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【新型ハーレー FATBOB 114試乗レポート】コーナリングを心底楽しめる巨大ファイター

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HARLEY-DAVIDSON FATBOB 114

ハーレーダビッドソンの2018モデルは大きな進化を遂げた。「ダイナ」と「ソフテイル」という従来のハーレーの二大看板を統合して新型ソフテイルシリーズとして刷新したのだ。エンジンには新設計の「ミルウォーキーエイト」が採用され、排気量拡大とともに4バルブ化やツインプラグ化などにより出力性能を向上。エンジンは107ci(1745cc)と114ci(1868cc)の2タイプが用意され、車体剛性を高めるとともに車重も軽量化。サスペンションも新設計となるなどハンドリングも向上させている。

【動画】「FATBOB 114」試乗インプレッション

強気のルックスに怪物級のトルク

これは文句なくカッコいい。引き締まったフロントマスクに切り詰められたテール、巨大なエンジンにマスが集中したデザイン。

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強大なパワーとトルクを表現したようなスタイリングは、盛り上がった筋肉を誇示するファイターか荒ぶる猛牛のようだ。まさに強気のルックス。

ファットボブは新型ソフテイルの中では最も走りにこだわったマシンである。

それは、シリーズ中で唯一のカートリッジ式倒立フォークや路面追従性を高めるロングストローク仕様のリヤショックを採用している点からも明らか。

レイク(キャスター角)も28度とネイキッド並みに立っていて、旋回性重視のディメンションであることが分かる。

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エンジンはハイパワーなミルウォーキーエイト114仕様で、1868ccから吐き出されるトルクは怪物級。リジッドマウントならではのダイレクトな鼓動感とともに、ダイナマイトで吹き飛ばされるような加速感を味わえる。

それでいて、スロットルの応答は非常にスムーズで開けやすいのは、シリーズ全体に共通した優れた特長だ。ECUの制御の進化とともにデュアルバランサーやハーレー特有のベルトドライブの利点だと思う。

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ハーレーでコーナリングが楽しめる、新たな価値観

シートは段付きで怒涛の加速に対してもしっかりと腰をホールドしてくれるタイプ。

程良くライズしたワイドバーに腕を伸ばし、足を前に投げ出した威風堂々のライポジは、やや大柄だが乗っているだけで優越感に浸れるハーレーマジック。まさに陸の王者の風格だ。

ロングストロークのサスペンションは減衰力が効いていて、300kgを超す巨体でもへこたれないスポーティな作動感が好印象。

リーンアングルも32度と新型ソフテイルでは最も深く、普通のスポーツバイクの感覚でワインディングを攻めていける。

フロント150に対してリヤ180というサイズ故にやや倒し込みでの粘りはあるものの、旋回中の挙動は軽やかでスロットルを開けさえすればグイグイ向きを変えていくトラクション旋回が楽しい。

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角目のLEDヘッドライトや角張ったタンク、跳ね上がった縦2本出しマフラーを採用するなど、見た目からして超アグレッシブになったファットボブは、新型ソフテイルの中でも最もイメチェンに成功したモデルと言える。

コーナリングを心底楽しめるハーレーという、新たな価値観を確立した一台と言えるだろう。

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出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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