【冬のライディングについて#2】冬はバイクのキャラがちょっと気難しくなる!?
いよいよ年末も押し迫ってきました。今年の冬はラニーニャ現象などの影響で例年より寒さが厳しくなりそうです。バイク乗りにとっては一大事ですね。
冬のライディングの注意点について、前回のタイヤ編に続き今回はエンジンや車体について考えたいと思います。
冬はエンジンも眠い
冬は寒くてなかなかベッドから出られないなんてことがあると思います。冬に寝起きが悪くなるのはバイクも同じで、エンジンのかかりが悪くなります。
昔のキャブレター車はもちろん、FI車でもチョークレバー(スターター)が付いた初期のモデルなどは、ちゃんとレバーを引いて空気量を絞って燃料を濃くしてやらないとなかなか始動してくれません。それは気温が低いため空気の密度が濃くなり、それに見合った燃料量が必要になるからです。なので、昔のバイクは暖気が十分に必要で、エンジンが温まるに従ってチョークを少しずつ戻してやるなどの調整が必要でした。
最新モデルではコンピュータが自動的に燃料噴射量などを調整してアイドリングを上げてくれますが、それでも低温時はエンジン内部パーツの摺動抵抗が大きく、またエンジンオイルも固いのでエンジンがスムーズに回らなかったり、急にエンストしたりすることもないとは限りません。
今のバイクは昔のように暖気に長い時間をかける必要はありませんし、むしろアイドリング状態や無負荷での空吹かしを長時間続けるのはエンジンに悪影響ですし、周囲の迷惑にもなりますので控えましょう。
正しくはエンジンを始動してアイドリング回転が安定してきたら、走りながら徐々に回転数を上げながらエンジンや車体各部に負荷をかけるようにしていくと良いでしょう。
バッテリーも弱っている
エンジンをかけようとしてセルを回し続けてもなかなか始動しないことがあります。冬に限らずですが、前述のように特に気温が低い時期はエンジン各部に負担がかかるため始動しづらくなります。
加えて冬場はバッテリー性能も低下しやすく、何度セルを回しても始動しなかったり、クランキングが弱い感じがするときはバッテリー自体が弱っている可能性が高くなります。バッテリーは化学反応によって電気を蓄える仕組みですが、低温時はその作用が低下するためです。
スマホでも寒いとバッテリーがすぐ無くなりますよね。それと同じです。ロードサービスの出動件数でも冬場はバッテリー上がりのトラブルが増えるそうです。
また、バッテリーの性能は経年劣化しますので、長く使ったバッテリーは冬になる前に交換しておくと安心です。ちなみにバッテリーの寿命は2~3年程度とされ、最近の電子制御マシンは電力消費量も大きいためバッテリーにも負荷がかかりやすいようです。
サスペンションも渋い
冬場はなぜかバイクの乗り心地が固く、サスペンションの動きが渋いと感じることはないでしょうか。
バイクのサスペンションは「スプリング」と「ショックアブソーバ」で構成されています。スプリングが路面からの衝撃を吸収する役目であるのに対し、ショックアブソーバはストローク速度を調整していています。
基本的にはオイルがピストン内部に設けられた小さな穴(オリフィス)を通り抜けるときの抵抗を利用して減衰力を生み出す仕組みですが、オイルの粘性(固さ)は温度によって変化するため、冬場は抵抗が増えて結果的にサスペンションの動きも渋くなり、乗り心地も固く感じるわけです。
その場合は、ダンパー調整機構があるモデルであれば減衰力を弱める方向でセッティングするといいでしょう。具体的には伸び側(圧側があれば同時に)を中心に2ランクぐらい下げた状態から試してみてください。乗り心地が改善されればそれで正解です。
ブレーキも効きづらい
朝走り出して一発目にブレーキが効かずにビビった経験がある人も多いと思います。
ブレーキはディスクローターとパッドの摩擦によって運動エネルギーを熱に変換して制動する仕組みになっています。ブレーキパッドにはそれぞれ適正温度があって、そこで摩擦係数が最大化する性質がありますが、冬場は全体的にブレーキ温度も上がりにくく効きも悪くなりがちです。特に走り始めはいつもより早めにブレーキをかけて効き具合をチェックするなど、慎重な操作を心掛けましょう。
ちなみにレース用などの高性能パッドは温度による性能変化が大きく、低温時の効きが弱い場合もあるので注意しましょう。
というように、冬場はバイクも寒さでいろいろと気難しくなる部分がありますので、それを見越して優しく手間をかけて付き合っていくことが大事ですね。