Yahoo!ニュース

スマホが人類を襲撃してくるインドのSF映画『2.0』:あたかもキラーロボットの前兆

佐藤仁学術研究員・著述家
(「2.0」提供)

 インドは米国ハリウッド以上に映画が毎年多く制作されている。「ボリウッド」(ハリウッドとボンベイの造語)とも呼ばれており、インド人は映画が大好きだ。

 インドで2018年11月29日に公開される映画『2.0』が話題になっている。インド中で使われているスマホが人の手を離れて、大群となって人間に襲いかかってくるというSF映画だ。日本人がイメージするような音楽やダンスでいっぱいのインド映画ではなく、ハリウッドのSF映画にちかい映像や内容だ。2010年に公開された映画『ロボット』の続編。

▼インド映画「2.0」(オフィシャルトレーラー)

(「2.0」提供)
(「2.0」提供)
(「2.0」提供)
(「2.0」提供)

インド人の生活にも欠かせないスマホ

 インドでは現在では一定以上のカーストの人々であれば、ほとんど誰もがスマホを所有しており、生活の必需品だ。Googleで検索して、FacebookやMessengerで情報収集しており、YouTubeで動画を楽しんでいる。買い物もスマホでできる。Googleはインドの全駅で無料Wi-Fiを提供している。スマホがないとインド人も生活ができない人がほとんどだ。

 そのインド人にとっても生活に欠かせないスマホが集積されてロボットになって人類を襲ってきて、それにヒーローが立ち向かうという内容なので、話題性とインド人の関心も高い。日本での公開は明らかにされていない。

キラーロボットの前兆のような「2.0」

 「2.0」は映画なので当然、非現実的なストーリーだ。一方で、現在、国際社会では「自律型殺傷兵器システム(Lethal Autonomous Weapons System:LAWS)」と呼ばれている、いわゆるキラーロボットが、自律して人類を襲撃してくるのではないかという、あたかもSF映画の世界のようなフィクションが現実化するのではないかという懸念が高まっている。

 人工知能(AI)とロボットの発展がキラーロボットの登場と暴走になるのではないかと多くの科学者やNGO団体なども懸念を表明している。そしてキラーロボットが新たな安全保障問題として国連などでも真剣に議論されており、多くの国がキラーロボットの開発に反対している。インドの新作SF映画「2.0」はキラーロボットの前兆を表しているのかもしれないと思えてくる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事