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アメリカ空軍、2023年までに「空飛ぶタクシー」実用化へ テキサスでデモ飛行を披露

佐藤仁学術研究員・著述家
Hexaのデモ飛行(アメリカ空軍提供)

 アメリカ空軍が2020年8月に、テキサスで「Hexa」という名前の垂直離着陸機(eVTOL:electric vertical takeoff and landing)のデモンストレーションを初めて披露した。Hexaは1人乗りで電気で動き、操縦は不要。民間でも「空飛ぶタクシー」と呼ばれるeVTOLの開発が進められている。「空飛ぶタクシー」という用語に違和感を覚える人もいるかもしれないが英語でも"Flying Taxi(空飛ぶタクシー)"や"Flying car(空飛ぶ車)"と呼ばれており、1人乗りで操縦は不要で目的地まで運んでくれる。アメリカ空軍のHexaもタブレットとジョイスティックが搭載されており、その画面を操作して飛行できる。

Hexaのデモ飛行を見るアメリカ空軍(アメリカ空軍提供)
Hexaのデモ飛行を見るアメリカ空軍(アメリカ空軍提供)
Hexaに乗車するアメリカ空軍長官のバーバラ・バレット氏(アメリカ空軍提供)
Hexaに乗車するアメリカ空軍長官のバーバラ・バレット氏(アメリカ空軍提供)
Hexaのデモ飛行を視察したアメリカ空軍(アメリカ空軍提供)
Hexaのデモ飛行を視察したアメリカ空軍(アメリカ空軍提供)
Hexaのデモ飛行(アメリカ空軍提供)
Hexaのデモ飛行(アメリカ空軍提供)

 アメリカ空軍のHexaはテキサスに拠点を置くLIFT Aircraft社が開発。アメリカ合衆国空軍長官のバーバラ・バレット氏は「空飛ぶ車はハリウッド映画の中だけの話のように思っていましたが、だんだん現実的になってきました。アメリカ空軍は上空での戦いに備えていけるようになるでしょう」と語っていた。今後、テスト飛行を繰り返し、技術的なリスクを軽減していき、2023年の実用化を目指している。

 Hexaは移動用で、攻撃を行うミサイルなどは搭載していないようだ。Hexaを戦場でどのように活用していくのかは明らかにしていない。1人ずつしか乗れないが、戦場で負傷した兵士の輸送に活用するのだろうか。上空からの敵地の偵察や諜報活動であれば、小型無人ドローンの方が適している。

 動画を見るとHexaはかなり大きく、飛行に大きな音もするので、敵地の上空を飛行するのは目立つ。また今回のデモンストレーションではドアもないので人が乗っている時に、地上からでも上空からでも敵から攻撃を受けたら、Hexaも乗車している人間もすぐにやられてしまいそうである。戦場でない上空の移動に利用するにはスピードも上がり時間短縮も出来るので効率的で利便性が高いだろうが、戦場の上空ではどのように活用していくのだろうか。

▼アメリカ空軍がデモンストレーション飛行したHexa

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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