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2020年コンビニスイーツ総まとめ。今年ヒットしたのはアノ商品!

笹木理恵フードライター
累計900万個以上を販売した「ウチカフェスペシャリテ」 ※画像提供/ローソン

新型コロナの影響で、ライフスタイルが大きく変化した2020年。人々の消費動向にも変化が生じるなか、コンビニスイーツのジャンルではどのような商品展開がなされ、どんな商品が人気を集めたのでしょうか。各社への取材を通して、今年のコンビニスイーツを振り返ります。

【セブン‐イレブン】新食感の焼き菓子に注力!最も売れたスイーツは、人気のアノ商品

10月に発売された「生食感フィナンシェ」。しっとり感が特徴 ※筆者撮影
10月に発売された「生食感フィナンシェ」。しっとり感が特徴 ※筆者撮影

セブン‐イレブンが2020年、強化してきたのが、チルドスイーツのカテゴリーで発売した「新食感焼菓子」。3月に「テリーヌショコラ」、10月に「生食感フィナンシェ」を発売し、いずれも話題になりました。「とろける食感や、しっとりとした食感など、焼菓子の新しい食感と商品の美味しさを追及し、配合や焼成温度・時間の組合せを何度も試作して完成しました」(同社商品本部スイーツ担当者)。

生地もクリームもこだわり抜いた「シュー・ア・ラ・クレーム」(パッケージは撮影当時のもの) ※筆者撮影
生地もクリームもこだわり抜いた「シュー・ア・ラ・クレーム」(パッケージは撮影当時のもの) ※筆者撮影

一方、最も売れた商品といえば、スイーツカテゴリーの看板商品である「シュー・ア・ラ・クレーム」(税込140円)。5月の発売から3日間で約100万個を販売した大人気商品です。「従来のレシピにとらわれることなく、一からつくり上げたシュークリームです。シュー皮は、フランス産小麦、ベルギー産バターなどを使用したこだわりの生地に、アーモンドを配合した生地を重ねて焼き上げています。一方、クリームは、スイーツに適した卵『エグパティシエール』を使用した濃厚でコクがある味わいに仕上げました」(スイーツ担当者)。

【セブン‐イレブン】人気ブランドとのコラボスイーツが、おうちでの“プチご褒美”ニーズに合致

12月1日に発売された「ピエール・エルメ シグネチャー エクレア マロンショコラ」(税込321円)※筆者撮影
12月1日に発売された「ピエール・エルメ シグネチャー エクレア マロンショコラ」(税込321円)※筆者撮影

また今年は、コロナ禍でおうち時間が増え、プチ贅沢や間食のニーズが高まる中で、セブン‐イレブンのスイーツ需要もさらに高まっているといいます。そうしたなかで発売されヒットしたのが、ピエール・エルメとのコラボスイーツ。7月にはマンゴーのスイーツ2品、10・11月にはマロンのスイーツ2品が発売され、大きな話題を呼びました。コラボのきっかけについてスイーツ担当者は、次のように説明します。

「セブン‐イレブンでもコンビニスイーツの枠を超えた、専門店品質の商品が購入出来ることで、新しいお客様の来店のきっかけに繋がるのではと考えベストパートナーを探しました。ピエール・エルメ様は洋菓子スイーツの中でも味・品質・見た目含めとても評価が高く人気のブランドです。ご本人が来日された際にセブン‐イレブンを見て、お客様の近くの店舗で、毎日のおいしさ・うれしさを提供しているセブン‐イレブンのスイーツの品質なら、とコラボが実現しました」。

11月には、「伊藤久右衛門」の宇治抹茶を使用したスイーツ3品を販売 ※画像提供/セブン‐イレブン・ジャパン
11月には、「伊藤久右衛門」の宇治抹茶を使用したスイーツ3品を販売 ※画像提供/セブン‐イレブン・ジャパン

また、3月と11月の年2回、展開したのが、京都・宇治の「伊藤久右衛門」とのコラボスイーツ。SNSでも話題になりました。「和のお取り寄せスイーツの分野でも人気のブランドである『伊藤久右衛門』様の宇治抹茶商品を近くのセブン‐イレブンで多くのお客様に手に取っていただきたいという双方の想いから実現しました。ブランドコラボ商品はお互いの目指す品質に向け、何度も試作を繰り返し、作り上げた商品です」(スイーツ担当者)。来年も、「お客様のニーズに対応した商品、また新しいお客様の来店のきっかけに繋がる商品を発売し、セブン‐イレブンのスイーツを盛り上げていきたい」と語ります。

【ローソン】コロナ疲れを癒す“プチ贅沢”スイーツが好調

カラメルのパリパリ食感にこだわった「パリとろ -パリとろブリュレ-」(税込285円)※画像提供/ローソン
カラメルのパリパリ食感にこだわった「パリとろ -パリとろブリュレ-」(税込285円)※画像提供/ローソン

ローソンからは今年も、“新感覚スイーツ”が多数登場し、2020年11月末までで60種類以上・約1億4000万個を発売しています。上半期のヒットは、3月に発売した「パリとろ -パリとろブリュレ-」(税込285円)や、「ふわしゅわ -ふわしゅわスフレ-」(税込240円)。外出の自粛が続く巣ごもり需要の中、20~40代の女性を中心に支持を集めました。

2017年より展開しているGODIVA社とのコラボは、2020年も好調 ※画像提供/ローソン
2017年より展開しているGODIVA社とのコラボは、2020年も好調 ※画像提供/ローソン

その後も、コロナ禍での外食控えやリモートワークの増加などの影響もあり、ローソンでは今年3月から9月までのチルド和洋菓子の売上高が、前年同期間と比べて、約1割伸長しました。コロナ禍で日々の疲れやストレスを解消するため、“ちょっとした贅沢”や“癒し”を感じられる商品やサービスへのニーズが高まる中、9月にはGODIVA社と共同開発した「キャラメルショコラロールケーキ」(税込395円)と「テリーヌショコラ」(税込350円)を発売。コンビニスイーツとしては高価格帯でありながら、合計180万個以上を販売しました(現在は販売を終了)。

【ローソン】下半期のヒットは、新作の“スペシャリテ”シリーズ

“スペシャリテ”シリーズ一番人気の「栗堪能モンブラン」(税込320円) ※画像提供/ローソン
“スペシャリテ”シリーズ一番人気の「栗堪能モンブラン」(税込320円) ※画像提供/ローソン

こうした流れを受け、10月27日より発売されている「スペシャリテ」シリーズが、下半期のヒット商品に。「身近に出合えるご褒美スイーツ」をコンセプトに、昨今のトレンドを反映させ、1つの素材やメニューに特化して開発した商品で、価格は1個300円前後に設定。これまでに5品を発売し、累計900万個以上を販売しています。ちなみに1番人気の商品は「栗堪能モンブラン」(税込320円)だそうです。

【ローソン】スイーツドリンクも隠れたヒット商品!

25%増量タイプの「町村農場 飲むソフトクリーム増量!240ml」(税込188円)※画像提供/ローソン
25%増量タイプの「町村農場 飲むソフトクリーム増量!240ml」(税込188円)※画像提供/ローソン

チルドスイーツ以外のジャンルでじわじわ人気を高めてきたのが、「飲むソフトクリーム」。2019年10月に発売された際には“ソフトクリームをそのまま溶かしたような味わい”とSNSなどで多くの反響があり、約1ヶ月で予定出荷数量を終了。再販を望む声を受けて、今年4月と8月に再発売し、累計販売数は200万本を超えるヒット商品となっています。さらに12月15日には、「もっと飲みたい!」というお客様の声に応えた25%増量タイプの「町村農場 飲むソフトクリーム増量!240ml」(税込188円)を発売。今年11月には「ふって飲むティラミス」も発売しており、スイーツ系ドリンクの人気が定着してきているようです。

【ファミリーマート】「スフレ・プリン」を超える人気スイーツが登場!

タイプの異なる食感や味わいが評判に ※筆者撮影
タイプの異なる食感や味わいが評判に ※筆者撮影

ファミリーマートで今年、もっともヒットした商品は、“新感覚チーズケーキ”。

11月3日より、「ショコラチーズケーキ」(税込238円)と「プリン!?なチーズケーキ」(税込298円)の2品が発売され、オリジナルのスイーツとして史上最速となる10日間で合計200万食を突破。これは、ファミリーマートスイーツの代名詞である「スフレ・プリン」シリーズを上回る“2倍の速さ”なのだそうです。

「『スフレ・プリン』に次ぐヒット商品を生み出したいとの意気込みで、食感や味わいの変化を楽しんでいただける2品を開発いたしました。商品名やパッケージなどにも、通常以上にこだわって作り上げました」(ファミリーマート広報部・和田さん)。

【ファミリーマート】人気ブランドとのコラボシリーズも評判

「AfternoonTea」とのコラボは、第5弾まで展開 ※画像提供/ファミリーマート
「AfternoonTea」とのコラボは、第5弾まで展開 ※画像提供/ファミリーマート

一方で、「AfternoonTea」や「patissrieKIHACHI」といった企業との新たなコラボ商品も話題になりました。「AfternoonTea」とのコラボ商品は、昨年11月から約1年の間に5回にわたって展開。昨年から展開していた焼き菓子に加え、今年は初めてチルドスイーツでもコラボレーションが実現しました。「ご自宅で手軽に専門店気分を楽しんでいただきたいとの思いで以前よりコラボ商品は発売しておりましたが、コロナ禍で外出が制限されている昨今、 コラボ商品の人気は高まっております」(和田さん)。

昨年に引き続き、「新食感」のスイーツはコンビニならではの特徴として、今年も品数が多いようでした。一方で、定番スイーツのブラッシュアップもさらに磨きがかかっており、「コンビニスイーツがこんなにおいしくて驚いた」という消費者の声も多数聞かれるようになっています。ピエール・エルメやゴディバなどのコラボスイーツにみられるように、高価格帯のスイーツもコンビニで売れるようになっているので、これまでコンビニでは難しかった素材や表現なども、来年以降実現可能になるかもしれませんね。

※本文で紹介している商品は、現在は販売終了しているものもあります

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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