Yahoo!ニュース

【Pマークにひと工夫】駐車場にバイク用のピクトグラムを!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
だれでも知っている「P」マークだが……。(写真:アフロ)

観光立国としてのピクトグラム再考

観光立国を目指すニッポン、訪日外国人旅行者数も今や年間2,000万人へと迫る勢いだ。そんな中、国土地理院から訪日外国人にも分かりやすい地図記号や地名などの表記ルールを新たに作り活用を促していく案が発表された。これによると、外国人へのアンケート調査を実施した上で、看板などで既に使用されている、従来のピクトグラム(絵記号)との整合性を考慮してまとめたという。

たとえば、地図上でホテルを表す従来の「H」マークは、病院(Hospital)と混同されるのでベッドのマークに。寺院の「卍」については、外国人から「ナチス・ドイツを連想させる」という意見が多数あり、不適当と判断。代わりに「三重の塔」マークとしている。他にも郵便局の「〒」マークは外国人にとってはなじみがないので「封筒」に。病院を表す十字を囲む盾の形は「教会、盾、墓などと間違える」という意見が多く、十字を四角で囲った形が望ましい等々。日本人にとっては一般的な記号やマークも、外国人にとっては違和感を覚えるものが数多くあることが分かる。

ただ、日本のピクトグラムも捨てたものではない。と思うのは海外を旅したときのこと。異国の地で最初に関心のある施設はトイレだと思うが、海外では概ね公衆トイレが少なく観光地でも表示が分かりにくいことが多い。これに対して日本はといえば全国津々浦々どこに行っても、男女それぞれのシルエットが青と赤に色分けされ、間違えようもなく美しいほどに明確化されたマークがすぐに目に飛び込んでくる。この安心感は日本ならではの美点だ。

画像

バイク用とひと目で分かるといい

画像

翻ってバイクに関するマークはどうだろう。特にパーキング。日本ではまだまだバイク専用パーキングの数が少ないこともあり、それを示すマークもなかなか目にする機会がない。バイクを街中でちょっと駐車しようと思っても、「P」マークはたくさんあるが「バイク可」であるかどうか分からず、きょろきょろ迷ったり、入口まで行って警備員にダメ出しされることも少なくない。バイクは基本的にバック(後進)できないので、特に地下駐車場などのスロープでは身動きがとれなくなってしまう恐れがある。その場で「ここはバイク、だめだよ!」などと言われても、困ってしまうのだ。自分も経験上、それを恐れて初めての地下駐を躊躇する場合も多い。

バイク専用パーキングが増えてくれるのがベストだが、それ以前にバイクも止められる施設であることを示すピクトグラムがあればいいと思う。都市部の新しい施設などでは少しずつ増えてきたが、統一されたカタチがあるともっといい。たとえばだが、従来の「P」の横か下に「赤いバイク」や「緑の自転車」などの標準化されたマークを加えるだけでだいぶ分かりやすくなると思う。まずは既存の標識や看板にそのようなステッカーを貼るだけでもいいかもしれない。コストも手間もそれほどかからずに済むはずだ。

直感的に意味が伝わる「バイク駐車場ピクトグラム」があれば、ライダーが便利で安全になるだけでなく、ドライバーやサイクリスト、お客に来てほしいと考えるお店にとってもメリットになると思うのだ。

※原文から著者自身が一部加筆しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

佐川健太郎の最近の記事