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KTM 1190アドベンチャーR試乗! 冒険マシンを林道で楽しめるか!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
世界標準の冒険マシン「KTM 1190アドベンチャーR」で林道を走ってみる

4月に入り街でも桜も咲き始めるなど、だいぶ春めいてきました。いよいよ本格的なツーリングシーズンへと突入しますね。

先日、天気も良かったので久々に林道ツーリングに出かけてみました。

若い頃は時間もたっぷりあったので、250ccオフロード車でよく旅をしたものです。1週間ほどかけてキャンプをしながら北海道を一周したこともありました。

パンクしたりスプロケットが破断したり、と様々なトラブルにも見舞われましたが、今となってはそれも良い思い出です。

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さて今回の相棒はKTM「1190アドベンチャーR」。

先日の東京モーターサイクルショーで新型シリーズのお披露目もありましたが、あらためてKTMのオフロード系アドベンチャーモデルの実力を確かめるべく、日帰り弾丸ツーリングで千葉県の房総方面を巡ってきました。

世界標準のビッグアドベンチャーの価値を確かめるべく

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「1190アドベンチャーR」はその名が示すとおり、最近世界的なトレンドになっているアドベンチャーモデルの代表格と言えます。

アドベンチャーモデルとは、長距離を一気に移動できる高速巡行性能とオフロードでの走破性を兼ね備え、“その気になれば世界の果てまでも行ける”というコンセプトで作られています。

その中でもKTMはダカールラリー16連覇などオフロード界で圧倒的な実績を誇るブランドということもあり、冒険マインドを求める一部のユーザーから熱狂的に支持されているモデルとなっています。

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アドベンチャーモデルは本当の意味での万能マシンなのですが、いかんせん問題となるのがその車格と重量です。自分自身、そんな巨大オフロードマシンを果たして日本の林道で楽しめるのか、以前から疑問に思っていた部分もあります。

今回はそれを実際に自分で走って確かめたいという狙いもありました。そこで、意を決して「1190アドベンチャーR」でトライしてみることにしたのです。

まずは車高を下げて足着きを向上

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最高出力150馬力を発揮する、排気量1190ccのV型2気筒エンジンに235kgの車重と言えば、大型スポーツバイク並みのスペックであり、これにモトクロッサーの足まわりを備えたようなモデルです。

シート高も890mmということで跨ってみると、身長179cmの自分でも両足の爪先がやっと届く感じ。

そこで、まずは車高を下げるために前後サスペンションともプリロードを最弱にしてみると、初期の沈み込みが増えてシート高も2cmぐらい低くなり、だいぶ足着きが改善されました。

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工具を使わずに手早く調整できる仕組みになっているなど、さすが分かってるなと感じる部分。ついでにダンパーも最弱にしてみると、車体の動きが軽やかになりずっと乗りやすくなりました。ちょっとした工夫で変わるものです。

意外にもジェントルで扱いやすい。そして疲れ知らず。

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実際に乗ってみると、ハンドリングは見た目以上に軽やかでフロント21インチと思えないほど良く曲がるし、エンジンも非常に滑らかでパワーフィールも洗練されています。

極低速からトルクが安定していてハンドルも十分切れるので、Uターンも普通にこなせるなど意外にもフレンドリー。KTMというとレース直系の戦闘的なイメージが強いですが、それとは異なる一面を感じました。

さらに高速道路では、持ち前のパワーと長い脚がもたらす乗り心地の良さ、優れたウインドプロテクション性能などにより、快適な高速クルーズが楽しめました。

安定感のある大柄な車体と動きのいいサスペンションのおかげで、とにかく疲れないのです。1日数百kmの移動など楽々こなせる感じでした。

本格的なダートでもムリをしなければ走破できる

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そして、今回のメインステージとなる林道。

最初こそ、ライン取りや速度に注意しながら慎重に走りますが、マシンの挙動やパワー感に慣れてくると途端に操ることが楽しくなってきました。

フラットダートはもちろんのこと、所々に倒木や崩れた岩などが転がるガレ場でも、しなやかなWP製前後サスペンションとスライドを穏やかにコントロールしてくれるMTC(トラクションコントロール)、ダート対応のABSなどの助けを借りて、これが安全に走破できてしまう。

■KTM 1190アドベンチャーR試乗! 林道走行 車載動画

タイヤも純正装着のロードタイヤでしたが、ここまで走れるとは正直驚きました。もちろんムリは禁物ですし、ヌタヌタの泥濘地ではこうはいかないでしょうが、オフロードのエキスパートでもない自分が、普通に林道を走れることが大きな喜びでした。

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ちなみにライディングモードは4種類(スポーツ、ストリート、オフロード、レイン)設定されていますが、自分的には「レイン」が最も安心して走りやいと感じました。

つまりパワーの立ち上がりが穏やかで、トラコンの介入レベルも高い設定。ダートだからといって、何も後輪を派手にスライドさせながら走る必要はないわけです。

電子制御の進化によって冒険が身近に

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別の見方をすれば、最新の電子制御のサポートがあってこそ、こうした巨大オフロードマシンでダートを走るという夢が現実に近づいたとも言えるでしょう。

テクノロジーの進化によって冒険が身近になる。これはバイクに関わらず、様々な分野で起こっていることですが、一般ライダーでもその恩恵に預かることが出来る良い時代になったと思います。

結論。大型アドベンチャーで林道ツーリングも楽しめる

もちろん、車格や足着き性なども含めて万人向けとは言えないし、電子デバイスに頼りすぎて慢心すれば危険を招くことになります。環境への配慮もますます必要でしょう。

ただ、これだけの大型アドベンチャーモデルで、林道ツーリングを楽しめる充実感と楽しさは格別のものがありますし、それが現実的なレベルで可能であることも再発見できました。

プチ冒険体験、クセになる楽しさですね!

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出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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