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米国ダラスのホロコースト博物館、VRでアンネ・フランクの隠れ家を体験

佐藤仁学術研究員・著述家
(Anne Frank house提供)

 米国ダラスにあるホロコースト博物館では2018年9月からアンネ・フランクの隠れ家での生活を紹介した「Let Me Be Myself: The Life Story of Anne Frank」の展示を開始した。アンネ・フランクはナチスドイツのユダヤ人迫害していた、いわゆるホロコーストの時にオランダのアムステルダムにある屋根裏部屋に隠れて生活し、そこで書いていた日記は「アンネの日記」として日本だけでなく世界中で読まれている。アンネ一家は密告され、アンネは収容所で死亡した。

 アンネ・フランクが隠れていたアムステルダムの場所は現在でも「アンネの家」として、世界中から多くの観光客が集まっている。アンネの家では世界中でアンネ・フランクの紹介を行っており、今回はダラスにあるホロコースト博物館で、アンネの生活や生涯を紹介している。

 今回のダラスの展示では、バーチャル・リアリティ(VR:仮想現実)を活用して、アンネの隠れ家での生活を15分間体験することができる。VRはForce Field VRとOculus Studiosが提供。写真や映像だけではなく、VRを通じてアンネの隠れ家での当時の生活を疑似体験することができる。

▼「アンネの隠れ家」をVRで体験するイメージ動画(Anne Frank house)

「現代の差別やヘイトスピーチ問題を考えてもらいたい」

 ダラスのホロコースト博物館の館長のMary Pat Higgins氏は「アンネ・フランクのストーリーは時代を問わないで、私たちに人間の愛や真実は何かを訴えています。21世紀の現在でも、人種差別問題はなくなっていない。アンネが世界で最も暗い時代にポジティブに生きてきたことは、現代の私たちにも生きる力を与えてくれます」とコメントしている。

 アンネ・フランクセンターのKatherine Meade氏は「彼女は普通の10代の少女でした。その普通の少女がどのような想いで、隠れ家で生活をしていたのかをVRを通じて、アメリカの人々にも知ってもらいたい」とコメントしている。また、ダラス観光協会会長のPhillip Jones氏は「アンネ・フランクの生活をVRを通じて誰もが経験することができます。このVRを体感することによって、アンネの想いを感じ取ってもらい、現代の差別やヘイトスピーチ問題を考えてもらいたい」と語っている。

▼アンネの家が提供している「Let Me Be Myself: The Life Story of Anne Frank」

ダラス・ホロコースト博物館

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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