パラリンピックからあなたへのプレゼント。

リオパラリンピック開会式 日本選手団の入場。写真提供:カンパラプレス

リオオリパラ。パラリンピックこそがメインステージ。

オリンピックの興奮から2週間。現地では集客の心配をしているパラリンピックでした。しかし世界的な平和と人類愛のイベント檜舞台としてはオリンピックよりパラリンピックの方がよりふさわしいのではないでしょうか。障害のある選手が大変な苦労をして頑張っているから…もちろんそれもありますが、そういうスポ根プラス人情ドラマ的なことではない、観る人、関わる人にも大きなプレゼントをくれるイベントだからです。そのプレゼントとは何か?それをご報告します。

日本選手団結団式&壮行会から
日本選手団結団式&壮行会から

パラリンピアンの闘いはチーム戦

この見出しの意味は障害者だから手助けがいるということではありません。オリンピック競技にはない人体機能の制限とその打開には、本人の努力に加えて、科学的な検証と、トライアルそして装具製作やツール開発の技術者のチームが欠かせないのです。日本にはその基礎的な研究と、優れた技術者が多数関わっています。ゲーム進行の研究、新たな戦略開発そして運動技術。より使いやすく意図のままに動かせる装具、ツール。スポーツ庁意識調査で出て来た援助の必要性データでは決して高い必要性の認識ではありません。しかしこのチーム力こそが、実はあなたへのプレゼントなのです。

平成25年度スポーツ庁意識調査より
平成25年度スポーツ庁意識調査より

元々日本では優れたマイスターが各分野を支えてきました。スポーツ用具においては、野球のグローブとバット、砲丸投げの砲丸、ハンマー投げの投てき器具をはじめとして世界の一流選手にも支持されているものが多数あります。パラスポーツにおいてはさらに様々な技術の工夫とカーボン、チタン、ナノファイバーほか最先端素材が投入されています。技術と素材のマッチングに日本というチームの力が活躍しているのです。基本的にこのチームメンバーはアノニマス、無名です。プロフェッショナルとして黙々と理想を持って、課題を解決する人々。そんな彼らが技術とともに大切にしてるのは、使用者の声を聴くこと。洞察し、話し合って提案すること。それこそが日本の最大の強みです。日本というチームが歩んで来た波瀾万丈の成長過程で身に付けた最高の得意技が、この聴くことです。様々な聴くことから産まれてきたものをパラリンピック眼の前にいるパラリンピック選手から聴いて対応した解答がリオ大会でともに戦います。そしてその解答がまた次の、そして様々な分野での聴くべき問いかけに応えるものになっていきます。

義足装具士の第一人者、臼井二美夫さん 陸上チーム「ヘルスエンジェルス」も主催 
義足装具士の第一人者、臼井二美夫さん 陸上チーム「ヘルスエンジェルス」も主催 

応えるということは支える人的関係にはさらに重要です。パラスポーツは多くの競技で指導者不足に悩んでいます。同じ種目であっても一般競技の指導ノウハウだけでは対応できない、未知の種目同然です。悩みを抱えつつ、粘り強い指導者養成が行われています。熱意ある健常者スポーツ指導者が試行錯誤しながら、選手と一体となっての課題解決に挑んできました。

リオ初日、女子100M(T11クラス)予選で自己ベストを出した高田千明選手(左)
リオ初日、女子100M(T11クラス)予選で自己ベストを出した高田千明選手(左)

その競技の同じカテゴリーの経験者が指導者になるのが理想です。同じ障害を持つ経験者が指導することが望ましいわけです。経験者に次ぐものとしては、より科学的な視点と対話力の高い人材が必要です。そして専任の指導者がいて、課題解決に一丸となれる環境づくり。専任指導者が指揮するコーチングスタッフを構成する環境づくりが待たれます。これは2020への課題であり、多様な人材で構成される人的組織形成の近未来形の開発と見ることが出来ます。障害者スポーツを支える人材チームは多様性社会での人材チーム構築の最高の手本になります。これまで優れたスポーツ指導者によるビジネス本がベストセラーになってきましたが、それを遥かに超えるクオリティを持つ指導者が生まれることでしょう。

最大のプレゼントは新しい目標。

ここまで報告してきたフィードバックされる技術、システムそして人材活用やコミュニケーションスキルは素晴らしい恩恵です。近未来の日本が世界に誇れるものとなるはずです。あなたの暮らしにも活きるプレゼントです。これら以上にあなたが受け取るプレゼントは、あなた自身が明快で新しい目標を持つことです。近年超高齢化社会へのハイウェイに乗っている日本。夢がない、希望がないと言われ続けています。パラスポーツを通じて考えていけば、新しい目標が見えてきます。

まずはみんなのスポーツ、みんなの社会への転換です。8/26の記事でご紹介した数々のアクションがまさにそれです。ボールが苦手な人が楽しめる競技が生まれています。クルマが苦手な人のためのクルマの開発が始まっています。苦手や障害はそれを克服または利用可能な個性となってこそのみんなの社会です。だれでもがパラスポーツとその発展形のスポーツを楽しんで、笑顔になれるでしょう。

参考記事:8/26公開記事「ユニバーサルデザイン視点で見える近未来スポーツ。

次にあなたがチームの一員になるチャンス到来であるということ。リオで活躍が期待される種目の数々。行政支援、民間支援もようやく充実してきたところです。言ってみれがまだまだ開拓は始まったばかり。頑張りを支える人を渇望しています。その一つは今一番人気のあるパラスポーツ、ブランドサッカー。惜しくも予選で敗退し、リオには行けませんでした。でもブランドサッカー関係者は残念に思う暇もなく、2020を目指す戦いを展開しています。

ブラインドサッカー日本選手権から
ブラインドサッカー日本選手権から

冬季種目の中にも、頑張りを応援したい競技があります。2010年バンクーバー大会で銀メダルを獲得したアイススレッジホッケー。8/26の記事でダブルダッチへの挑戦を披露した上原選手はポイントゲッターとして大活躍しました。ところが前回2014年ソチ大会には出場出来ませんでした。世代交代の失敗もありますが、練習環境の変化など支えるべきチーム力が機能しなかったことが大きいでしょう。一度失った力を復活させるのは至難の技です。それを可能にする力を一緒に出すことが求められます。実際に昨年末に行ったクラウドファンディングは彼らの再起への情熱と支える力の結集によって成立しました。須藤キャプテンの思いと現状を以下のURLでご一読ください。2018ピョンチャン大会は2年後。2020東京を応援する前に冬季競技へ参画しましょう。

クラウドファンディング成立!アイススレッジホッケーで、もう一度パラリンピックの大舞台へ!

一般社団法人日本アイススレッジホッケー協会ホームページ

リオパラリンピックの12日間。応援しながら2020へ向けて自分が応援や支援で参画したい競技や選手を探してみてください。新しいヒーロー、ヒロインとの出会いがあることでしょう。そして彼らひとりひとりの障害が異なるオンリーワンの存在として挑戦している姿を目の当たりにするはずです。あなたも同じオンリーワン。自分が自分らしさを発揮する存在への成長を目指し、社会全体が一緒に実現するチームになること、それがパラリンピックからあなたへのプレゼントです。わたしたちみんなのためのイノベーションが動き出します。

ゴール!伴走者と抱き合う視覚障害の選手:シドニー大会 女子400M・T11クラス
ゴール!伴走者と抱き合う視覚障害の選手:シドニー大会 女子400M・T11クラス

今回使用している写真はすべてパラスポーツ報道のフロンティア、カンパラプレスから提供いただいています。感動の競技報道にも応援!

パラスポーツ報道配信サイト:カンパラプレス

カンパラプレス越智貴雄氏(2015切断ヴィーナスショーにて筆者撮影))
カンパラプレス越智貴雄氏(2015切断ヴィーナスショーにて筆者撮影))