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バチカン 国連軍縮会議で自律型殺傷兵器開発競争に反対「全ての人が安全になるまで誰も安全になれません」

佐藤仁学術研究員・著述家
ローマ教皇庁のポール・リチャード・ギャラガー司教(写真:ロイター/アフロ)

 2021年の国連軍縮会議でローマ教皇庁(バチカン)は軍縮を訴えていた。核兵器廃絶、軍備縮小、平和の脅威、生物兵器や化学兵器の使用反対、小型武器使用の反対、宇宙やサイバースペースでの軍拡競争の反対、そしてAI(人工知能)技術の発展に伴う自律型殺傷兵器の開発競争と使用の禁止を訴えて、そのような軍縮に向けた国際社会での協力の必要性を主張していた。

ローマ教皇庁では以前から人間の判断を介さないで兵器が標的を認識して自律的に攻撃を行うことが非倫理的であるという理由で自律型殺傷兵器の開発と使用には反対してきた。今回の軍縮会議でも他の兵器と同様に自律型殺傷兵器の開発と使用反対を主張してきた。他の兵器と同様に国家間での自律型殺傷兵器の開発競争をやめるように訴えている。新たな技術が軍事に利用されるのは歴史的にも必然であり、AI技術の発展によってAIの軍事分野での活用が進められていることを止めることも難しい。アメリカ、ロシア、イスラエル、欧州の主要国は自律型殺傷兵器の開発に反対していない(中国は使用にのみ反対で開発には反対していない)。そして積極的にAIを軍事に活用し自律型兵器の開発競争を行うことによって他国への抑止を効かせようとしている。また大国だけでなく、それ以外の国でも積極的にAIの軍事への活用や兵器の無人化、自律化は進められている。

 ローマ教皇庁の国務長官を務めるポール・リチャード・ギャラガー司教は「国際社会と人類が直面している平和を脅かす安全保障上の脅威に対して、この軍縮会議は人類の永遠の平和と個人の利益のために貢献すべきです。軍備の縮小と兵器開発禁止によって人類に平和と安定をもたらします。そして全世界の全ての人が安全になるまでは誰も安全にはなれません」と世界と人類の平和と友愛のために倫理的な強制力が必要だと訴えていた。

 現在、自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を表明しているのはアルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ボリビア、ブラジル、チリ、中国(使用のみ反対で開発には反対していない)、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ジブチ、エクアドル、エルサルバドル、エジプト、ガーナ、グアテマラ、バチカン市国、イラク、ヨルダン、メキシコ、モロッコ、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、パナマ、ペルー、パレスチナ、ウガンダ、ベネズエラ、ジンバブエの30か国。

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学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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