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全国でバイク事故が急増中 コロナ自粛解除でさらなる注意を!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
画像出典:Webikeニュース ※写真はイメージです。

自損型の事故が増えている

今週の初め、バイク事故で若い命がまた失われた。

6月8日に高知県の国道でバイクが道路沿いの擁壁に衝突し、男子大学生(21)が死亡する事故があった。警察の調べによると、事故があったのは午後10時過ぎ。現場は国道32号線の大豊トンネル北側の出入口付近にあるカーブで、友人と2人でツーリングをしていたらしい。県警では大学生がカーブを曲がり切れず、擁壁に衝突した可能性があるとみて調査を進めている。

高知県では今年の人身事故の件数は減少しているが、一方で犠牲者は増えており県警も注意を呼びかけている。同県では今年の人身事故の件数は事故当日までで528件と昨年に比べ約20%減少しているものの、一方で交通事故による死者は6人多い16人で、このうち擁壁に衝突するなどの自損型の事故で7人が犠牲になっているという。

交通死亡事故増加の陰にコロナあり

最近、全国でバイクによる死亡事故が相次いで起きている。

山形県でも5月末に山辺町と天童市で続けて死亡事故が発生。ひとつは軽乗用車と十字路で衝突、もう一方はカーブの際に誤ってブロック塀にぶつかったケースだった。過去の事故でもバイクが工作物に衝突したケースでの死亡率は高く、注意を呼びかけている。同県の過去5年間のバイク事故の月別死傷者数では融雪後の4月から増え始め、6~8月にかけて死傷者数は増加傾向となるデータもあるようだ。

また、三重県鳥羽市の国道でも7日午前、バイクが転倒し53歳の男性が死亡。警察によると、現場は国道167号線の急な右カーブで男性はカーブを曲がり切れずに横転した可能性が高いとみて原因を調査中とのこと。男性はマスツーリングに行く途中だったようだ。

北海道でもバイクの死亡事故が多発する中、危機感を持った警察が主体となって事故の再現実験を行っている。6日に旭川で行われた実験では右折車と直進するバイクによる典型的な「右直事故」の衝突事故などが再現されるなど注意喚起を呼びかけた。

ちなみに今年に入ってからの交通事故(2輪以外も含む)による都道府県別死者数では、6月11日現在においてワースト10のうち7つの都道府県で増加(累計順に愛知+16、神奈川+9、大阪+7、東京+8、埼玉-4、千葉-10、静岡+8、北海道+3、兵庫-1、三重+12)となりトータルで48人増加。このことからも、都市部での死亡事故の増加傾向がうかがえる。

都道府県別死者数(概数)出典:北海道警察

こうした異常事態とも言える交通死亡事故の増加は、コロナ禍による生活スタイルの変容や人々の心の変化と無関係とは言えないだろう。

自粛疲れの「うっぷん晴らし」は危険

先日もニュースで伝えられていたが、3月以降は新型コロナの影響で交通量が減り全国で事故が大幅に減った一方で、スピードを出しやすくなったことで都市部での死亡事故が増えているそうだ。そして、今月6月19日からは外出自粛要請が全国で解除され、県を跨いでの車両の行き来がますます活発化してくるはずだ。

自分も仕事柄、バイクに乗る機会は多いが、それでも1週間乗らなければ運転感覚が鈍ってくるのを感じるし、何かの理由で1か月も間が空けば、確実に判断力は衰え身体的な反応もおぼつかなくなる。この先は気温も上がって蒸し暑くなり、注意力も散漫になりがちだ。

バイク乗りにとってもアフター・コロナがやってくるこれからが本当の正念場とも言えるだろう。くれぐれも自粛疲れの「うっぷん晴らし」で飛ばすのではなく、肩慣らしのつもりで慎重にペースを取り戻していってほしい。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

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モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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