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航空機エンジンのバイクも!? 「インターモト2018」で実感した世界のカスタムシーンの凄さとは!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
バイクの国際見本市「インターモト」は会場も展示作品もスケールが大きい

世界最大級のモーターサイクルの国際見本市「インターモト2018」からのレポートです。

前回は主要メーカーの動向から次のトレンドを予測してみましたが、今回はカスタムシーンを中心に切り込んでみたいと思います。

会場の規模はビッグサイトの3.5倍

インターモトの会場となるケルンメッセですが、まずその規模がハンパではなく1日ですべてを見て回るのはほぼ不可能です。ケルン大聖堂からみてライン川を挟んだ対岸に位置しているのですが、展示面積は日本最大の東京ビッグサイトの約3.5倍もあるそうです。

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ケルンはドイツの西の端にあり、ロンドン、パリ、ベルリンなど西ヨーロッパの主要都市から500km圏にあることから、車両メーカー以外にもドイツ本国を中心に多くの用品メーカーやカスタムビルダーなども出展しています。東京~大阪ぐらいの距離感の中に欧州の主要都市がひしめいているという、なんとも羨ましい環境ですよね。

創作とも言える奇想天外なマシンも

ということで、展示物も国際色豊かです。カスタムの傾向としてはやはり場所柄か、伝統的で職人気質を感じさせるものが多く、確かな技術で精緻に作り込まれた作品が目立ちます。

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その一方で、奇想天外というか「なんだ、コレは!?」と目を疑いたくなるような大胆な作品もあります。航空機のエンジンを搭載したマシンなど、カスタムというよりもはや創作に近いかも(笑)。会場を歩き回るだけでも次々にエキサイティングな場面に遭遇するので、何時間いても飽きることがありません。

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エンジニアリング企業や大学との連携も

また、カスタムと言えるかどうかは分かりませんが、今回新型「KATANA(カタナ)」の原型となった“KATANA3.0”を作ったエンジンズ・エンジニアリング社のような、車両メーカーに匹敵する実力を持った工学技術系の企業がヨーロッパにはたくさん存在するようです。

会場でたまたま目にして気になった電動レーシングマシンがあったので、そこのブースに座っていた立派な身なりをした初老の紳士に話をうかがってみると、彼は工学系の大学教授で、そこでお客さんの相手をしているのも学生たちだとか。民間のエンジニアリング会社との産学連携のプロジェクトで、なんとMotoEへの参戦を目指しているとのことでした(概ねそんな感じかと)。

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ひと口にカスタムといっても、その方向性もスケール感もいろいろですが、総じて本格的というか専門性の高さを感じますし、同時にモーターサイクル文化に対する懐の深さを感じました。

世界にはまだまだ知らないメーカーがある

また、カスタムとは異なりますが、新たに勃興してきた東欧系と思われるメーカーや中国系のEVメーカー、そして歴史ある伝統的なブランドを復活させた現代のマシンなど、玉石混交、主種雑多なサプライヤーが所狭しと会場を彩っています。自分が今まで聞いたことがないメーカーもたくさんありました。

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こうした出展者との接点を求めて、モーターサイクルファンである個人ユーザーだけでなく、世界中から専門業者やバイヤーたちが押し寄せてくるといった雰囲気です。そういった意味では、インターモト(ケルンショー)は東京モーターサイクルショーやEICMA(ミラノショー)に比べてB to B的なニュアンスが強いかもしれませんね。展示内容などを見ていてもそんな気がしました。

インターモト2018ではあらためて世界は広いと実感。モーターサイクルの未来がますます楽しみになってきました。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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