ユニセフ:バヌアツで太平洋地域初、ドローンによる「ワクチン輸送」テスト開始
南太平洋のバヌアツ政府とユニセフ(国連児童基金)は2017年8月からドローンによるワクチンを届けるテストを実施する。ドローンによるワクチンの輸送はアフリカでは既に実施されているが、太平洋地域で初めて。ドローンでバヌアツの遠隔地のコミュニティに命を守るワクチンを届けるテストを実施し、ドローン輸送の能力、効率、効果を検証する。
テストは3つのフェーズで実施。2017年8月には、技術的なテストとしてエフェテの島々の上空を飛行し様々な技術的性能の基準に沿って評価。2018年2月と3月には、対象とする島々の保健員に、ワクチンを届ける方法のプロポーザルを提出してもらう。2018年には、より長期間、定期的な医療物資の輸送にドローンを利用する試験を実施する予定。 第一フェーズに参加するのはVolans-i inc.、Martek Marine Ltd、JAR Aerospace Pty Ltd、Colugo Systems、Finish the Call LLC、Firetail Bormatec JVの6社。
遠く離れた島にもドローンでワクチン輸送
第1フェーズではエフェテ島北部の旧タカラ滑走路から、沖合の島々エマオ 、ペレ、ヌグナの上空を飛行し、54キロメートル離れたアンディン湾上に設置された標的を狙ってパッケージを投下。その後ドローンはタカラ滑走路に戻り着陸する。島嶼間を結ぶ長距離飛行となるドローンだ。
バヌアツ保健省の事務次官George Taleo氏は「バヌアツはその地形、物流の難しさ、高額な費用によって地域の保健施設に必要不可欠な医療物資を常備することが課題となっています。このテストは、脆弱なコミュニティに保健ケアを提供する上での課題を克服するための選択肢を開拓するという意味で重要なステップになります」とコメント。
ユニセフ東アジア・太平洋地域事務所代表シェルドン・ヤッテ氏は 「ユニセフはバヌアツ政府と遠隔地のコミュニティへのワクチンを確実に提供するために取り組んでいく。現状では届けることが困難な地域にいかにして医療物資をより信頼できる形で運べるか、を検討する最初のステップと考えています」とコメント。
ユニセフによると、バヌアツはサイクロンの被害なども多く、緊急支援時に物資の輸送がずっと課題になっていた。ワクチンだけでなく多くの物資を離れた島に迅速に届ける必要があり、ドローンによる輸送にユニセフは強い期待を寄せているそうだ。なお、バヌアツはサイクロン被害でも有名だが、ドローンは悪天候時の飛行は不可能。