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BS新型スポーツタイヤ「S22」試乗レポ 純粋にコーナーが楽しい! ウェットも安心の新世代タイヤだ

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
BRIDGESTONE「BATTLAX HYPERSPORT S22」

ブリヂストンの新型スポーツラジアルタイヤ「BATTLAX HYPERSPORT S22」のメディア向け試乗会が開催。Webikeバイクニュース編集長で2輪ジャーナリストのケニー佐川が全力テストしてきた!

S22は数多くのスポーツバイクにOEタイヤとして採用され、リプレイス用としても幅広いライダーに支持されてきたS21の後継モデルである。S22は新設計のパターンとコンパウンドを採用することで、ドライグリップ性能と軽快性をさらに向上させつつウェット性能も底上げ。本来の優れたスポーツ性能に加え、天候変化やウェット路面でも安心して走行できるワイドレンジなタイヤに仕上げられている。

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ちなみに先頃発表された「Ninja ZX-6R」2019モデルのOEタイヤにも採用されるなど話題に。S22の製品スペックなど詳細は下記を参照してほしい。

試乗会が行われたのは栃木県にあるブリヂストンの専用テストコース。広大な敷地の中に高速周回路やワインディングを模したドライハンドリング路、雨天を再現したウェットハンドリング路など様々なシチュエーションが設定され、タイヤの性能を総合的に評価できる施設だ。S22とともに従来モデルのS21を装着した試乗車も用意され、同時に比較できたので鮮明な印象をお届けできると思う。

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超高速域でも抜群の安心感

1周4kmの高速周回路では、ハヤブサやGSX-R1000R、YZF-R1など錚々たるハイスペックモデルでのテストとなった。

まず感じたのが、冷間時のグリップ感。乗り始めから路面とのコンタクトが豊富で、1周目から安心してぐんぐんペースを上げられた。S22では低温域から立ち上がる新開発のコンパウンドを採用しているとのことだが、その恩恵はすぐに感じられた。

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また、ウェット性能を高める微粒径シリカがドライでも初期グリップに効いている。ガッチリとした剛性感というよりは、ソフトタッチの中にしっかりとした手応えを感じるタイプで、しっかりとした直線安定性とともに軽い入力でもスパっと倒れ込んでいく応答性の良さも兼ね備えている。

この安定性とレスポンスの良さがS22の真骨頂ではないか。高速周回路ではリッターSSクラスだとストレートで250km/hオーバー、高速バンクでも160km/hを楽に超える縦Gの世界だが、そうした領域でもまったく不安を感じさせないスタビリティが素晴らしい。走行後のタイヤの発熱も少なめで、表面の荒れもほとんど見られなかった。

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▲S22フロント

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▲S22リヤ

接地感が豊富で乗り心地もいい

ドライ路でもS22の性能は際立っていた。テスト車としてCBR1000RRとNinja650、YZF-R1が用意されたが、個人的にはR1との相性がピカイチと感じた。ハンドリングがとびきり軽快でパワーソースも扱いやすく、路面との接地感も豊富でコーナリングも安定していた。

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ダンピング特性も優れていて、スポーツタイヤとしては抜群に乗り心地が良い。ワインディングを模した起伏のあるコースだったが、常に安心感があるので切り返しでも思い切っていけるし、フルバンクに至る過程でもS21と比べてより安心感が高かった。ひと口に言えば爽快。そして、コーナリングが純粋に楽しい!

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構造的にはS21をほぼ踏襲しているそうなので、こうしたメリットはコンパウンドの改良による部分が大きいと思う。一方でS21に比べてゴムは柔らかめなので、S22のほうが若干摩耗は進んでいるように思えた。

ウェットでも自然とペースが上がる

ウェット路ではS21との違いがさらにはっきりと分かった。テスト車はR6だったがS21は路面コンタクトがやや希薄で、ペースを上げていくと「そろそろ滑りそう」な感じがして無理できなくなるが、これに対しS22は走り始めから接地感が豊富で知らぬ間にペースが上がっていく。

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ブレーキングでの前輪の接地感、そしてコーナー立ち上がりでの後輪のトラクションも豊富で、路面を水が流れるようなヘビーウェットでもマシンを前に進めてくれる。センターから中間バンク付近の、ウェットで多用するゾーンのコンパウンドとグルーブも最適化され、そこを使っていればまず大丈夫という自信が持てる。リラックスしてマシンに体を預けられるので疲れにくいのもメリット。

幅広いライダーにおすすめできる万能スポーツタイヤ

メガスポーツから最新スーパースポーツ、ビッグネイキッドまで多種多様なモデルに試乗したが、カテゴリーを問わずS22とのマッチングは良好だった。

ドライ路はワインディングに近い路面ミューとレイアウトということもあり、一般ユースに近い環境での扱いやすさと安心できるグリップ性能を確認。またウェット路面での分かりやすい接地感や、超高速域での抜群の安定感も印象的だった。

トータル的に見て、ストリートユースからサーキット走行まで幅広いレンジをコレひとつでカバーできる、まさに新世代の万能スポーツタイヤと言っていい仕上がりだろう。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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