Google、インド全土の400駅で無料Wi-Fi提供:サービス利用増に向けて重要なインフラ整備
Googleのサンダー・ピチャイCEOは、インド全土の400の鉄道駅にWi-Fiを敷設することによって、高速インターネットへのアクセスを可能にすることを自身のブログで明らかにした。2015年9月27日、訪米中のインドのモディ首相はGoogleオフィスを訪れ、インド出身のサンダー・ピチャイCEOと会談した。Googleはインド政府が推進しているインドのデジタル化を促進する「Digital India」を支援していくことも明らかにした。
■2016年末までに、まずインドの100駅で無料Wi-Fiを提供
サンダー・ピチャイCEOによると、人口約13億人のインドではここ何年かで1億人以上が初めてインターネットにアクセスできるようになり、インドでは約3億人がネットにアクセスできるようになったとのことだが、まだ10億人以上がインターネットにアクセスできないでいるとのことだ。
Googleは、インド鉄道(Indian Railway)と鉄道向け通信事業者Railtelと協力して、まず2016年末までに利用者の多い100駅にWi-Fiを敷設していく。この100駅での1日1,000万人以上が利用している。そして順次Wi-Fiが利用できる駅を拡大して、最終的にはインド全土で400駅で高速インターネットにアクセスできるWi-Fiを敷設していき、無料で提供される予定。利用者規模からみると世界最大規模のWi-Fi敷設であるとのこと。
■Googleサービスを利用してもらうためのインフラ整備
Googleの収入の90%以上は広告である。広告収入をさらに増加させるためにも多くの人に利用してもらう必要がある。そして多くの人が利用することによって、利用者の情報も吸い上げることによって、利用者に応じた広告配信も行うことができる。
インドではスマートフォンも急速に普及しており、MicromaxやLavaなどの地場メーカーから多くのAndroidスマートフォンが出荷されている。インドではスマートフォン利用者が増加しているものの、それでもまだ高いということでフィーチャーフォンで十分という人もいる。それに対して、Googleはインドで2014年から「Android One」という新興国向けの廉価版スマートフォンも投入しており、約100ドルで販売しており、積極的にGoogleサービス利用の促進を行っている。さらに、英語だけでなくインドのローカル言語への対応や、今後はオフラインでも利用できるYouTubeやGoogleマップの提供も検討している。
端末やサービスを揃えても、肝心なインターネットへアクセスするためのインフラが整備されていなければ、Googleのサービスは利用してもらえない。Googleとしてはいくらサービスを充実し、それらサービスで広告収入を期待しようとしても、アクセスしてもらい、Googleのサービスを利用してもらわないとどうしようもない。
さらに駅は情報の宝庫である。誰がどこの駅を利用しているかなど通勤・通学経路の把握によって、利用している駅周辺のローカル広告や情報をカスタマイズして配信することも可能である。
そのためには、まずはインターネットにアクセスしてもらうインフラ整備が重要である。さらにそのインフラに無料または廉価でアクセスできることが更に重要である。インドではデータ通信もプリペイドで利用している人が多いことから、データ通信費用にもセンシティブである。無料でWi-Fiが利用できることにメリットはインド人にとっても大きく、Googleの提供サービスへアクセスする機会も増えるだろう。人口約13億人のインドはGoogleにとっても、まだまだ開拓の余地の大きい市場である。
但しGoogleがまずWi-Fiを敷設する最初の100駅はインドの利用者の多い混雑した駅である。インドの駅はとにかく人が多い。慣れない日本人は恐怖すら感じる。インド人が駅で無料でWi-Fiにアクセスできることから、スマートフォンばかり見ていることによって駅で接触事故や既にインドでも問題になっている「歩きスマホ」などの新たな問題が発生するかもしれない。