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【ハーレーが2018新型「ソフテイル」を日本初公開】完全新設計エンジンとシャーシで新たな歴史を刻む

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

ハーレーダビッドソンの2018モデルは歴史的に見ても大きな転換点になるはずだ。

8月末からすでに国内でも発売開始されているが、9月2日に横浜・赤レンガ倉庫前にてニュー「SOFTAIL(ソフテイル)」シリーズの一斉展示会があったのでレポートしたい。

ハーレーの二枚看板ブランドを統合

2018モデルの最大のトピックスとしては、これまで別々のシリーズとして歴史を歩んできたビッグツイン系の代表的なファミリーである「ソフテイル」と「ダイナ」が統合され、ニュー「ソフテイル」として新たに出発することになったのだ。

今回発表されたニュー「ソフテイル」は全8モデル。

ダイナのハードライディングなパフォーマンスに、ソフテイルのカスタムスタイルが融合した全く新しいファミリーとして生まれ変わった。

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▲FAT BOY

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▲HERITAGE CLASSIC

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▲LOW RIDER

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▲SOFTAIL SLIM

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▲DELUXE

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▲BREAKOUT

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▲FAT BOB

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▲STREET BOB

「ダイナ」の走りと「ソフテイル」の個性が融合

知らない人のために少し解説しておくと、「ソフテイル」とは50年代まで主流だったリジッドフレームの雰囲気を再現したモデルのこと。

リヤサスペンションを持たない旧式のフレームデザインだった「ハードテイル」に見せかけながらも、実は水平配置のツインショックを車体奥に内蔵することで快適な乗り心地を実現しているのが特徴。

つまり、昔の「ハードテイル」に対して「ソフテイル(ソフト・テイル)」と名付けられた。80年代初頭に登場し、カスタムテイストを感じさせる伝統的なデザインが多い。

対する「ダイナ」シリーズは71年に登場。ビッグツイン系の大排気量エンジンを軽快なスポーツスター系のフレームに搭載することで、ダイナミックな走りとスポーティなハンドリングを同時に楽しめるシリーズ。代表的なモデルとしては日本でも人気の高い「ローライダー」などが有名だ。

今回のブランド統合により、ダイナ系の走りの遺伝子を受け継いだ個性溢れるモデルがまったく新しいシリーズとして出揃うことになる。

剛性アップと軽量化、新型エンジンを搭載

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さて、新型「ソフテイル」の主な特徴としては、剛性を65%向上しつつ軽量化された、カーボンスチール製の最新筒型フレームにより、シャーシ全体の剛性も34%向上。従来モデルに比べて最大17kgの軽量化も実現している。

また、「Milwaukee- Eight(ミルウォーキー・エイト)」エンジンが同シリーズとして初搭載され、よりトルクフルで低振動ながら、ハーレーらしい鼓動感やサウンドが強調されている点もポイントだ。

ハーレーらしさが味わえる2タイプのエンジンを設定

新型エンジンには2タイプがあり、最新のデュアルカウンターバランス採用のMilwaukee-Eight 107エンジン(1745cc)に加え、4種類のモデルには、より大排気量のMilwaukee-Eight 114エンジン(1868cc)もセレクトできる設定に。

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吸気音やメカノイズを低減しつつ、ハーレーならではの鼓動感と特徴的な三拍子のリズム(いわゆる「ポテトーポテトーポテト」サウンド)が味わえるのが特徴となっている。

最新型エンジン「ミルウォーキー・エイト」とは

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そもそも「ミルウォーキー・エイト」とは、ハーレーが満を持して2016年に発表した最新型エンジンで、従来からの空冷45度VツインOHVの基本レイアウトは踏襲しつつ排気量を拡大。

4バルブ化に伴うデュアルスパーク化、FIスロットルボディ拡大とデュアルインジェクター化、新型フライホイールの採用やオイルポンプ・充電系統の強化など、全面的にアップグレードされている。

107エンジンは「ツーリング」ファミリー、114エンジンはフラッグシップ系の「CVO」ファミリーにそれぞれ2017モデルから採用されたものである。

なお性能面でも、スタンダードタイプの107エンジンも従来型に比べ、0-60mph(約96.5km/h)加速は10%、5速での60-80mph(128.7km/h)加速は16%と、大幅に向上している点にも注目したい。

新型サスとジオメトリ刷新で走りも磨かれた

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足まわりも刷新された。最新鋭の高性能デュアルベンディングバルブを採用したフロントサスペンションが、より応答性の高いダンピング特性を発揮し、130mmの有効ストロークが快適なクルージングと攻めのライディングを両立。

また、スプリングプリロード調整が可能な新型モノショックは、伝統的なハードテイルの外観を残しつつジオメトリを一新し、乗り心地やタイヤのグリップ性能を向上させるなどハンドリングにも磨きをかけている。

ハーレーならではの圧倒的な存在感が光る

実車を目の当りにしたが、圧倒的な存在感から放たれる独特のオーラは他の追従を許さないものがある。

ハーレーらしい力強さとエレガンスを備えたデザインは受け継ぎつつも、ディテールはぐっと洗練され、8モデルそれぞれから個性豊かなラインナップとして作り込まれている印象を受けた。まさに新時代のハーレーダビッドソンを語るにふさわしい、ニュー「ソフテイル」ファミリーの誕生である。

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なお、新型「ソフテイル」の登場を記念し、全8モデルに加え他の新型モデルも複数台が一斉展示される商談会「ALL-NEW SOFTAILデビューキャラバン」が全国9箇所で順次開催中だ。

実車をじっくりと見比べられる絶好の機会なので足を運んでみてはいかがだろう。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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