「お金を払うからPTA活動を勘弁して」はアリ? 見落とされる根本的な問題
先日、こんなツイートが話題になりました。
リツイート数は2.5万件。まとめサイトの閲覧数も14万を超え、高い関心を集めていることがわかります。
こういった話は、PTAや子ども会、クラブや部活(民営化したものも含む)等の保護者組織で、大変よく聞きます。
この手の団体では、会員(ただしなぜか母親のみ)に労働力の提供を強制することが多いのですが(度合いはいろいろです)、「それに費やす時間や労力、心理的負荷を考えれば、代わりにお金を払うほうがいい」と考える母親が、非常に増えているのです。
昨年の秋「PTAで仕事をしない権利を1万円で出したら、たぶんほとんどの人が買う」というツイートが話題になりましたが、これも発想は同じでしょう。
PTAでおなじみのベルマーク活動についても、「大勢で長時間作業しても数千円分しか寄付できないのだから、その分を現金で納めたい」という声をよく聞きますが、これも同様です。
筆者もこの考えはよく理解できます。
昔だったら、「お金を払うより労働力を提供するほうがいい」と考えるお母さんが多かったでしょう。パートやアルバイトなど、子育て中の母親がしやすい仕事があまりなかったため(“内職”はありましたが)、母親の労働単価は大変低かったからです。
しかし、いまは違います。パートタイムの仕事も増え、母親たちはみな、PTAに費やす時間で自分がある程度稼げることを知っていますし、フルタイムで男性と同等に稼ぐ母親も増えています。
母親たち全般の労働単価が上がった今、「タダで豚汁をつくるより、お金を払いたい」と考える人が増えるのは、自然なことでしょう。
では、活動の強制をやめて、その代わりにお金を払う形にすれば、それでいいのでしょうか?
それも、アリだとは思います。実際、そういう話もちらほら聞くようになってきました。たとえば、PTAがシルバー人材センターに登下校の見守りをお願いする、などといった話は増えています。
ただし、これをやる場合には、ちょっと気を付けてほしいことがあります。
*その活動は本当に必要なものか
ひとつは、お金の提供であっても、強制してはいけない、ということです。
「無理やり活動に参加させるのはダメだよね」ということは、わりとみなさんすぐに同意いただけることと思うのですが、お金だって強制で集めてはいけません。そのほうが困る、あるいはイヤだ、という人もいます。
現状、子どもが学校に入ったら保護者を自動・強制的に会員として、会費を払ってもらう、というやり方のPTAが多いですが、そのような状態で、労働力の提供をお金で代替するなら、ただ問題が横にずれるだけになります。
まずはそもそものところ、「その活動が、本当に必要なものであるかどうか」を考えなければなりません。そのうえで、どうしても必要だということであれば、公費をあてる必要があります。
が、もし「公費はあてられないけれど、でも子どもたちのためにやりたい」とか、あるいは「すぐに公費をあてるのは難しいから、とりあえずPTAから出そう」というのであれば(そう言い続けて70年経つことがいろいろあるわけですが…)、「寄付」として、つまりあくまで「出したい人が自主的に出すお金」をあてる必要があります。
ですから、再度まとめると、もし現状のPTA等の保護者活動(労働力の提供)を会費(お金の提供)に置き換えたい、というのであれば、まずは「その活動が本当に必要か」を考え、もし必要なら、公費をあてられないか考えること。そして、もし公費をあてるのでなく、PTA予算からあてるというのであれば、「会費(加入)を強制しない」ということ。
これを確認したうえでスタートしてもらえたらいいのでは、と思います。