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インド、動画アプリ「Tik Tok」配信禁止「性的表現と暴力を増長させる」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

インドで1億人以上が利用の人気アプリ

 インドのタミル・ナードゥ州チェンナイの高等裁判所は2019年4月に、動画ソーシャルアプリ「Tik Tok」(ティックトック)が「性的表現と暴力を増長する」という理由で配信を禁止した。配信禁止は暫定命令と報じられている。

 Tik Tokとは中国発の動画ソーシャルアプリ。オリジナルサウンドをバックに、コミカルなショート動画を撮影しSNSで拡散して楽しむアプリで、日本でも若者を中心に人気がある。

 インドのチェンナイ高等裁判所の命令を受けて、GoogleはGoogle PlayストアからTik Tokを削除。AppleもApp StoreからTik Tokを削除。スマホが普及しているインドでもTik Tokは若者を中心に大人気。インドでは既に2億4000万ダウンロードされており、月間アクティブユーザー数が1億2000万人という人気のアプリ。

「インドの10代の若者のカルチャーが劣化してきている」

 インドでは「ボリウッド(ボンベイとハリウッドの造語)」と呼ばれているインド映画が人気があり、それらの音楽やダンスの映像に合わせての動画が人気。動画の中にはわいせつなもの、暴力を増長する内容も多く、当局や政治家も若者への影響を懸念を示していた。情報技術大臣のManikandan氏は「インドの10代の若者のカルチャーが劣化してきている」とインタビューで懸念を表明。

 Tik Tokを開発しているByteDanceはインドでのダウンロード禁止に対して「毎日、Tik Tokでコンテンツを作成して楽しんでいたインド人の権利を制限する」と最高裁判所に申し立てたが、棄却された。

インドネシアでも同じ理由で昨年にTik Tok禁止

 インドネシアでも2018年7月に、性的表現と宗教冒涜を懸念するという理由でTik Tokのダウンロードが禁止された。Tik Tokは世界中の若者に人気のアプリで、音楽に合わせて動画をスマホで簡単に撮影して、あっという間に拡散することができる。だが、Tik Tokで作成された動画コンテンツが性的な表現と暴力を増長させると懸念を示している声が世界中で高まっている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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