Amazon、電子書籍を無償で世界中の学校へ寄付「Kindle Reading Fund」
Amazonは2016年8月に、途上国を中心とした「世界中の人々が誰でも簡単に読書ができるように」という目的で、Kindle電子書籍端末、Kindle Fireタブレット、そして電子書籍のコンテンツを、それらを必要としているコミュニティに対して無償で提供する「Kindle Reading Fund」プログラムを立ち上げた。
途上国でも読書は電子書籍の時代へ
またAmazonは電子書籍NPO法人Worldreaderと連携して開発途上国の学校に電子書籍を無償で提供していく。同NPOがケニアで行っている活動「LEAP2.0」を通じて、ケニアの61の公共図書館に数千台のKindle端末を寄付した。50万人以上の人がKindle端末で読書をしているとのことだ。Worldreaderは2010年に設立されたNPOで、アフリカを中心に世界の貧困地域の学校や図書館に既に2万台以上の電子書籍端末、300万冊の電子書籍を配布しており、400万人が電子書籍で読書できるようになっている。Amazonでは途上国だけでなくアメリカ国内の病院やNPOにも電子書籍やKindleを寄付してきている。
世界中でインターネットのインフラが構築されてきており、途上国であっても学校や図書館のような施設ではネットにアクセスできる。そのため電子書籍端末であれば、世界中の電子書籍が簡単に入手して読むことができるようになる。地域によっては電気設備が良くないので、充電に時間がかかるかもしれないが、それでも電子書籍端末が導入されれば、従来の「紙の本」の何倍もの書籍に触れることができるようになる。
「世界の知」へ簡単にアクセス
現在では貧困地域でも廉価版のスマホや中古端末が大量に流通しているので、スマホがだいぶ普及してきた。プリペイドが主流なので、利用しなければ毎月の料金がかからないので、子供でもスマホを所有していることが多い。そのスマホを通じて世界中のニュースや動画など、あらゆる情報にアクセスすることもできるようになった。しかしそれは情報であって、書物ではない。電子書籍を通じて、貧困地域の子供たちでも、今まで接することができなかった「世界の知」へ簡単にアクセスできるようになる。
途上国では固定電話が普及しないで、いっきに携帯電話が普及したが、書物においても学校の教科書以外は「紙の本」をスキップして、いきなり電子書籍から読むという人が多くなるだろう。途上国でも学校の教科書も近いうちに電子書籍に置き換わるだろう。現在は電子書籍端末は学校や図書館への寄付だけのようだが、端末の低価格化も進んでいるので、いずれは貧困地域の各個人へ無償で提供されるようになるかもしれない。