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よりパワフルに燃費もアップ 新世代「SEROW250」がデビュー

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA SEROW250

ヤマハからついに新生「SEROW250」が登場。8月31日より発売されることになった。

主な変更点は主に新排出ガス規制 (二輪車平成28年排出ガス規制)に適合させつつ、若干のパワーアップとテールまわりのデザインを含むマイナーチェンジが施されていることなど。

優れたトレッキング性能や扱いやすさなど、従来からのメリットはそのまま継承されている。

2輪2足で道なき道を行く山バイク

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▲SEROW225

セローは1985年にデビューしたSEROW225が元祖で、XT200ベースの空冷単気筒OHC223ccエンジンを軽量コンパクトなスチール鋼管ダイヤモンドフレームに搭載したトレールモデルとしてデビュー。

粘り強い低中速トルクとスーパーロー設定の1速ギヤを持つ当時のトレール車としては珍しい6速ミッションや、フロント21/リヤ18インチの本格的なブロックタイヤが与えられるなど、道なき道を行く「マウンテントレール」というコンセプトを具現化したモデルだった。

低いシート高と大きなハンドル切れ角を生かし、両足をバタバタと着きながら山道に踏み込んでいくような走りも可能で、タフな作りと相まってエキスパートライダーならトライアル的な扱い方もできた。

80年代のモトクロッサーレプリカ全盛期においては玄人好みというか、やや特異なポジショニングにあったモデルとして記憶している。

長距離性能がアップした第二世代

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▲SEROW250(従来モデル)

現行モデルになったのが2005年。初のフルチェンジにより排気量が拡大され車体まわりも一新、SEROW250としてリニューアルされた。

車体ベースがトリッカーに変更されて少し大柄になり、デザインもより洗練されたスマートな印象に。5速ミッションが採用されるなど、250では従来と比べるとややオンロード色が強くなった。その分、ロングレンジでの快適性が付加され、高速道路と林道を組み合わせた長距離ツーリングなどにも使いやすく、行動範囲が拡大した。

一方で、エンジン特性やライポジなどから、本当にタフな山道での走破性は225が優るという声もあるなど、好みが分かれる部分でもある。

その後はFI化や触媒の装備など排ガス規制へも対応してきたが、2017年を以て惜しまれつつも生産終了となったのは記憶に新しいところだろう。

2psアップに燃費と見た目も向上

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▲SEROW250(新型モデル)

そして今回、最新の排出ガス規制に適合させるために、「優れた環境性能と燃費性を実現するO2フィードバック制御のFI」および「蒸発ガソリンの外気への排出を低減するキャニスター」を新たに装備することでクリーン排気を実現。

また、エクステリアとして「新設計のロングタイプのリアフェンダー」に加え「点灯面積が広く優れた被視認性を備えたLEDテールランプ」が与えられ、見た目もフェイスリフトされる形となった。

スペック的に目立つ変更点としては、最高出力が18ps/7500rpmから20ps/7500rpmにアップ。最大トルクも18Nm(1.9kg-m)/6500rpmから20Nm(2.1kg-m)/6000rpmへと強化されている。数値だけ見るとピンとこないかもしれないが、このクラスにおける出力&トルクの上昇率としては決して小さくない。

車重はデバイスの影響で3kg増加しているようだが、それを補えるポテンシャルを持っているはずだ。

さらに燃費性能も40km/Lから48.4km/Lに引き上げられるなど、通勤ユーザーや長距離ツーリング派にとっては実にありがたいメリットとなっている。プライスは約6万円アップとなるが、それに見合う価値は十分に期待できそうだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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