インドネシア、LTE対応スマホが四半期出荷で初の100万台突破:大切なのはLTEより電池とカメラ

インドネシアでは4G(LTE)対応スマートフォンは国産部品の使用率を2017年1月までには30%にするように当局が設定している。国産部品を30%使用していない端末はインドネシアでの販売を認めない方針を固めている。そのインドネシアで2015年第2四半期(4月~6月)に販売されたスマートフォンのうちLTE対応端末が、四半期(3カ月)の出荷で初めて100万台を突破したことをCounterpointが明らかにした。

■「スマートフォンのAir Asia」を目指しているインドネシアの「フィーチャーフォンの王様」Evercoss

スマートフォンの出荷で一番多いのはサムスンだが、インドネシアでは地場メーカーが台頭している。フィーチャーフォンも含めた携帯電話全体の出荷では地場のEvercossが1位である。同社はインドネシアで「フィーチャーフォンの王様」であるEvercossのCMOのRicky Tanudibrata氏は、「Evercossは、スマートフォンのAir Asiaを目指している」とインタビューで述べている。同氏はEvercossのポジショニングと市場での役割をローコストキャリア(LCC)のAir Asiaに例えて、インドネシアの多くの人にとって重要なセグメントであると位置付けている。そして実際に、Evercossはフィーチャーフォンだけでなくスマートフォンでも台頭してきて出荷シェアで、サムスンに次いで2位である。これからも低価格路線を維持しつつも、サムスンに対抗したイノベーティブな端末を開発していくことに意欲を見せている。

(店頭には地場メーカーのスマホがたくさん並んでいる)
(店頭には地場メーカーのスマホがたくさん並んでいる)

インドネシアではiPhoneは富裕層しか購入できない「高嶺の花」だから、日本のように新製品が登場するだけで大騒ぎするようなことはない。そしてスマートフォンはサムスンであれ、地場メーカーであれ、中国メーカーであれ大きな差はない。レノボ、OPPO、Xiaomi(小米)といった中華系のメーカーの台頭も著しく、スマートフォン出荷全体の16%が中華系メーカーである。

携帯電話全体の出荷ではかつてのフィーチャーフォンの時代にNokiaが強かったことからマイクロソフトもランクインしているが、シェアは大きく減少してついに10%以下となってしまった。

▲インドネシアの携帯電話全体の出荷推移 Counterpoint資料を元に作成
▲インドネシアの携帯電話全体の出荷推移 Counterpoint資料を元に作成

IDCによる2014年にインドネシアで出荷されたスマートフォンは2,480万台で、2015年は3,000万台を突破すると予想されている。

▲インドネシアのスマホの出荷推移 Counterpoint資料を元に作成
▲インドネシアのスマホの出荷推移 Counterpoint資料を元に作成

■インドネシアのスマホで重要なのはLTE対応よりも「電池の持ち」と「カメラ」

インドネシアのスマートフォン市場で重要なのは、電池の持ちとカメラだ。たしかにLTE対応のスマートフォン端末は増加しているが、まだLTEのカバレッジはそれほど多くはない。LTEの特徴である高速通信はまだ期待できない。インターネットを行うなら、3GかWi-Fiがあれば十分だ。そしてコンビニやカフェ、大学など多くの場所で無料(または安価)でWi-Fiが利用できて、そのような場所でスマートフォンでインターネットにアクセスしている。

ジャカルタではほとんどの若者がスマートフォンを利用してLINEやMessengerといったメッセージやFacebook、Twitterなどを楽しんでいる。自らもスマートフォンのカメラで撮影した写真や動画をそれらメッセンジャーやソーシャルメディアにアップしている。自撮り棒「セルフィー」も多くの若者が持っており、スマートフォンで撮影している。さらに芸能人やアイドルもTwitterなどで情報発信をしており、彼らの情報をスマートフォンでいつもチェックしている。

スマホの自撮りをアップするJKT48メンバー (C) JKT48 Project
スマホの自撮りをアップするJKT48メンバー (C) JKT48 Project
イベントではファンがスマホで撮影している。(C) JKT48 Project
イベントではファンがスマホで撮影している。(C) JKT48 Project

インドネシアで大人気のアイドルグループJKT48のメンバーもスマートフォンで撮影した写真や動画をTwitterなどにアップしてファンとコミュニケーションをしている。JKT48のイベントではファンらもスマートフォンで写真や動画を撮影して楽しんでいる。インドネシア人は日本人よりも写真や動画が大好きでのコミュニケーションが大好きである。

LTEに対応していなくとも電池の持ちが良くて、きれいに撮影できるカメラが搭載されたスマートフォンの方が重要である。そしてLTEに対応していることで電池の持ちが悪い端末は受け入れられない。若者の多くが中古端末を利用していることが多いので、Wi-Fiが利用できるカフェや大学などでネットにアクセスしている時、そこにある電源を利用していることが多い。外でのイベントなどで電池がなくなって写真が取れない、コミュニケーションできないことはインドネシア人にとっても大きなストレスである。地場メーカーMitoなども電池の持ちをウリにした端末のテレビCMをやって宣伝していた。電池の持ちは端末の大きな差別化になっている。

これからインドネシアでもLTEのネットワークも整備され、LTE端末も低価格化してくることであろう。たとえLTEのネットワークと端末が発展したとしても、スマートフォンでのプライオリティが「電池の持ち」と「カメラ」であることに変わりはない。