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「なごやめし総選挙」1位のグルメは? 地元ライターの予想はなぜハズれたのか

大竹敏之名古屋ネタライター
バラエティ豊かな名古屋めし。全国の人たちが一番食べたい!と思ったグルメは?

投票者の8割以上が地元以外から!

「1億人のなごやめし総選挙2022」。1カ月にわたる投票期間が終了し、3月4日、ついに結果が発表されました。

結果発表の前に、選挙の仕組みを紹介します。同選挙はなごやめし普及促進協議会(名古屋市、愛知県、名古屋観光コンベンションビューローなどで構成)が企画し、インターネットで誰もが好きな名古屋めし(企画タイトル・主催団体名は「なごやめし」と平がな表記、他、本文中は「名古屋めし」と表記)に投票できるというもの。候補28品目は以下の通りです(これ以外のものも記入可)。

ひつまぶし、味噌煮込みうどん、味噌カツ、手羽先、きしめん、あんかけスパ、天むす、どて煮、鉄板スパ、台湾ラーメン、味噌おでん、小倉トースト、エビフライ、鬼まんじゅう、モーニング、カレーうどん、名古屋コーチン、ういろう(ういろ)、えびせんべい、守口漬、台湾まぜそば、コーヒーぜんざい、エビおろしうどん、ころ(きしめん・うどん)、志の田うどん、ベトコンラーメン、とんちゃん、たまり煮込み

全国にその名を轟かす名物もあれば、知る人ぞ知る隠れ名古屋めしもあり。これほど多くのご当地グルメが挙がるのは、全国でも名古屋くらいではないでしょうか?

投票期間は2022年1月31日~3月1日までの30日間。のべ15万5441人が投票し、総得票数は62万9460票。主催者によると8割以上が愛知県外からの投票だったと推測されるそうで、名古屋めしに対する全国的な関心の高さがうかがえました。

投票結果発表! 名古屋ライターの予想は当たったのか!?

さて、そろそろ結果を発表しましょう。「なごやめし総選挙2022」、みんなの食べたい!食べてみたい!!の声を集め、このような順位となりました!(サイトはこちら

名古屋めしオールスターズ!ともいうべきラインナップ。あなたの推し名古屋めしの順位は…?
名古屋めしオールスターズ!ともいうべきラインナップ。あなたの推し名古屋めしの順位は…?

トップ10は以下にまとめます。

1位 ひつまぶし

2位 味噌カツ

3位 手羽先

4位 味噌煮込みうどん

5位 天むす

6位 小倉トースト

7位 モーニング

8位 名古屋コーチン

9位 きしめん

10位 エビフライ

そして、名古屋めし取材歴30年、地元ライターである筆者の自信満々の予想は次の通りでした。

1位 味噌煮込みうどん

2位 ひつまぶし

3位 味噌カツ

4位 手羽先

5位 きしめん

6位 あんかけスパ

7位 小倉トースト

8位 台湾ラーメン

9位 モーニング

10位 天むす

(初出:「『なごやめし総選挙』始まる! 地元ライターが独断でランキングを大胆予想」/2022年2月3日)

的中はゼロ! 予想ハズしまくりの敗因を分析

ぜ、全然、当たっとらんがね…! いやはやお恥ずかしい。ピタリ賞はひとつもなし。予想と結果が近かったのは「ひつまぶし2位予想→1位」「味噌カツ3位予想→2位」「手羽先4位予想→3位」「小倉トースト7位予想→6位」といったところ。「あんかけスパゲティ6位予想→14位」、「台湾ラーメン8位予想→16位」は差が大きく、何とももやもや感がぬぐえない答え合わせとなりました。

全体的な印象として、まず目を引くのは「ひつまぶし」「味噌カツ」「手羽先」「味噌煮込みうどん」の“名古屋めし四天王”(筆者が勝手に命名)の強さ。この4品は順位の変動こそあるものの過去のあらゆる名古屋めしアンケートでトップ4を占めていて、その盤石の評価が今回も証明されました。

ゆるぎない人気を知らしめた“名古屋めし四天王”。ひつまぶし=1位(うな冨士)、味噌カツ=2位(広小路キッチンマツヤ)、手羽先=3位(伍味酉錦店)、味噌煮込みうどん=4位(山本屋総本家)
ゆるぎない人気を知らしめた“名古屋めし四天王”。ひつまぶし=1位(うな冨士)、味噌カツ=2位(広小路キッチンマツヤ)、手羽先=3位(伍味酉錦店)、味噌煮込みうどん=4位(山本屋総本家)

意外だったのは5位の「天むす」と10位の「エビフライ」。名古屋めしのカテゴリーに入るのか疑問を呈する人もいる(天むすは三重県津市発祥、エビフライは東京発祥といわれ全国で食べられる)グルメが、前回2015年の人気投票よりも順位を上げ、好位置にランクインしました。

「名古屋コーチン」のトップ10入りも、過去の各種ランキングを含めて初めての快挙。1位のひつまぶしと並んで名古屋めしの中では貴重な高級・ごちそうグルメだけに、“食べてみたい”という期待感が得票につながったと考えられます。

健闘が光った4品。天むす=5位(多香野)、小倉トースト=6位(珈琲モカ)、名古屋コーチン=8位(錦三丁目鳥銀本店)、エビフライ=10位(まるは食堂)
健闘が光った4品。天むす=5位(多香野)、小倉トースト=6位(珈琲モカ)、名古屋コーチン=8位(錦三丁目鳥銀本店)、エビフライ=10位(まるは食堂)

対して、地元では熱狂的ファンも多い「あんかけスパ」(14位)「台湾ラーメン」(16位)は意外や苦戦を強いられました。他地域ではほぼ食べられず、味が想像しにくいこと、個性が強烈で好き嫌いが分かれることが、伸び悩んだ要因だったのかもしれません。

ラインナップをあらためて見渡すと、地元で親しまれているグルメは地盤の期待に応えきれなかったものもあり、逆に他地域でも知られている品が浮動票をつかんで躍進を果たした、という印象です。つまり、名古屋以外の人がたくさん選挙に参加してくれたため、地元の人の先入観をくつがえす結果になったのだと考えられます。

選挙結果を参考に名古屋めしを楽しんで!

地元以外からの投票が予想以上に多かったため、“なごやめし”の印象が強い品目に票が集まったと考えられます」。主催のなごやめし普及促進協議会もこう総評します。さらに「上位に並んだなごやめしについては、かなり不動のラインナップになりつつあります。ただし、順位=優劣ではないので、当協議会としては順位を強調する必要はないというスタンスです。今回の結果はあくまで2022年時点でのものなので、今後また同様に人気投票や認知度調査ができればと考えています」といいます。

そして、選挙の目的はもちろん「なごやめしという観光資源を活用した観光PR、観光誘致につなげること」(同協議会)。今回の選挙で「この料理は名古屋にしかないんだ」「こんな名古屋めしもあるんだ」とそのラインナップの幅広さにあらためて気づいた人も多かったはず。まずは人気上位のメニューを制覇するもよし、未体験の名古屋めしにチャレンジするもよし。総選挙の結果を名古屋めしを楽しむきっかけとして活用してもらいたいと思います。筆者もあらためて個々のメニューを日々味わい、次の選挙こそはパーフェクト!を目指します。

(写真撮影/すべて筆者 ※「なごやめし総選挙」ポスター、結果発表画像はなごやめし普及促進協議会提供)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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