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PTAや学校、保護者にも考えてほしい 「詐欺で集めたお金」を受け取る意味

大塚玲子ライター
謝罪は真摯なものでしたが、被害者団体が彼らの寄付を辞退したのは当然でしょう(写真:アフロ)

 先週末、宮迫氏と田村亮氏が開いた謝罪会見が話題になりました。筆者もたまたまライブで見ていたのですが、「詐欺被害のお金」を受け取ってしまったことへの真摯な謝罪が胸に残りました。

 ただし、彼らからの寄付を被害者支援団体が辞退した、という話は当然と感じました(宮迫と亮の寄付、断られていた…「全国被害者支援ネットワーク」が辞退/スポーツ報知)。「詐欺のお金」を受け取るのは、被害者でなくても嫌なものです。

 そう感じたのは、筆者にも似たような思いがあるからです。

 ご存知のとおり、いまも多くのPTAは会員の意思を確認せず、保護者負担金(学年費や学級費など)の一種と錯覚させて団体の会費を集めています。慣習的に行われてきたこととはいえ、法的に正しいやり方ではなく、「詐欺」と言われても否定できないところがあります。

 筆者は、このようなやり方で集めたお金を受け取ることがあります。ときどき依頼をいただきPTA問題についてお話するのですが、そこで受け取る対価(講師謝礼)は、PTA会費から出ていることが多いからです(*)。

 そのようなお金を受け取ることに嫌悪感はあります。それでも自分が話をすることで、PTAが強制加入や会費の間違った徴収をやめるきっかけになればと思い依頼を受けているのですが、言い訳なのかもしれません。

 ですから私も人のことを言える立場ではないのですが、敢えて言います。PTAにサービスやモノを提供して対価を受けとるすべての人は、いま一度意識してほしいのです。みなさんがPTAから受け取るお金は、間違った方法で集めたお金を含む可能性があるということを。

 そして、もしそれを「いやだな」と感じたら、どうか、PTAや校長に「加入意思を確認してね」と言ってあげてほしいのです。本当はこんなやり方で集めたお金を受け取りたくない、だからちゃんと加入意思を確認してほしいんだ、と伝えてもらえないでしょうか。

 PTAに呼ばれて講演をする人や、広報紙を印刷する業者の人、メールサービスを提供する会社の人など、外部からもそんな声がたくさん届けば、PTAは変わるきっかけをつかみやすくなると思うのです。

 サービスの対価を受け取る人たちだけではありません。加入意思確認を行っていないPTA自身や、そういったPTAから寄付を受け取る学校、そしてP連(とくに全国組織や都道府県以上の組織)にももちろん、考えてもらいたいと思います。

 自分たちが間違ったやり方でお金を集めているということを。あるいはそのようなお金を「寄付」や「分担金」として受け取っていることを。

 「各家庭の負担はどうせ少額なんだから」

 「いいことに使っているんだから」

 「前年通りにしているだけで、悪気はないんだから」

 そう言い訳したい気持ちは私のなかにもあります。しかしそれでも、詐欺のようなやり方でお金を集めていい理由にはなりませんし、そのようなお金を黙って受け取るのが正しいことにもなりません。

 私も人のことを言えない立場だからこそ、一緒に考えようと言いたいのです。この正しくない慣習を終わらせるために、私たちはどうしたらいいのか。

  • * なおPTA研修会の講師謝礼は、PTA会費(P連分担金)からではなく、教育委員会から支払われるケースもあります(PTAが社会教育関係団体であることについては、来月別の記事で詳しく書きます)
ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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