2024年パリ五輪に向けて「空飛ぶタクシー」の試験飛行を2021年6月から開始:求められる騒音対策
フランスのパリで2021年6月に「空飛ぶタクシー」の試験飛行が開始されるとイルドフランス地域圏、パリの空港を運営するADP、パリ交通公団が発表した。パリ近郊のポントワーズコルメイユ飛行場で試験飛行が行われる。「空飛ぶタクシー」(Flying taxi)とは1人から数人乗りで操縦士がいないで空を移動する乗り物。完全電動で垂直離着陸を行う。空を飛ぶから飛行機で「空飛ぶタクシー」という言葉に違和感を覚えるかもしれないが、「空飛ぶタクシー」や「エアタクシー」と言われている。
パリでは2024年にオリンピックが開催され多くの観光客が訪問してくることから、パリ五輪開催に向けて「空飛ぶタクシー」の実用化を目指して2021年6月から試験飛行を行っていくために2021年前半から離着陸場や充電スポットの整備を行っていく。ドイツのVolocopter社の「空飛ぶタクシー」を採用する予定で、同社ではドイツやシンガポールなどでも試験飛行を行っている。「空飛ぶタクシー」は世界各地で導入に向けた検討が行われており、UAEなども積極的。
2030年には世界規模での普及目指す。当局や住民からの承認のカギは騒音問題
地上での交通渋滞緩和になり、短時間で移動できることから「空飛ぶタクシー」の導入は期待されており、10年くらい前から世界中の様々な企業が「空飛ぶタクシー」の開発構想を出してプロトタイプ作成や試験飛行を行ってきたが、まだ実用化には至っていない。
規制当局の許可や完全な安全性の確認などにはまだ時間がかかるようだが、Volocopter社のファビアン・ネスマン氏は「当局からの許可には2-3年はかかるでしょう。2024年のパリ五輪で空飛ぶタクシーが無事に導入されれば、2030年以降には世界規模で空飛ぶタクシーが普及していくと思います。将来的には大都市で簡単に空飛ぶタクシーを利用できるように小型の離着陸場も設置していきたいですが、離着陸と上空を飛行する際の近隣住民の理解と承諾も必要です。特に騒音問題が当局や住民から承認と理解を得るためのカギになります」と語っていた。現状の騒音で上空を飛行したら、近隣住民からの反対は必至であろう。世界規模での本格的な導入に向けては安全性の確保もさることながら、騒音対策の技術力が求められているようだ。