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臨時休校、親はどうすれば? ひと足早く「学校なし・預け先なし」を体験した保護者に聞いた

大塚玲子ライター
仕事を休めば収入が失われることも(写真:アフロ)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、週明けの3月2日以降、多くの小中学校が臨時休校となることが決まりました。そこで心配されているのが、小学校低学年の子を育てる、共稼ぎふうふや、ひとり親などへの影響です。

 休校中も、学校で低学年の子どもの登校を受け入れる、学童保育を行うなどの施策があればよいのですが、なかにはどちらの対応もない自治体もあります。となると保護者たちは、小さな子どもを家で留守番をさせるか、あるいは仕事を休まなければなりません。

 しかし、とくに母親たちは多くが休暇をとれない非正規雇用です。仕事を休めば収入も失われることとなり、ひとり親などにとっては、死活問題となります。

 筆者が住む市川市では、感染者が複数出たスポーツクラブに市内の教職員や保護者も通っていたことが判明したため、全国より一足早く、昨日(28金)から小中学校、および学童保育も休みとなりました。

 「学校なし・預け先なし」の一日を体験した保護者のひとりに話を聞かせてもらうことができたので、感じたことを教えてもらいました。

*感染おそれて祖父母も頼れず、ファミサポも不可

 小学校1年生と3年生の女の子を育てる30代の母親、Kさん。共稼ぎですが、Kさんがメインで育児を担当しています。彼女の勤務先は幸いテレワークも選択可能なので、金曜は一日テレワークで、家で仕事をしたそう。

 「うちは姉妹なので、2人でおとなしく人形遊びをしたり、敷地内で縄跳びをしたりして一日もちこたえましたが、学童が始まるまで、あと2週間(*1)もあるんです。これからどうなるのか。習い事もみんな休みだし、児童館や図書館、動植物園など、公共施設も全部お休み。外出もなるべくしないよう言われています。

 金曜は一日中“ママLINE”が飛び交っていましたが、一人っ子の1年生の男の子のお母さんは、朝から『ひまー! ひまー!』と連発されて、仕方なく夕方から買い物に連れて行かざるを得なかった、と話していました」

 Kさんと夫は、子どもたちを地方に住む祖父母のもとに預けることも検討しましたが、「90歳を過ぎるおばあちゃん(子どもから見ると祖祖母)」もいるため、「逆にもし感染させたら怖い」と思い、この案はあきらめたそう。

 「木曜の夜、全国の小中学校が臨時休校という話になり、低学年の子は学校や学童で預かるという自治体も出てきたので、『市川市も、もしかしたら?』と、みんなちょっと期待したんですが……。いまのところ何の対応もなく、途方に暮れているところです」

 聞いている筆者まで、これから春休みまでを思うと気が遠くなります。Kさんはテレワークが可能なので多少はよいですが、仕事に行けず収入が減る親はどうすればいいのか? 子どもをおいて仕事に行くしかないのか?

 筆者のようなフリーランス(自営業者)であれば、家で仕事をできますが、ただし子どもが家にいればこなせる仕事量は確実に減り、すなわち収入減につながります。となれば、精神的なストレスも高まり、子どもにあたってしまうかもしれません。

 自治体のファミリーサポート事業を利用できないかと思い、問い合わせてみたところ、もともとインフルエンザなど感染症の流行時は新規の利用を受け入れないそうで(感染拡大を防ぐため)、今回もこれに準ずる対応をとるとのこと。

 政府は臨時休校に伴って各家庭で発生する経費を負担する方針を明らかにしています(*2)が、失われる収入や精神的な負担についてもフォローが必要ではないでしょうか。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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