コンゴ民主共和国、ユニセフ「エボラ出血熱の感染拡大を防ぐには、情報提供と社会の関与が鍵」
エボラ出血熱の集団発生しているコンゴ民主共和国で、ユニセフ(国連児童基金)では衛生環境改善のために水、石鹸、防水シート、バケツ、塩素など支援物資を提供している。同国では現在45人の感染が疑われ、患者のうち25人が死亡している。なお2014年から2016年に西アフリカで発生したエボラ出血熱では当時28000人以上が感染し、11000人以上が死亡した。
エボラに感染しやすいのはタクシーの運転手と子ども
同国でエボラ出血熱が集団発生して以来、ユニセフは、エボラ出血熱の影響を受けている地域の80万人以上を対象として、情報提供を行う啓発キャンパーンを実施してきた。「死ぬ危険のあるウィルスとの接触をいかに避けるか」という命と生活に関わる情報を、すでに30万人以上の人々に提供してきた。具体的には「きれいな水で手洗いをする」といった基本的なことだが、同国では容易ではないことも多い。実際に学校に手を洗うためのタンクを持ち込んで子どもたちが教室に入る前に手洗いをさせている。
エボラのウィルスに感染しやすいのは、多くの人と接する機会があるタクシーの運転手だ。また、感染者あるいは感染が疑われる人の10人に1人は子どもで、子どもはエボラの集団発生に深刻な影響を受けやすい。ユニセフでは2500人以上の教員と53000人の生徒たちに感染予防対策や衛生管理に関する意識向上に取組んできた。エボラに感染した人と接触した子どもたちやその家族は、心理的なケアと支援も必要とされている。
「エボラの感染拡大を防ぐためには、情報提供と社会の関与が鍵」
ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所代表であるジャンフランコ・ロティグリアーノ氏は「エボラの感染拡大を防ぐためには、情報提供と社会の関与が鍵となる。私たちは西アフリカでのエボラの流行から、いかにして安全を保つかという情報を共有する上でコミュニティの積極的な関与が必要不可欠で、またそれが結果的に病気の感染拡大を止める手助けになるということを学んだ」と語っている。
またエボラ予防接種キャンペーンも実施しており、予防接種においてもコミュニティ活動は重要。エボラの集団発生を防ぐために、影響を受けている3つの保健区(ムバンダカ、ビコロ、イボコ)で感染者と接触した1100人以上の保健員に対してワクチンを投与した。予防接種キャンペーンでは、保健員や感染者に接触した人々に対するカウンセリング、ならびにワクチンと投与方法に関する情報を提供することを目的としている。コミュニティでは最もエボラに感染する可能性が高い、保健員、感染者に接触した人々、感染者に接触した人と接触した人々に対する予防接種が無料で提供されている。
さらにユニセフでは学校、保健施設、コミュニティ、ならびに港、市場や事務所などの49の公共施設に手洗い場用の資材やレーザー体温計を設置している。レーザー体温計は、感染の疑いがあるかもしれない人たちの体温を計ることに有益だ。