コロナ禍でドライバー行動が変容 みんなで気をつけよう!

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

突然の「煽り運転」に遭遇

先日、煽り運転をリアルに目撃してしまった。都内のオフィス街をワンボックスバンで走っていたときのことである。中には撮影用のバイクを積んである。いきなり後方から反対車線に飛び出して抜いてきた高級スポーツカーが目の前に割り込むと急ブレーキ。何が起きたのかと一瞬、唖然としてしまった。

自分が何か悪いことをしてしまったのか……。いろいろ考えたが思い当たるフシはない。他県ナンバーだったからか? 最近コロナ禍による外出や移動の自粛が求められる中、他県ナンバーのクルマへの投石や「煽り運転」などの嫌がらせなどが目立っているという記事が頭をよぎった。

だが、そもそも東京→他県なら分かる気もするが、他県→東京である。しかもこちらはボロい商用車で、どう見ても行楽ではない。メーカーからお借りしている大事なバイクを積んでいたので、多少ゆっくり走ってはいたが……。

えーなんで、と当惑していたら、その高級スポーツカーが今度は急加速をしながらジグザク運転で走り去っていった。どうやら自分がターゲットというわけではなく、周り中に当たり散らしているようだった。こういうときにこそ、ドラレコを付けていないといけないと実感した次第だ。

「同調圧力」と「自粛警察」

コロナ禍もやや一段落し、徐々に日常が戻ってきている感もあるが、人々の心に落とした影は大きい。前述の話からも2つの心理が透けて見える。まずは他県ナンバーへの差別。今回の例がそれに当てはまるとは限らないが、記事ネタなどは「同調圧力」が生んだものだ。日本人は生真面目な分、同調圧力が強いと言われる。会社では同じような服装をし、皆が働いている間は帰れない。出る杭は打たれる、という諺があるように目立ったことをする人を嫌う一方で、皆でダメだと安心する。皆で我慢しているのに、ズルい、けしからん、というわけだ。

非常事態宣言下だというのに、クサクサした気分を晴らすために行楽地に出かけるのは独りよがりで無責任だと思う。だが、他県ナンバーの中には止むに止まれぬ事情で出かける人や、たまたま仕事で他県ナンバーの車で走っている人もあるだろう。こうした可能性を一切否定して、自分の価値観や思い込みだけで他人を差別したり干渉したり、さらには暴力まで振るうのは幼稚で傲慢としか思えない。想像力の欠如である。「自粛警察」という言葉が流行っているが、人の心の中には常にこうした意識が隠れていることを忘れないでいたい。

絶対君主になってしまうドライバー

もうひとつは「煽り運転」だ。今に始まったことではないが、コロナ禍でむしゃくしゃした気分を晴らすためか、普段より乱暴な運転をするクルマが目立っているという。道が空いていることをいいことに、幹線道路や高速道路を猛烈なスピードで走っていくクルマを見かけることも多い。先日も首都高で久々にルーレット族が大挙出没し警察の取締りが強化されたばかりだ。

煽り運転をしてしまう心理には匿名性が潜んでいると言われている。クルマの中にいれば直接顔を合わせることも面と向かって話をすることもない。正体がバレずに存分に憂さ晴らしができるわけだ。しかも鋼鉄でできた2トンの鎧に守られ、数百馬力のパワーが与えられているのだ。気分は絶対君主になってしまっても不思議ではない。だが、最近ではドラレコを付けているクルマも多く、暴君も安閑としてはいられない状況だ。

「お先にどうぞ」でいいではないか

煽り運転は欧米では「ロード・レイジ」(路上の激怒)とも呼ばれ、割り込まれたとかクラクションを鳴らされたとか、些細なことがトリガーとなってエスカレートしていく。もともと攻撃的な人に多い傾向とされるが、普段は大人しく見えるのに何かのきっかけで豹変する人もいる。怒りの爆発を抑えるためには、6秒間だけ家族やペットなど他のことを考えるといいらしい。アンガーマネジメント(怒りの管理)ではそう教えるが、そこまで頑張らなくても「急いでいる人はお先にどうぞ」と思えばいい。前述の高級スポーツカーのドライバーも、もしかしたらコロナ禍で事業がうまく回らなくなってイライラし、金策のために急いでいたのかもしれない。だとしても危険で、はた迷惑ではあるが。

いずれにしてもバイクは分が悪い

おっと、バイクのコラムなので最後に触れなくてはならないが、バイクの場合は煽っても煽られても危険がマックスなので止めておいたほうがいい。カッときて下手にクルマを煽って急ブレーキを踏まれたら前輪ロックで転倒するのがオチだし、逆に煽られたからとこちらが急ブレーキをかけても追突されて一巻の終わりだ。つまり、バイクは分が悪いのだ。その分、賢く立ち回らないと命がいくつあっても足りなくなる。

コロナ禍がこのまま収束していき再び穏やかな日常に戻ることを祈りたい。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース