BlackBerry、初のAndroidスマホ販売へ:BlackBerryの救世主になるのか
BlackBerryは2015年9月25日、第2四半期(2015年6~8月期)の業績を発表した。
■スマホ販売は減少しているが、大幅なコスト削減で黒字
売上高は前年同期比で47%減少の4億9,000万ドル(約600億円)。前年同期は2億700万ドルの赤字だったが、今期の最終損益は5,100万ドルの黒字に転換したが、その背景は大幅なコスト削減策だ。スマートフォンの販売は低調で同期の販売台数は約80万台だった。第1四半期(3〜5月)は約110万台販売していた。端末の平均販売価格(ASP)は240ドルだった。
■BlackBerry初のAndroidスマホ「PRIV」
業績発表と同日、BlackBerryは、初のAndroidスマートフォン「PRIV」を開発していることを明らかにした。具体的な販売日、地域、価格などはまだ明らかにされていない。「PRIV」はPrivacy(プライバシー)に由来し、BlackBerryの強みであるセキュリティ機能を強化して、他に数多あるAndroidスマートフォンとの差別化を打ち出していくようだ。なおBlackBerryでは今後の端末をすべてAndroidスマートフォンにシフトするのではなく、従来からの「BlackBerry端末」も継続していく。
■BlackBerryは復活するか?
2014年の1年間に世界で出荷されたスマートフォンは13億110万台だった。そのうち80%以上がAndroidである。そして残りのほとんどがiPhoneだ。BlackBerryの出荷は全体の中で1%にも満たないので、もはや存在感はほとんどなくなってしまった。かつてはオバマ大統領も所有しており、アメリカやインドネシアで人気があった。アメリカでもiPhoneに圧倒されてBlackBerryの存在感は小さくなってしまった。
特にインドネシアではBlackBerryの人気は高かったが、現在では安価なAndroidスマートフォンが大量に流通していることからBlackBerryを利用している人はほとんどいなくなってしまった。インドネシアの若い人にとってBlackBerryは「おじさんかボスの利用する端末」というイメージが強い。そのためBlackBerry専門の中古端末ショップもあるが、若者はそれ程多くない。かつてBlackBerryを利用していた人も買い替え時には安価なAndroidを選ぶことが多い。
またBlackBerry人気の要因の1つにBBM(BlackBerry Messenger)というメッセージサービスがあった。しかし現在ではWhatsAppやLINE、Messengerなど多くのメッセンジャーアプリが登場し、世界中で利用されるようになったため、BBMに依拠する必要がなくなった。そしてそれらのメッセンジャーは世界中のどのようなスマートフォンでも対応しているため、安価なAndroidスマートフォンがあれば十分になった。
BlackBerryがAndroidスマートフォンを開発して販売していくが、セキュリティがウリでは一部の法人市場では需要があるかもしれないが、価格競争が激しい一般市場では苦戦が強いられるのではないだろうか。