名古屋喫茶はコメダだけじゃない!創業73年の老舗、売上げ増で新店舗もオープン

コンパル名物エビフライサンドはもはや“名古屋めし”のひとつ

昭和22年創業。地元っ子の信頼厚い老舗喫茶

名古屋の老舗喫茶「コンパル」の新店舗となるサンロード店が、2月27日に名古屋駅のサンロード地下街にオープンしました。同社の直営店舗としては実に36年ぶりの新規オープンとなります。

2月27日オープンのサンロード店。サンロードは名古屋で最も古い地下街で「長年の念願がかなっての出店」と若田社長
2月27日オープンのサンロード店。サンロードは名古屋で最も古い地下街で「長年の念願がかなっての出店」と若田社長

コンパルは戦後間もない1947(昭和22)年に名古屋・大須で開業。店名は創業者の若田積蔵氏(故人)が戦時中に中国で見かけた繁盛飲食店「今春」にあやかったものと伝えられます。

アイスコーヒーも名物のひとつ。氷入りのグラスとデミタスカップに入ったホットコーヒーが別々に出てきて、自分でグラスに注ぐ。苦味とコクがとびきり強いコーヒーも名古屋の老舗喫茶では王道だ
アイスコーヒーも名物のひとつ。氷入りのグラスとデミタスカップに入ったホットコーヒーが別々に出てきて、自分でグラスに注ぐ。苦味とコクがとびきり強いコーヒーも名古屋の老舗喫茶では王道だ

1957(昭和32)年には新たに開業した名古屋駅の地下街・メイチカに2号店を出店。これを皮切りに昭和40年代までに地下街を中心に支店を次々と出します。サンドイッチのテイクアウトを始めたのも同社が先駆けで、中でもエビフライサンドは名古屋みやげとしても人気を博すことになりました。

店舗数は今回の新店を合わせて全9店。立地は名古屋市内に限られます。同じく名古屋を本拠地とするコメダ珈琲店が47都道府県に850店舗以上を展開するのとは、数だけ見れば比べるべくもありません。しかし、地元のオールドファンにとってはコンパルこそが名古屋喫茶の王道。名古屋で初めてチェーン化した喫茶店で、戦後名古屋のインフラである地下街を押さえ、さらには70年以上にわたって地域密着を貫いている。そんなホームタウンに寄り添い続けてきた歴史があるからこそ、名古屋の喫茶店好きからの厚い信頼を得ているのです。

名古屋めし&レトロ喫茶ブームで脚光。創業70余年にして売上は約10%の伸び

そんなコンパルが久しぶりに新規出店した背景には、名古屋めし人気の高まりがありました。

「15年ほど前から、東京や大阪の百貨店などから声をかけていただき、催事出店する機会が増えました。そこでエビフライサンドなどをテイクアウト販売し、名古屋名物という認知が徐々に高まったと感じます。同じ頃から既存店でも遠方からの観光客が目立つようになってきた。近年は既存店の売上もふた桁前後の伸びが続いています」と社長の若田秀晴さん。

サンドイッチはテイクアウトのおみやげとしても人気。コンパルのエビフライサンドは東京でいえば「まい泉」のヒレかつサンドのような存在
サンドイッチはテイクアウトのおみやげとしても人気。コンパルのエビフライサンドは東京でいえば「まい泉」のヒレかつサンドのような存在

これは愛知万博(2005年)で名古屋がかつてないほど脚光を浴びた時期と重なります。名古屋めしの人気店に行列ができるのが当たり前の光景になったのもこの頃から。モーニングサービスなど地域独自の特色がある喫茶店も名古屋の食文化のひとつととらえられ、従来の常連に加えて観光客の人気も獲得するようになったのです。

渋さと風格漂う大須本店。平日は古くから通う常連で、週末は観光客でにぎわう
渋さと風格漂う大須本店。平日は古くから通う常連で、週末は観光客でにぎわう

さらに近年のレトロ喫茶ブームもコンパルの人気を後押ししました。大須の本店は赤いベロア地のソファや床のウッドブロックなど古き佳き純喫茶の雰囲気を漂わせ、若い世代にはこれが新鮮に映り週末は行列ができるほどに。その他の店舗も決しておしゃれとはいえない飾り気のない構えが、老舗ならではの安心感をもたらしています。

地に足をつけたこれまでのスタイルの通り、新店舗もメニューや店舗デザインは従来通り。あえて目新しい取り組みはしていないといいます。しかし、だからこそ消費者がコンパルに求める“老舗の安定感”を感じられ、これまで通り常連にも観光客にも納得を得られそうです。

コメダ珈琲店が一大チェーンとして名古屋特有のモーニングサービスを全国に広める一方で、地元密着の老舗もどっしり腰をすえ、なおかつ業績を伸ばしている。コンパルのニューオープンは、名古屋の喫茶店の層の厚さをあらためて知らしめるできごとといえるでしょう。

(写真撮影/すべて筆者)