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米国大統領選挙民主党候補ヤン氏、キラーロボット開発に反対「生死の判断を決められるのは人間のみ」

佐藤仁学術研究員・著述家
アンドリュー・ヤン氏(写真:ロイター/アフロ)

 2020年の米国大統領選挙での民主党候補者の1人のアンドリュー・ヤン氏が2020年1月に自身のツイッターでキラーロボットの導入には反対の表明を投稿。またアメリカがキラーロボット開発の禁止に向けて国際社会でリーダーとなっていくべきであること、標的への攻撃には人間の判断が必ず入るべきと訴えた。

 民主党候補者選びはサンダース氏かバイデン氏が日本では目立って報道されているが、ヤン氏はAI(人工知能)やロボットの発展によって仕事を失う労働者が増加することを踏まえて、18歳から64歳のアメリカ国民に月1000ドルを支払うユニバーサル・ベーシック・インカム制度を提案して話題になっている。

 AIやロボットの発展は経済や社会だけでなく軍事技術にも大きな影響を与えている。特に人間には向かない3D(Dirty:汚い、Dangerous:危険な、Dull:退屈な)業務はロボットの方が適しているので、既に多くの軍隊の業務がAIを搭載したロボットに移行されつつある。一方で、人間が攻撃の判断をしないで、AI自身が判断して標的や人を攻撃してくるキラーロボットと呼ばれる自律型殺傷兵器(LAWS)の開発について倫理的な観点からNGOなどが声高に反対を訴えている。ヤン氏も「人間の生死の判断を決められるのは人間だけだ」と訴えている。キラーロボットやLAWS開発については国際社会でも議論になっているが、キラーロボット開発に対する各国の姿勢は異なり、足並みは揃っていない。

 ヤン氏がキラーロボット開発反対を訴えているツイッターの中で紹介している動画は2017年にリリースされたもので「Slaughterbots」(虐殺とロボットをかけた造語)というタイトルで、自律化した小型ロボットが人間を攻撃してきて社会がパニックに陥るというストーリーで、ロボット兵器の恐怖を訴えている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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