。またカーストや風習の名残から、先祖の代から引き継がれてきた職業に従事していることも多い。学校も初等教育しか受けていない女性も多い。新型コロナウィルス感染拡大で学校も閉鎖されており、学校に行けないから親の仕事などを手伝っている少女も多く、ますます教育機会も減ってきている。
インドではスマホも急速に普及し、富裕層はiPhoneなどを所有している。以前は中古のスマホも多く流通していたが、最近では都市部ではほとんどの人が新品のスマホを購入している。地方では中古のスマホが流通するようになったが、地方の女性や子どもはスマホを所有していない人も多い。日本では小学生でも当たり前のように使っているスマホだが、インドの地方の女性にはスマホの提供、操作、アプリの使い方などからトレーニングしていく。そのようにしてGoogleとしてはスマホを所有して、スマホを使いこなすことによって、いずれGoogle検索、YouTube視聴、Google Payの決済活用をしてもらうことによって、広告収入や手数料ビジネスの拡大につなげていくことができる。
Googleとしても将来の重要な顧客になるであろうインドの地方の女性へのスマホの浸透やビジネス支援は、自社の将来の大きな収入源になりうる。だがインドの地方はカーストの風習や文化が今でも根強い地域も多く、スマホを所有していない女性も多く、そのような地方の女性にデジタルによる起業がどこまで浸透していくだろうか。
▼「Internet Saathi」の取組紹介動画