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馬場雄大がNBA サマーリーグで得た「格闘技」のメンタル

大島和人スポーツライター
強引な突破を見せる馬場雄大(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

サマーリーグ帰りの馬場

バスケットボール男子日本代表が、9月1日にトルコ戦を迎えるワールドカップ中国大会を前に、強化試合を重ねている。8月12日、14日はニュージーランドとの連戦が行われた。相手はW杯出場国で、世界ランクも38位と日本(48位)を上回る。ホームで1勝1敗という結果は準備段階として決して悪くない。

NBAプレイヤーである八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)の合流がまずチームにとって大きい。もう一つの好材料として挙げられるのが、馬場雄大(アルバルク東京)の成長と奮闘だ。

馬場はこの7月、若手や「あと一歩」の選手が出場するNBAのサマーリーグに参加していた。ダラス・マーベリックスの一員として4試合に出場し、平均12分のプレータイムで4得点、2.3リバウンドのスタッツを残した。NBAからのオファーは得られなかったが、持ち味を出し、今後につながる糧を得た。

ニュージーランドと2試合で好プレー

彼は198センチ・90キロの体格で、なおかつ走って跳べるウイングプレイヤー。ニュージーランドとの2試合では、主力として恥ずかしくない数字を残した。12日は12得点6アシスト3リバウンド3スティールを記録。14日はチームこそ敗れたが12得点5リバウンド2スティールを記録した。12日にはチーム最多の6アシストを記録し、パスを捌く巧さも見せた。

彼が自認する代表における役割は「コートで走って、ディフェンスを頑張る」というハッスルプレー。「メインは(八村)塁なので、楽になるようにボールを渡せるかが僕たちの役目」と述べるようにエースを引き立てつつ、ハードワークでチームに貢献する献身性も前面に出している。

ニュージーランドとの2試合で驚いたのが馬場の「闘志」だ。彼はどちらかと言えば温厚で真面目で、癖がない青年。メディアにもしっかり向き合って語ってくれるナイスガイだ。しかし今回の代表戦では、その彼がワイルドな側面を見せていた。

「気持ちが出ていないとそもそも戦えない」

彼はサマーリーグで得た実感をこう説明する。

「スポーツのバスケットボールは通用しなくて、格闘技。勝つか負けるかの世界です。目の前の相手をどう倒すかなので、気持ちが前面に出ていないとそもそも戦えない。(ニュージーランド戦も)そこは出してやりましたし、勝利するためにはハッスルプレーが必要になってくる。僕が体験して気づいたことですし、今後もやりたい」

14日の試合で彼が受けたファウル数はチーム最多の7。チームがビハインドを負う展開の中で、勇気を持ってゴール下に切れ込むプレーを増やしていた。スピードに恵まれた馬場に対して、相手はファウルで止める場面が増える。ファウルを受けた馬場は時に咆哮し、時に相手を鋭く凝視するなど、気迫を前面に出していた。

馬場は言う。

「負けたくないという気持ちです。バスケットボールという戦いなので、気持ちで折れたら勝てないと思っている。元々の性格が負けず嫌いなので、そこはぶつけてやりました」

芯の強さ、負けず嫌いの気性は元から彼に備わっていたものなのだろう。しかしアメリカでの貴重な経験を経て、彼はそれを隠さなくなった。23歳の彼が見せている「脱皮」から、目が離せない。

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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