就活で「6月1日に来てください」が意味する事とは?形骸化が止まらない就活ルールの現状

(写真:アフロ)

就職活動の「選考解禁」は6月1日とされているが、実際には現時点で2020年卒の就職活動は終盤を迎えている。すでに「内々定」を言い渡されている学生も多く、この時期になると「6月1日に来てください」「6月1日を空けておいてください」などの連絡を受ける学生も多い。

この「6月1日に来てください」が意味するところを今回は紹介したいと思う。

【建前上は面接…実際は?】

「6月1日に来て」という連絡が意味するところは、その日に内定承諾の意思確認をし、内々定を伝えたいという事だ。実際、「6月1日に会社に来てと言われて、面接だと思っていたら内定が出た」という学生は多い。

建前上は「6月1日から選考解禁」なので、選考解禁日に内々定が出るというのはおかしな話なのだが、「選考解禁していない時期に内定を出すのもおかしい」という配慮からかギリギリ選考解禁後である6月初旬に内々定を出す企業が多いのだ。経団連に加盟している企業など、それなりに規模の大きな企業ではそのような対応を取っていることが多い。

つまりこの時期に6月1日の予定を確認された場合は、おそらく内定面談であると予想しておいて問題ない。

意思確認をして入社意思が確認できれば内々定となるケースが多く、このタイミングで複数の候補者から絞り込む選考をする事は少ない。

一応面接という扱いにはなっているが、実態としては内定面談になっているということだ。

「学生の採用も競争なのだから、それ以上は待てない」というのが人事の本音である。「6月1日までに選考を実施しない」という部分を遵守している企業はむしろほとんどない。

「面談」や「座談会」という名目で学生と会い、実質的な選考を行っている。

今年はゴールデンウィークが10連休だったという事もあり、ゴールデンウィーク前に大方の選考を終わらせようとしていた企業も多いようだ。

参考までにリクルートの就職プロセス調査(2019年卒)によると、昨年4月1日時点の就職内定率は20.5%、5月1日時点で42.7%、6月1日時点では68.1%だったという。

 

今年はまだ4月1日時点のデータまでしか出ていないが、昨年同時期よりも1%程度高い内定率が出ており、6月1日時点では7割に達しても不思議ではない。

【形骸化した就活時期はいつまで続くのか?】

「選考は6月解禁」という名目的なルールが定められたのは2018卒採用の時からであり、今年が3年目になる。ルールが形骸化していたのは初年度からであり、今年も特に変化はなかった。この形骸化したルールはいつまで続けられるのだろうか。

注目するべき動きとしては、経団連が昨年「経団連による就活ルール」の廃止について決定し、更に今年になってから政府が「名ばかりインターン」に警鐘を鳴らしていることが上げられる。

経団連が就活ルールを廃止すると宣言した時点では「ルールの形骸化」が解消されるように見えたが、政府主導で就活ルールの維持をしようとしているため元の木阿弥となった経緯がある。

「名ばかりインターン」についても説明しておくと、近年は採用直結のインターンが増えその中で「ワンデーインターン」と呼ばれる短期間の企画が多数派を占めている。これらの企画は会社説明会に毛が生えた程度の内容になっている事も多く、「採用広報の開始前」に学生と接点を持つための抜け穴のような存在になっているのだ。

実態としては選考プロセスの1つとなっており、なおかつキャリア体験にもならないことから政府がこれを問題視している。

これらの経団連、政府の動きを踏まえると、

・就活ルールの維持ができるのかどうか

・今遵守していない企業への影響がどこまで及ぶのか

・ワンデーインターンなどの扱いがどうなるか

この3点が注目すべき動きとなる。

しかし2021卒採用の現状を見るに、早期就活市場においては政府による影響はほとんど発揮できていないようだ。

外資系への就活をメインとする就活サービスは例年通り「内定直結のサマーインターン」対策のための講座を開き、夏季1dayインターンシップの情報も掲載されている。外資だけでなく、日系企業でも1dayインターンや2~3日で終わる短期間インターンの開催は予定されているようだ。

リクナビ2021・マイナビ2021では、インターンの応募受付こそ開始していないが「応募の予約」を先行受付しており、そちらでも1dayインターンは例年通り掲載されている。

少なくとも現状を見る限り、2021卒採用でも「名目と実態」が掛け離れた状態は継続していくと予想される。参加する学生側が振り回され、混乱が生じたりしないよう願いたい。