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ドイツ、Facebookにアウシュビッツを愚弄する投稿:ネオナチの男性に18か月の懲役判決

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Facebookにアウシュビッツ強制収容所のミニチュア写真に攻撃的なコメントを書いて投稿したドイツの32歳の男性が、18か月の懲役判決を言い渡された。この男性はいわゆるネオナチ信奉者だそうだ。

「非常に残念なことだ」

 ドイツ東部のホーエンシュタイン=エルンストタールで裁判が行われ、裁判官のManfred Weber氏は「アウシュビッツの生存者を愚弄している。非常に残念なことだ」と述べている。アウシュビッツはナチス時代にユダヤ人ら約110万人を殺害したポーランドに設置された強制収容所。

 ドイツではヒトラーやナチスに関わるシンボルの使用やヒトラー式の敬礼、ホロコースト否定等は禁じられている。2017年8月には、36歳と49歳の2人の中国人観光客が国会議事堂前で「ハイル・ヒトラー」とナチス式敬礼をしたポーズでスマホで写真撮影をしていたら、ドイツの警察に逮捕された。

 男性のFacebookへの投稿は既に削除されている。ドイツでは2017年6月に、ソーシャルメディア(SNS)がヘイトスピーチの投稿を削除しない場合には、最大5000万ユーロ(約66億円)の罰金を科す法案が可決された。Facebookはドイツで増員してヘイトスピーチ削除の体制を整えている。

 明らかにヘイトスピーチとわかる内容の投稿は24時間以内に、査定が必要な投稿は1週間以内に削除しなければならない。今回のように主義主張が明確で、明らかに違反とされる内容であれば、即座に削除できる。だが、最近では隠語を使ったような、わかる人にしかわからない投稿も増加しているようだ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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