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ヤマハから新たなスクランブラースタイルの提案 空冷Vツイン搭載の「SCR950 ABS」が登場

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA SCR950 ABS

ヤマハから人気の“スクランブラー”スタイルに941cc空冷Vツインエンジンを搭載したスポーツモデル「SCR950 ABS」が、5月25日より1,060,560円(消費税込み)で発売される。

北米では既に昨年7月から発売され好評を博しているモデルが、いよいよ日本にも導入されることになる。

「BOLT」をベースにスクランブラースタイルへ

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コンセプトは“Tough Explorer”で、鼓動感のあるVツインエンジンに自由度の高いライディングポジションを組み合わせ、1960年代に流行した“スクランブラー”を思わせるスタイリングを再現しているのが特徴だ。

お気付きの人も多いと思うが、ベースモデルは同じヤマハから先行発売されているボバースタイルで人気の「BOLT」である。エンジンはBOLTと共通の空冷SOHC4バルブ 60度V型2気筒942ccで最高出力40kW(54PS)/5,500rpmも同じ。5速ミッションとベルトドライブ採用であることも共通だ。

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▲ベースになった「BOLT」

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▲今回発売される「SCR950」各部デザインが異なっている

一方、シャーシはBOLTをベースにしながらも、シートレール部をほぼ水平とし薄型の新シートとの調和で幅広い乗車ポジションを獲得。その結果、タンクからシートにかけてのデザインは大きく異なっている。

エンジンをリジットマウント化し、車体強度メンバーに活用することで心地良いパルス感を演出している点もポイントだ。

スポークホイールのフロント19インチ、リア17インチでスクランブラースタイル演出

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足まわりでは、サスペンションはフロントがφ41mmの正立式を採用。

リアはピギーバック式のツインショックで、減衰特性に専用セッティングを施すことで乗り心地とスポーティさを両立。

新たにクラシカルな雰囲気を演出するスポークホイール&軽量アルミリムを採用しつつ、リヤ側を16インチから17インチに拡大させたブロックパターンタイヤを装備することでダートを含めた走行性能も向上させている。

ブレーキには前後同径のφ298mmウェーブディスクブレーキを採用、ABS標準装備とするなど安全面でも抜かりはない。

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デザイン面ではティアドロップ型の容量13リットルのフューエルタンクには、今回リニューアルした新型BOLT同様のフランジレスタイプを採用することで、「メリハリ感」と「スリム&コンパクト感」のあるボディワークを強調。ハンドルも幅広なアップタイプとしゼッケンプレート風のサイドカバーを採用。

やや上方に角度のついたスラントマフラーやフラットシートなどを装備するなど、「ダートトラッカー」風の雰囲気もスタイリッシュに融合させている点もポイントだ。

ヤマハの「スポーツ・ヘリテイジ」として味わいある1台

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ヤマハでは今回の「SCR950 ABS」について、XSR900などを含めた「スポーツ・ヘリテイジ」に属するモデルと位置付けている。スポーツ・ヘリテージとは、伝統を継承しつつも現代的な機能性や走りのパフォーマンス、今風のデザインエッセンスを加えることで伝統に新たな解釈が与えたモデルのことだ。すでに発売されている「BOLT」シリーズとともに、クラシカル&テイスティなモデルの充実が目立つ最近のヤマハである。

スーパースポーツやモトクロッサーなど高性能を追い求める先鋭化したモデルとは対極にある、ある意味で“ユルい”こうしたモデルは、日々の忙しい生活の中で「ゆとりや「味わい」を求める現代人の心に触れる魅力を持ったモデルと言えるだろう。これもまたひとつの進化の方向性である。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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