1月6日は関東でも南部を中心に雪の降る所があるようです。わずかでも積雪があるようなら、雪かきの初動はとても大切。歩行中のスリップによる大けがや側溝などへの転落による閉じ込めを効果的に防ぎます。

 雪かきは雪が軟らかいうちにさっと済ませましょう。排雪は側溝に詰め込まないようにしましょう。(1月6日18時30分、タイトル修正)

摩擦が大きく変化するポイントが、転倒して大けがをするポイント

 雪国でも降り始めの季節は、積雪でスリップしてあちこちで人が転倒したり、車が衝突事故を起こしたりします。大けがをして救急車で病院に運ばれる人もいます。降り始めにある、ごく普通の風景です。

 意外かもしれませんが、数cmの積雪というのは、とても、とても、危険です。とくに凍ってしまうと始末におえません。カバー写真をご覧ください。建物の出口の階段の雪はきれいに除いてあります(摩擦が利く)。ところが、階段を下がりきった所と道路の表面には雪が薄く氷になってへばりついたまま(摩擦が利かない)です。こういう場所にてスリップで大けがするのです。

 原理は簡単です。乾いた表面では摩擦が利いていて、歩いている時にスリップしにくいのですが、凍った雪の上では摩擦が利かなくなり、スリップして体勢を崩します。例えば、転倒する時に階段に頭をぶつければ大変なことになります。

 プールサイドでスリップして派手に転倒する原理も全く同じです。転倒しやすいポイントはプールサイド(摩擦が利く)からオーバーフロー(摩擦が利かない)に降りた所です。プールサイドが乾いていて、その一方でオーバーフローが濡れていて、双方の間で摩擦が急に変化するためです。こういった摩擦が大きく変化するポイントが、転倒して大けがをするポイントとなります。

凍った雪を残してはいけない

 雪かきの初動に失敗すると、凍った雪が残ります。圧雪のままにして朝を迎えると、雪同士が接合して凍ります。凍れば薄い氷の層となって地面にへばりつきます。氷の層が地面にへばりつくと、これを取り除くのがとてもたいへんです。「ま、いいか」とそのまま放置すると、図1のように日陰であればいつまでも残っています。東京の寒いシーズンでは1週間近く残ることもあります(筆者の実家は東京都青梅市)。

図1 薄く凍った積雪は一番除雪しづらいし、滑る(筆者撮影)
図1 薄く凍った積雪は一番除雪しづらいし、滑る(筆者撮影)

歩行する場所は狭くてもいいので丹念に雪かきを

 歩行中にスリップして大けがすることがとても心配です。1週間も積雪がそのままだと「昨日は大丈夫だった」「今日も大丈夫だった」「明日も大丈夫だろう」というように日常の景色に溶け込んでいきます。でも、明日には大けがするかもしれません。なぜかというと、その日の気温によっては氷の表面が少し溶け出し、濡れてスリップしやすくなるからです。

 日中、凍った雪の表面が溶けて、朝の寒さでまた凍って、また日中少し溶けて。この繰り返しで、氷の表面はどんどん滑らかになり、スリップのしやすさに拍車がかかります。雪国でも本当に滑る雪道は、薄く積もった圧雪の表面がうっすらと汗をかき始めた時です。車など、どうにも止まらなくなります。

 一日でも早く、そして狭くてもいいので、歩行する場所の雪かきを実行しましょう。

初動が肝心

 要するに、軟らかい雪のうちに雪かきしていれば、楽です。

 雪かき用具にもいろいろとあります。そして、雪の状態によって使い分けます。どのような道具を使うにしても、軟らかい雪のうち、つまり初動の雪かきが大切です。

金属スコップ

 鉄とアルミニウム製があります。

鉄スコップ 角スコップと丸スコップがあります。雪かきには図2のような角スコップが強いです。雪の軟らかい初動でも、雪が固まった後でも、角でも丸でも金属スコップは威力を発揮します。ザクザクと氷のような雪を削り、地面から取り除いていきましょう。

アルミニウムスコップ 角も丸もあります。軽いので雪かきの初動には最適です。ただ、雪が固まりほぼ氷の状態になると、除雪中にスコップが変形して傷みやすくなります。

図2 鉄製の角スコップの例。先端が四角様という特徴をもつ。硬い雪でもザクザク削れる(筆者撮影)
図2 鉄製の角スコップの例。先端が四角様という特徴をもつ。硬い雪でもザクザク削れる(筆者撮影)

 金属スコップでは温度が零度を下回るような低い時には雪がへばりつきやすくなります。もともと重い上に、雪がへばりつくとどうしようもなくなります。池に向かって雪を投げようとしたら、スコップにへばりついた雪が外れず、その弾みで体勢を崩してスコップもろとも池に落ちた人がいました。

 雪がへばりつく時は、スコップをしばらく雪の中に刺して、スコップの温度と雪の温度が同じになるようにしてください。

プラスチック製品

 ポリカーボネートなど、比較的壊れにくいプラスチックでできています。軽くて、作業中に雪がスコップにへばりつきにくい特徴があります。

スノースコップ 図3に示しました。これがだいたい全国どこにでもある共通の除雪用具ではないでしょうか。壊れにくいとはいっても、図3の右に示すように硬い雪には歯が立ちません。従って、雪がまだ軟らかいうちに地面を這わせるようにして、雪を取り除いてください。地面にて氷のように固まったら、金属スコップで取り除いてください。

図3 プラスチックスコップは左図のように軟らかい雪で威力を発揮する。右図のような硬い雪には使わない(筆者撮影)
図3 プラスチックスコップは左図のように軟らかい雪で威力を発揮する。右図のような硬い雪には使わない(筆者撮影)

スノープッシャー 図4に示しました。新雪をかき分けて道付け(人の通り道を作ること)をするのに、たいへん役立ちます。名前の通り、雪を押すことで積雪を地面からザクザクと排除することができます。スノープッシャーも硬い雪には歯が立ちませんので、これも雪かきの初動で使います。これを使って頻繁に降り積もる雪を取り除いて、朝になって歩行中にスリップして転倒することを防止しましょう。

図4 プラスチックスノープッシャーは道付けに威力を発揮する。ただし、雪かきの初動にのみ有効(筆者撮影)
図4 プラスチックスノープッシャーは道付けに威力を発揮する。ただし、雪かきの初動にのみ有効(筆者撮影)

排雪に側溝は避ける

 雪かきしたら雪をどこに捨てるか。これは関東甲信ばかりでなく、雪国でも深刻な課題です。

 融雪装置が設置されていない地域では、道路の端に取り除いた雪を積み重ねるしかありません。ただ、その際に道路脇にある側溝に雪を捨てないようにします。むしろ、側溝の位置がわかるように雪をどけておきます。

 図5をご覧ください。ふたのない側溝の上に雪の塊が積み上げられています。その下の側溝は空洞になっています。側溝を流れる水の温度は当然零度より高いわけですから、側溝の中の雪から溶けていき空洞を形成します。

 雪国の子供たちは、こういう雪の塊の上に上がらないように教えられていますが、そのような教育を受けていない場合、子供がこういった空洞の上に乗る可能性があります。「そんな馬鹿な話が」と思われるかもしれませんが、昨年、埼玉県で氷の上に乗って記念撮影をしようとした高校生が池に落ちました。地域によって教育が違う現状をまざまざと知った感がありました。

 積雪が高いと、側溝から出られずに閉じ込められることもあります。こうなると行方不明のまま凍死しかねません。

図5 側溝の上に残った雪の下は空洞になっている(筆者撮影)
図5 側溝の上に残った雪の下は空洞になっている(筆者撮影)

 側溝に硬い雪が詰められて洪水になるときがあります。雪国のあるあるの一つが除雪した雪を流す流雪溝の事故です。流雪溝の事故は新潟県内のあちこちで起こっており、床下浸水での被害など、よく聞く話です。事故防止のために、実際に地区ごとに排雪時間を決めているくらいです。

 雪国ではない地域の道路脇の側溝は流雪溝として設計されていません。従って、側溝に雪を詰め込んで流雪溝のマネをしたら、状況によっては周辺の住宅に浸水被害を起こすかもしれません。

まとめ

 雪が積もるか積もらないか。そういったことに関心が向かいがちですが、極寒+わずかに雪が積もる、この式が成り立つと実は多くの人の大けがのもとになります。ぜひ、初動で事故防止に努めてください。