Yahoo!ニュース

【カワサキ新型ニンジャ250 動画&試乗レポート】伸び切る高回転パワーと手の内で操れる実感!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
KAWASAKI Ninja250

来春から国内発売がアナウンスされているカワサキの新型Ninja250。その海外仕様モデルに先行試乗してきたのでレポートしたい。

新型では250と400の車体を共有化

画像

東京モーターショー2017のカワサキブースでもひと際注目を集めていた新型ニンジャ250/400。従来型では250は300と、400は650とプラットフォームを共有化した姿形も異なる別々のモデルだったが、新型では250と400が同時に開発を進められた。

つまり新型ニンジャ250/400は排気量が異なる双子の兄弟である。

3代目にしてフルチェンジした新型ニンジャ

画像

2008年にグローバルモデルとして登場したニンジャ250Rは、今日の250ccフルカウルスポーツブームのきっかけを作った立役者である。

続く2013年に発売された2代目ではデザインをZX-10Rイメージに統一し、デュアルスロットルバルブの採用やリヤタイヤのワイド化が図られるなど進化し大ヒットを記録。ニンジャの人気を不動のものとした。

そして三代目となる今回の新型ニンジャ250は車体、エンジン、外装のすべてを新設計したフルチェンジモデルとして登場した。

画像
画像
画像
画像
画像
画像

クラス最強39psを叩き出す新設計エンジン

画像

エンジンはボア×ストロークこそ従来型と同じだが、スロットルバルブ径を拡大し圧縮比を向上、新採用のダウンドラフト機構やストレート構造のエキゾーストなどの採用により、最大出力は従来型の31psを大きく上回る28.5 kW(39ps)/ 12,500 rpm、最大トルク23.5 Nm(2.4 Kgf-m)/10,000rpmを発揮。

画像

これに合わせてギヤ比も変更されている。ちなみに従来型はそれぞれ23kW(31ps)/11000rpm、21Nm(2.1Kgf-m)/8500rpmなので、ピークパワーでなんと8ps、トルクは14%も上乗せされたことになる。

これは今年デビューしたCBR250RRをも上回る現行250ccクラス最強スペックだ。

フレームと足まわりも全面刷新で7kg軽量化

画像

車体面でも新設計の鋼管トレリスフレームにプレートを組み合わせた構造とすることで、剛性の最適化と軽量化を実現。

足まわりもしなやかな乗り味にこだわりフロントフォークは敢えて正立タイプとしながらもインナーパイプ径をφ37→41mmに大径化し、リンク式モノショックも新方式に改められている。

画像

またブレーキも新型のペタルディスクとなりフロント径をφ290mmからφ310mmへと大径化しABSを標準装備するなど強化。ディメンション的にもキャスター角を立ててホイールベースを短縮しつつロングスイングアーム化を図るなどよりスポーティな設定に。

車重も従来モデルから7kg軽量な167kgまで絞り込むなど、全方位的かつ大幅なアップグレードが図られている。

スポーティかつシェイプされたライポジ

画像

まず見た目がスパルタンになった。全体的にスリムで小さくなったのは一目瞭然だが、前後長が詰まって腰高のプロポーションになり、フルカウルはエッジが効いてコンパクトに。アゴがぐっと前に出て面構えも精悍になった。いかにも走りそうだ。

跨ってみると、従来型と比べてライポジはやや前傾が強くなり、ハンドルは若干低く絞られた感じだが、ステップ位置は後ろすぎずバランスが良い。特にニーグリップ部分のスリムさが印象的だ。慎重にタイヤのグリップを確かめながらコースインするが、とにかく軽い。従来型の大柄で穏やかな乗り味に比べると、かなり軽快でシャープだ。

レーシーなサウンドと開け切れる爽快感

試乗会が行われたオートポリスは全日本選手権も開催される本格的なサーキットで、ストレートも長く高速コーナーも多いため、250だとすべての区間をほぼ全開で走ることになる。甲高いレーシーなサウンド、開け切れる爽快感は250ならではだ。

250は車体が軽くパワーも扱いやすいが、その反面コーナー立ち上がりで加速に乗せていくためには常に最大トルクをキープする必要がある。その分ギヤ選択にシビアさが要求されるのだが、新型のクロスしたミッションは回転数をキープしやすい。

伸び切る高回転パワーが持ち味

ニンジャ250の持ち味はやはり高回転だ。元々がよく回るエンジンだったが、レブリミットが引き上げられ高回転パワーが上乗せされたことで、さらに伸び切り感が出てきた。

ちなみにホームストレートでは6速全開、ピーク14000rpmでのメーター読みで160km/hを表示。走り込めばもっといくだろう。これはパワー勝負のサーキットでは大きな強みになるはずだ。

画像

マシンを手の内に感じる

ハンドリングは250クラスらしい軽快感とともにカチッとした剛性感もある。加えて進化したディメンションがスポーティな走りに一層切れ味を与えている。

従来型は車格もやや大きく安定志向のハンドリングだったが、それがワンランク軽快になった感じ。車体の軽量化とシェイプアップ効果が明らかに効いている。

前後サスペンションもしなやかだがソフトすぎることもなく、セッティング無しでガンガン攻められる。車体が軽いのでブレーキも効きすぎるぐらい減速するし、ほとんど作動させる機会がないABSも標準装備されているので安心感も高い。

常にマシンが自分の手の内にある感覚で、パフォーマンス的には大幅に高まっているはずなのに、以前にも増して自在に操れる感じがする。まずもってサーキットが楽しいマシンだ。

ただ、ペースアップしてくるとOE装着のタイヤがやや物足りない感じも。逆に言えば、より高性能なタイヤに換えればさらに本来の実力を発揮できるはずだ。

画像

ストリートでも扱いやすく快適

画像

街乗りを想定した外周路でも試乗してみたが、扱いやすいエンジンと軽い車体はいたって平和で気持ちよく、しなやかかつグレード感のある前後サスペンションの動きと、やや前傾はしているがリッターSSほど極端ではないライポジとの組み合わせも快適。

ハンドル切れ角も十分あるしトルクにも余裕が増した分、Uターンなどの低速域でも扱いやすくなった気がする。そしてスリムな車体は足着きも良好だ。長い距離をテストしたわけではないが、きっとショートツーリングなども無難にこなせるはずだ。

エンジンはよりパワフルに、走りはよりスポーティに、スタイルはよりカッコ良く進化した新型ニンジャ250。来シーズンも盛り上がるであろう、250スポーツ戦線の台風の目になることは間違いないだろう。来春の国内投入が楽しみである。

画像

【Webikeモトレポート】カワサキ「新型ニンジャ250」試乗インプレッション

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

佐川健太郎の最近の記事