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バチカン、キラーロボットの登場に懸念「今すぐに対応していくことが重要」:国連オブザーバーにて

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 国連にオブザーバーとして参加しているバチカン市国の代表が2018年11月に「自律型殺傷システム(LAWS)」の登場に対して懸念を示した。いわゆる「キラーロボット」ととも呼ばれており、人工知能とロボットの発展によって、ロボットが自律して自らの判断で人間や標的物を攻撃してくることが懸念されている。SF映画の世界の話のようだが国連において、各国の代表者が集まって真剣に議論されている。

「キラーロボットは戦争の本質を変える」

 ジュネーブで開催されていた国連の会議でバチカン代表の大司教のIvan Jurkovic氏は「キラーロボットは戦争の本質を変えることになりえます。我々の社会において人間性とは何かという問いを投げかけています。バチカン(聖座)は、キラーロボットに対していくつもの懸念を示しております。キラーロボットへの対応については、いくつものプロポーザルが提出されており、マルチラテラルな取組みがなされていますが、共通しているのは、ロボットの操作と判断には人間が介在できるようにするということです。軍拡競争を防止するためにも、未来の戦争からキラーロボットや自律型殺傷兵器システムが登場しないようにするためにも、今すぐに対応していくことが重要です」と語った。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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