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ドイツ軍の中将「キラーロボットは導入しない。ドイツのポジションは明確だ」ミュンヘン安全保障会議にて

佐藤仁学術研究員・著述家
Ludwig Leinhos氏(右)(写真:ロイター/アフロ)

 人工知能(AI)が発展しロボット兵器が自らの意思を持って判断して人間を攻撃してくる、いわゆる「自律型致死兵器システム(LAWS)」の脅威について国際社会では真剣に議論されている。

 2017年11月には、国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組で公式専門家会議が開催され、日本からは外務省や防衛省などが参加している。自律型致死兵器システム(LAWS)は「キラーロボット」とよく呼ばれている。

「ドイツのポジションは明確だ」

 2018年2月にドイツのミュンヘンで開催されていた「第54回ミュンヘン安全保障会議」においてドイツのサイバー情報軍(Cyber and Information Space Command)のLudwig Leinhos中将は「我々ドイツのポジションは明確だ。ドイツはキラーロボットを導入しない」とコメント。

 また中将は、キラーロボットの導入は行わないが、他国がそのような兵器で攻撃してきた時の国家防衛の準備はしていることも明らかにした。

 キラーロボットは自らの意思で人間に攻撃をしてくる自律型ロボットだけでなく、AIで画像認識などを行うことによって、攻撃や防衛を行うロボットもある。例えば、ロボットの前に登場した特定の民族の顔の特徴などを認識して、攻撃対象の民族とロボットが判断したら、人間を攻撃をしてくることが想定される。

 元デンマーク首相・元NATO事務総長のアナス・フォー・ラスムセン氏は同会議で開催されたパネルで、キラーロボットについて「戦争におけるAIとロボットは戦闘スピードが劇的に速くなる。近い将来、ロボット兵器の大群が国家や人間を襲ってくるシーンを見ることになるかもしれない。ロボットは簡単に開発され、さらにロボットは人間のように疲れることがない。時代の流れが速く、このような新たな技術発展に追いつけるように、意思決定のスピードも刷新しないといけない」とコメントしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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