【試乗レポート】TRIUMPH 最新モデル『STREET TWIN』動画+試乗インプレッション
昨年秋に英国・ロンドンで発表された新型ボンネビルシリーズ。
トライアンフとしては久々のワールドプレミアということで大いに注目を集め、ブランド初期から続く伝統のシリーズの水冷化、トラクションコントロールの設定など、大胆なフルモデルチェンジが、より一層の期待を持たれる進化となっている。
ボンネビルシリーズの先陣を切って今年1月より国内への投入が開始された「ストリートツイン」の試乗インプレッションを、リアルな動画解説付きでモーターサイクルジャーナリストのケニー佐川がお伝えします。
ツインらしい鼓動感と素直なハンドリング
シリーズ中、最もモダンなライトスポーツ
今回、国内投入される新型ボンネビルシリーズは3機種あるが、その中でも「ストリートツイン」は最もモダンなデザインと軽量コンパクトな車体が与えられたモデルである。排気量も900cc(他の2機種は1200cc)であることを考えると、同じモダンクラシックラインの中にあっても、厳密にはややカテゴリーが異なるといってもいい。
ボンネビルと聞くと伝統の重みを感じるが、こと「ストリートツイン」に関してはその名のとおり、街を軽快に走り抜ける今風のライトスポーツ的なイメージに捉えたほうがしっくりくる気がする。
完全新設計の並列2気筒エンジン
エンジンはメリデン・トライアンフ以来の伝統的な並列2気筒だが実は完全新設計である。水冷化されるとともに排気量も従来の865ccから900ccに拡大し、ロングストローク化によって低中速域からトルクがアップ。加えて270度クランクの採用により、一発ずつの鼓動がより明確に感じられるようになった。
従来の360度クランクのようなシルキーな回転もそれはそれで気持ちよかったが、やはりバーチカルツインらしい粗粒なパルス感は多くのファンが待ち望んでいた“味わい”だろう。
ちなみにトライアンフのクルーザーラインには、270度クランクを採用するサンダーバードシリーズがあるが、不等間隔の弾けるサウンドはむしろそれに似ている。スペック的には従来モデルより最高出力が押さえられているが、逆にトルクが増したことで瞬発力は従来以上かも。軽量な車体を生かして加速も俊敏だ。
現代的な旋回フィールを持つ軽快なハンドリング
ハンドリングは素直で軽快。目線の向くままにラインを描けるニュートラルステアが印象的だ。エンジンをスチール鋼管で囲むタイプのクレードルフレームも、見た目は同じようだが実はこちらも新設計である。
ディメンションも見直されたことで、旋回フィールもより現代的になっている。自分の記憶が正しければ、従来型ボンネビルよりフロントに接地感が出て、舵角のつき方もより自然な感じになった。
従来のキャストホイール仕様が前後17インチだったのに対し、新型ではフロント径が18インチ化され、さら前後の重量バランスを最適化したピレリ製専用タイヤを装備していることも効いているようだ。軽快さに加え、いい意味でしっとり感が出た。
走りに安心感をもたらす電子デバイスの恩恵
電子デバイスが豊富に装備されていることにも注目したい。スロットルはライド・バイ・ワイヤ方式となり、操作フィールに若干の慣れは必要ではあるが、それ以上に大幅な燃費向上のメリットは大きいと思う。
ニッシン製の前後ディスクブレーキはタッチが分かりやすくABS作動時のキックバックも穏やか。トラクションコントロールも滑りやすい路面で試してみたが、万が一のスライド時にはしっかり作動してくれることを確認できた。
また、レバー操作を軽くしてくれるアシスト&スリッパ―クラッチは、急なシフトダウン時にエンブレを緩和してくれる効果もあるため、特に濡れた路面などでは安心。トラコン、ABSとともにライダーの心強い味方となってくれる。
スタイリッシュな多機能メーターやLEDテールランプ、シート下のUSBポートなど、伝統的スタイルの中にもモダンなセンスと最新機能を盛り込んだ作り込みは、さすが英国の誇り、ボンネビルシリーズの名に恥じないものだ。それでいて、税込100万円を切る価格は大いに魅力的である。