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【モーターサイクル新潮流】最新モデルに見る2つの正常進化とは

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
KTM1290 SuperAdventure

先週から今週にかけていくつかニューモデル試乗会があり、最新モデルに触れることができました。そこで感じたこと、それは二極化の流れ。プレミアムモデルに採用される先端技術はますます進化する一方で、趣味やスタイルで選ぶモデルはさらにファッショナブルに乗りやすくなってきた気がします。

前者としてはKTMの今年の最新モデル「1290スーパーアドベンチャー」が印象的でした。ライディングモードにアクティブサスペンション、トラクション&スタビリティコントロール、コンバインドABS、その他・・・・・・といった具合に電子デバイスてんこ盛りです。特に凄いと思ったのはスタビリティコントロール。コーナリング中にフルブレーキをかけられてしまうのです。

最初は恐る恐る、次第に慣れてきて車体を傾けていきましたが、ガッツンブレーキでも何事もなかったように減速停止してくれます。KTMで実際にテストを担当された方の話では、文字どおりフルバンクからフルブレーキングできてしまうとのこと。これは従来の2輪の常識ではおよそ考えられなかったことです。160psの巨大マシンをたとえダートであっても安全に快適に走らせるためには、もはや電子制御の手助け無しには成り立たないということでしょうか。今後、高性能モデルがさらに進化していくひとつの方向性を見た気がしました。

後者ではハーレーの「ストリート750」やインディアン「スカウト」が楽しかったです。排気量が750ccから1000ccぐらいで車重も軽め。従来のビッグアメリカンというと、大きなスクリーンやカウルと、どっしりと構えたシートが印象的でしたが、最近のクルーザーはライト感覚で乗りやすく見た目もお洒落。走りもなかなかのもので、軽量コンパクトを生かしてけっこうスポーティに走ります。値段もこなれているので、これなら若者や女性などでも気軽に乗れそうですね。これもひとつの正しい方向性です。

先週の東京モーターサイクルショーの話題に続いてですが、なんか最近バイクが一層元気に楽しくなってきている気がするのは私だけではないはず。このままもっと盛り上がってくれるといいですね。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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