Apple、中国でのiPhone不振で下方修正:本当の勝負は1月~2月の旧正月セールでの売れ行き
クックCEOは以前から新興国経済には懸念
Appleが2019年1月2日に、2018年10月~12月期の売上高予想を下方修正した。その要因として特に中国でのiPhoneの売上が大幅に減少したことと、バッテリー交換値下げによるiPhoneの買い替えが伸び悩んだことをあげた。ティム・クックCEOは中国経済の低迷を強調し、「中華圏市場のここまでの落ち込みは予想外だった」とコメント。
欧米だけで売上の7割を占めているAppleだが、いつまでも欧米や中国市場に依存していられない。2018年7月~9月の業績発表をした時にもクックCEOはインドやトルコ、ブラジルなど新興国市場のマクロ経済が軟調になっていることから、新興国市場での売上に対しては慎重な見方を示していた。
中国で薄れたiPhoneブランドとファーウェイCFO逮捕での反米意識
Appleの売上の7割は欧米だが、中華圏(中国、台湾、香港)での売上も2割を占めており重要だ。特に中国での売れ行きはAppleの業績を左右することはいうまでもない。ただし、中国市場でのAppleの存在感は以前ほど大きくない。5年くらい前までは、見栄を張ってiPhoneをもつ中国人も多かったが、最近の中国人のスマホ選びは実利主義的で、iPhoneやAppleのブランド力も以前ほどない。
さらに、中国の通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が、2018年12月にカナダで逮捕されたことによる中国人の反米意識も強くなった。そのため、2018年のクリスマスシーズンのセールではiPhoneを購入しないでファーウェイのスマホを購入した中国人も多かった。中国人にとって、以前ほどiPhoneが魅力的なスマホではなくなっているので、ファーウェイでも十分なのだ。
旧正月セールでの売れ行きに注目
Appleが2018年10月~12月期の業績を下方修正したことのインパクトは大きい。特にAppleの売上の60%以上がiPhoneだが、一番売れるのは10月~12月期のクリスマスシーズンだ。日本では卒業や入学を控えた3月~4月がスマホが売れる時期だが、海外ではクリスマスシーズンが一番よく売れる。
そして、中国市場ではクリスマスシーズンも重要だが、もっとも売れるのは1月~2月にかけての旧正月のセールだ。これから1か月で中国市場において、iPhoneがどの程度売れるかによって、本当に中国市場でのAppleが減速しているかどうかを見極めることができる1つのヒントになりうる。