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2021年コンビニスイーツ総まとめ!今年売れたスイーツの傾向は!?

笹木理恵フードライター
様々なバリエーションが発売された、セブン‐イレブンのマリトッツォ ※筆者撮影

昨年に引き続き、コロナが人々の消費行動を大きく変えた2021年。度重なる緊急事態宣言や感染者の一時的な増加などもあり、身近なコンビニスイーツに癒しを求める人も少なくなかったようで、コンビニスイーツ全体の売上も好調だったようです。

コンビニスイーツ全体の傾向としては、昨年に続いてコロナ禍での生活による疲れやストレスから、おうち時間にスイーツを楽しむニーズが高まっており、なかでも「身近なコンビニで、本格的な味わいを楽しみたい」、「おうち時間を豊かに楽しみたい」といった傾向が強まっていると言います。例えばローソンでは、2021年度のチルド和洋菓子の売上高は、コロナ前と比較して約1割伸長しています(1月~11月実績)。

イタリア・シチリアの「カッサータ」や、韓国の「花菜(ファチェ)」など、様々な海外スイーツが登場 ※筆者撮影
イタリア・シチリアの「カッサータ」や、韓国の「花菜(ファチェ)」など、様々な海外スイーツが登場 ※筆者撮影

また、セブン‐イレブンでは、海外旅行に行けない状況下で、「身近なセブン‐イレブンで目新しい商品を試したいというニーズ」が高まっており、海外の郷土スイーツのような商品を求める声も多くなっているそうです。今年は「マリトッツォ」をはじめ、「オランダワッフル」や「カッサータ」、「花菜(ファチェ)」など様々な国のスイーツが、セブン‐イレブンで販売されていました。

ファミリーマートでも、スイーツジャンルの売上は昨年同様、好調に推移。本格的な味を求めるニーズも高く、1品当たりの購買単価も高く推移しているといいます。実際にファミリーマートでは今年、200~250円の価格帯の商品を強化して展開しており、この中から、ヒット商品が多数誕生しています。

それでは、実際に売れた商品を順に紹介します。

今年最大のヒットスイーツは、コンビニでも強かった!

ふわふわ生地で口どけ軽やか。「クリームシフォンーマリトッツォ風ー」 ※筆者撮影
ふわふわ生地で口どけ軽やか。「クリームシフォンーマリトッツォ風ー」 ※筆者撮影

2021年度のヒットスイーツといえば、マリトッツォ。コンビニからも、様々な商品が発売され話題になりました。

ファミリーマートは、6月に「クリームシフォンーマリトッツォ風ー」(税込198円)を発売。トレンドスイーツのマリトッツォを、独自に「進化」(ファミチェン)させた商品で、ふわふわのシフォン生地とクリームのハーモニーが、多くの支持を集めました。

様々なフレーバーを楽しませてくれた、セブン‐イレブンのマリトッツォ ※筆者撮影
様々なフレーバーを楽しませてくれた、セブン‐イレブンのマリトッツォ ※筆者撮影

セブンイレブンでも、「マリトッツォシリーズ」がヒット。「ストロベリー&ラズベリーソース仕立て」、「ヘーゼルナッツチョコ仕立て」、「ショコラオレンジ」などのフレーバーのほか、「どらやきマリトッツォ」というオリジナルの商品も誕生し、お客様からも好評だそうです。

バニラシード入りのクリームが本格的。「澄ふわマリトッツォ(ヘーゼルナッツチョコ入り)」※筆者撮影
バニラシード入りのクリームが本格的。「澄ふわマリトッツォ(ヘーゼルナッツチョコ入り)」※筆者撮影

ローソンから現在も発売されているのが、「澄ふわマリトッツォ(ヘーゼルナッツチョコ入り)」(税込260円)。ふんわりとしたブリオッシュ生地に、北海道産生クリームやマスカルポーネを加えたクリームがたっぷり!間にしのばせたヘーゼルナッツチョコが味わいのアクセントになっています。

【ローソン】バスチーに次ぐヒット商品なるか!?期待の「生ガトーショコラ」

ワンハンドでクリームと一緒に味わえる「生ガトーショコラ」 ※筆者撮影
ワンハンドでクリームと一緒に味わえる「生ガトーショコラ」 ※筆者撮影

ローソンが「バスチーに次ぐ自信作!」というキャッチコピーを引っ提げ、9月に発売したのが「生ガトーショコラ」(税込220円)。発売直後から反響が大きく、「バスチー -バスク風チーズケーキ-」が持つ「発売3日で100万個」という記録に次ぐ、ローソンスイーツ史上2番目の速さで、累計販売数100万個を突破しています。この記録は、コンビニスイーツブームの先駆けとなった「プレミアムロールケーキ」をも超える数字でもあり、コンビニスイーツの市場がこの10年で広がったこと、そしてSNSなどによる情報が消費行動と強く結びついていることを実感しました。

ちなみにこの「生ガトーショコラ」の開発の背景には、コロナ禍で不安を感じる生活が続く中で、「信頼ある商品」や「身近で使い慣れた商品」を使いたいというように消費マインドが変化してきたことが挙げられます。馴染みのあるガトーショコラを、クリームと一緒にワンハンドで食べられるように仕立てたことで、コンビニならではの利便性や新しさを表現しているのです。

【ファミリーマート】ヒットの要因は、「気軽に本格的な味」

ファミリーマートで今年ヒットしたのは、先述した「気軽に本格的な味を楽しめる」商品。とりわけ以下の2アイテムがよく売れていました。

バター香る生地とクリームの本格的な味わいが好評。「バタービスケットサンド」※筆者撮影
バター香る生地とクリームの本格的な味わいが好評。「バタービスケットサンド」※筆者撮影

1品目は、2021年6月に発売した「バタービスケットサンド」シリーズ(通称:バタビ)」。こんがりとした焼き色の生地とクリームのコントラスト、そして生地とバタークリームの香りや味わいにこだわった商品で、ファミリーマートのスイーツ史上最速となる、発売3日間で累計販売個数100万食を突破。チーズ、ショコラ、ラムレーズンからスタートし、その後もキャラメルナッツ、ピスタチオなどさまざまなフレーバーが登場しており、12月時点で2000万食以上を売り上げています。

とろけるような食感を味わえる「ふわふわケーキオムレット」 ※筆者撮影
とろけるような食感を味わえる「ふわふわケーキオムレット」 ※筆者撮影

2品目は、11月22日に発売された「ふわふわケーキオムレット」。「ほわ~りとろける新食感」をコンセプトに、昔からあるオムレットを現代風にアレンジした商品。現在はチーズとチョコの2アイテムを展開しており、発売2週間で260万食を売るなど好調に推移しています。

【セブンイレブン】固め食感のレトロプリンが人気

固めの食感と、カラメルソースのほろ苦さがたまらない「濃厚卵のレトロプリン」 ※画像提供/セブン‐イレブン
固めの食感と、カラメルソースのほろ苦さがたまらない「濃厚卵のレトロプリン」 ※画像提供/セブン‐イレブン

喫茶店のプリンなどレトロスイーツの流行を反映してか、セブンイレブンでも人気だったのが、「濃厚卵のレトロプリン」(税込224.64円)。どこか懐かしさを感じる固め食感のプリンと、ほろ苦いカラメルソース、やさしいスポンジ生地の食感の組合せが、プリン好きを虜にしました。

2022年度、コンビニスイーツはどう動く?

最後に、2022年度のスイーツの取り組みについて、各社の意気込みを紹介したいと思います。

●ローソン

「コロナ禍で、『わかりやすい』ものへの嗜好が強くなってきています。お客様が店頭で商品を選ばれる時や、SNSなどで商品をご覧になった時に「きっと美味しい」と、味の想像がつきやすいものでありながら、ローソンらしい素材や食感の組み合わせで、新たな発見をしてもらえるような商品開発に注力してまいります。また、引き続き海外旅行に行きづらい環境が続くと考えられますので、旅行した時の思い出の味や旅先で食べてみたかったスイーツなども、今年同様お客様の嗜好が強まると考えています」(スイーツ開発担当者)。

●ファミリーマート

「コロナ禍によって生活スタイルは大きく変化しました。その中でも私たちは、ファミリーマートのスイーツを通じて、癒しやわくわく感を少しでもお客様にお届けできればと考えております。2022年度においてもその思いは変わらず、自由な発想で、例えば和や洋といった垣根を超えた新しい価値を創造するような、そんなスイーツをお客様へお届けしたいと考えております」(デリカ食品部デザート担当・杉本さん)。

●セブン‐イレブン

「シュークリームやエクレア、大福やどらやきなどの定番商品を、さらにおいしくしてまいります。また、新しさのある商品として“世界各国の郷土スイーツ”に注目しています。海外旅行が難しいご時世ですので、身近なセブン‐イレブンで現地の味やメニューを楽しんでいただきたいという思いがあります」(スイーツ開発担当者)。

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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