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ヤマハから新型クルーザー「Star Venture」が登場 最新ハイテク装備で北米マーケットに挑む

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA Star Venture

ヤマハから空冷Vツイン1,854ccエンジン搭載のクルーザーカテゴリーのフラッグシップモデル「Star Venture」が登場。8月から北米で発売開始となる。

「Star Venture」は“信頼性と走りの楽しさを備え、より快適に長距離ツーリングを楽しめるモデル”を望む近年の市場の声を反映して開発された。

最新の電子制御技術に加え、大型スクリーンやツアートランクを備えるフルドレス仕様で、スタンダードに加え、より長距離を楽しめる機能を備えたトランスコンチネンタルの2種のパッケージを設定した。

主要ターゲットとなる米国では、クルーザーカテゴリーが総需要の約半数を占め、なかでもフルドレス仕様のクルーザーは“夫婦での生活を楽しむライフステージの相棒“として人気があるという。ステップアップの対象モデルとして、今後も安定需要を見込んでいるとのことだ。

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主な特徴としては以下のとおりだ。※ヤマハのリリースより。

1)旅の楽しさを広げる情報システム“インフォテイメント”

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快適な“旅”をサポートする当社製品初の“インフォテイメント”システムを搭載。

7インチディスプレイのタッチパネルとスイッチによって、オーディオやナビゲーションシステム、車両情報確認やヒーター・電動スクリーン、コミュニケーション(電話・無線・パッセンジャーとの会話・SMS受信)などの操作・利用が可能です。

“旅”を楽しく、またライダーの運転操作の負荷低減を配慮したシステムです。なお、パッケージにより仕様・機能が異なります。

2018 Star Venture Infotainment System

2)上質な仕立てとダイナミックなパワーを融合させたデザイン

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《ヤマハクルーザーの最高峰としての上質な仕立てと、ダイナミックなパワーの融合》をコンセプトとし、[1]大陸横断するパワー・走る喜びの具現化、[2]長距離を走る便利・快適機能の実現、[3]カップルの時間を演出するエンターテイメント性をキーワードに車体全体、インフォテイメントのデザインを行いました。

大排気量クルーザーを象徴するVツインエンジンを中心に、そこに導かれる空気や、空気を押しのけていく推進力をフロントフェイス~サドルバック上端~リア後端に繋がるラインで表現しました。

また、金属素材を生かしたパーツ形状や表面処理をエンジン・ボディに採用、フィンなどには手作業の風味を与える仕上げに加え、快適な旅を演出するスピーカーレイアウトおよびシートやグリップのデザインにもこだわりました。

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3)吸排気系も一新、YCC-T(電子制御スロットル)採用新エンジン

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エンジンは1,854ccの空冷OHV・Vツイン・4バルブです。

吸排気系、カムプロフィール、ポート形状などを新設計し優れたトルク特性、吸排気サウンドを実現。また、当社クルーザー初のYCC-Tを採用し、滑らかなレスポンスと心地よいパワーフィーリングを楽しめます。

吸気通路はミドルカウル内側に収めるレイアウトとし、ミドルカウル内の共鳴が心地よいサウンドを作りだします。

排気系は左右2本出しマフラーで、爆発音の輪郭がメリハリよく聞こえ、低速域と高速域では排気音にそれぞれ個性を持たせました。回転上昇に伴う”サウンドの変化”を楽しめます。

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4)駐車時に便利な “SURE-PARK”

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駐車時の微調整に便利な“SURE-PARK”を採用しました。約1km/hの速度でモーター駆動により車両を前後に微動できるシステムです。

駐輪時の前進、また後進が容易に行えるので、大型モデル特有の取り回しの煩わしさから解消されます。

本場米国での実績が光るスターシリーズ

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いわゆるアメリカンタイプのクルーザーの中でも「フルドレス」と呼ばれる全装備タイプのモデルをラインナップしているメーカーは数少ない。現行モデルとして設定があるのは、本家本元である米国の「ハーレー・ダビッドソン」とそのライバル関係にある「インディアン」ぐらいだろう。

第三のアメリカン・ブランドとも言われた「ヴィクトリー」はインディアンと同じポラリス・インダストリー社の傘下にあったが、今年初めに撤退に向けて業務縮小することがアナウンスされた。

異質な存在としてはホンダの水平対向6気筒1,800ccエンジンを搭載した「ゴールドウイング」があり、北米でも独自の地位と人気を確立したロングセラーモデルとなっている。

他の国産製としてはカワサキの「バルカン1700」シリーズなどがあるが、その中でもヤマハは水冷V4エンジン搭載の「ベンチャーロイヤル」とその進化版の「ロイヤルスター・ベンチャー」、空冷Vツイン搭載の「XV1600ロードスター」から続くスターシリーズなど豊富なラインナップ展開を行ってきた実績がある。

そして今回、最新モデルの「Star Venture」の投入によってアメリカンの本丸である米国において、さらなるプレゼンスを確立するのが狙いだろう。

The All-New 2018 Yamaha Star Venture

最新電子デバイスを投入し、より快適に安全性を向上

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「Star Venture」の強みは最新の電子制御テクノロジーが投入されていることだろう。

今回新たに導入された“インフォテイメント”システムはタッチパネル式の7インチディスプレイによって、オーディオやナビ、コミュニケーションシステムなどを一元管理することで旅の利便性を高めている。

また、ライド・バイ・ワイヤーによる電子制御スロットルとDモード、トラクションコントロール、前後連動ABS、クルーズコントロールなど、ヤマハのスポーツモデルにも搭載されている安全快適デバイスが標準装備されている点も新しさを感じる。

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さらに市販車世界初となる電動モーターによる駆動装置“SURE-PARK”は、バックだけでなく前進にも対応しているところが画期的だ。

重量車が最も苦手とするパーキングでの取り回しにおいて、半クラとアクセルによる微妙なコントロールで神経を擦り減らすプレッシャーから解放されるはずだ。

久々の新型国産フルドレス・クルーザーの登場に心躍らせるファンも多いことだろう。日本への導入は未発表だが、ぜひ期待したいところだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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