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世界中の人に、青森のおいしいりんごを! 合同会社あおなび/岡田滋さん

岡沼美樹恵フリーランスライター/編集者/翻訳者

日本が世界に誇る青森りんごを、缶詰に!

日本一のりんごの生産地をして知られている青森県。その生産量は、全国生産量の6割を占めます。近年では海外でも販売され、高級果実として人気を集めています。

そんな青森のりんごを「世界の人に気軽に味わってほしい!」と、缶詰にした青年がいます。

それが、合同会社あおなびの岡田滋さんです。

合同会社あおなびの岡田さん。青森の食材への愛にあふれています
合同会社あおなびの岡田さん。青森の食材への愛にあふれています

百貨店バイヤーからの転身

元々は不動産業界で働いていた岡田さん。「競売物件とかを扱っていたんですけれど、どうにも肌に合わなくて(笑)。それで、全然違う仕事をしてみようと、ホテルのフロント業務に就きました。そのホテルは、ある百貨店が運営していたのですが、運営がほかの会社に移ることになってしまって。それで僕は、百貨店のお菓子売り場に異動になったんです。そこで、全国のお菓子を食べているうちに、仕事が面白くなってきて。その後、営業企画を経験してバイヤーになりました。ギフトや催事を担当して、とても忙しくさせていただいていました。そのときに、全国のおいしいものをたくさんいただく機会があったんです」と、岡田さんは語ります。

青森市のランドマークでもある「A FACTORY」でも、「あおもり りんご缶」は販売されています
青森市のランドマークでもある「A FACTORY」でも、「あおもり りんご缶」は販売されています

名刺代わりに…とつくったのがこの商品

ある時、商売をしていたお父様の後を継ぐことになった岡田さんは、百貨店のバイヤーの職を辞することになります。

「父の仕事を手伝うつもりで仕事を辞めたのですけど、手伝わなくてよくなっちゃって(笑)。サラリーマンに戻る選択肢もありましたが、もともと自分で仕事をしたい、発信をしたいと思っていましたから、いいきっかけだと。やりたいことにチャレンジしようと思って独立することにしました」。

そのおいしさとキャッチ―なパッケージで人気の「あおもり りんご缶」。岡田さんは商談にも大忙しです
そのおいしさとキャッチ―なパッケージで人気の「あおもり りんご缶」。岡田さんは商談にも大忙しです

こうして、独立を果たした岡田さん。「自分は日本全国のおいしいものをいっぱい食べてきて、見てきて、舌だけは肥えている。その僕が、世の中のために何ができるかな、と考えたんです。商品は、売り手と買い手とつくり手がそろわないと成り立ちません。つくり手の思いだけ詰まっていても、売る人が『うーん…』となるとうまくいかないし、売り手とつくり手が『いいよね!』って言っても、買い手が『高いよね』ってなると売れない。売り手、つくり手、買い手の三拍子がそろっていないと難しいんです。そういうのを手助けする仕事ができたらいいな、と思ったんですけれど、実際に個人としての実績はないわけです。それで、名刺代わりの商品をつくろうと思って取り組んだのが、この商品なんです」。

最初にうまれた「プレーン」「紅茶」「ラム酒」
最初にうまれた「プレーン」「紅茶」「ラム酒」

アレンジ料理も抜群のおいしさ!

こうして生まれたのが「あおもり りんご缶詰」。

最初につくったのは、プレーン、紅茶、ラム酒の3種。

岡田さんは「ほかのフレーバーとの比較のためにも、ノーマルは必要だろうと思ったので、これは必須でした。通常、缶詰をつくるときには、酸味を加えるときにクエン酸を使うのですが、あえてレモン果汁を加えました。紅茶フレーバーは、アップルティーにヒントをもらいました。りんごが紅茶の渋みと合うんです。シロップは、アップルティーとして飲むことができます。ラム酒は大人向けのものをつくりたかったから。お酒と一緒に召し上がっていただいたり、デザートで召し上がっていただいたりしてもいいと思います。シロップを焼酎と割ってもおいしいですよ」。

「ラム酒」の缶詰をバターと塩を加えてりんごソースに仕立て、白身魚のムニエルにオン。いつもの食卓が豪華になりますよ
「ラム酒」の缶詰をバターと塩を加えてりんごソースに仕立て、白身魚のムニエルにオン。いつもの食卓が豪華になりますよ

岡田さんのもうひとつのこだわりは、シロップも最後の一滴まで楽しんでもらうこと。「SDG’Sじゃないけれど、大体フルーツ缶のシロップって捨てちゃいますよね。でも、僕はそれが嫌で。シロップもおいしく楽しんでもらえるものにしたかったんです」と。

「紅茶」に生姜とニンニク、醤油を加えて煮込んで煮豚に
「紅茶」に生姜とニンニク、醤油を加えて煮込んで煮豚に

岡田さんの真摯な商品づくりは、初出品にして、「新東北みやげコンテスト」で優秀賞を受賞。「名だたる方が審査員として名を連ねているので、評価を聞きたかったんです。初めて作らせていただいて、素晴らしい賞をいただいて、感無量です。このおかげで、よくお声がけをいただいて、いろいろな場所で販売させていただくことができました。これからは、日本全国はもちろん、海外へのお土産品としても育てていきたいです」。

アイスクリームにトッピングしたり、シロップを炭酸水で割ったり、楽しみ方はいろいろです
アイスクリームにトッピングしたり、シロップを炭酸水で割ったり、楽しみ方はいろいろです

青森、そして東北の食材をもっとおいしく

岡田さんは「青森は、果物だけではなく、海のものなど、食材は本当に豊富。特に海のものは、日本海、太平洋、津軽海峡と3つの海に囲まれていて、本当に独特なんですよ。こうした海のものとか、果物も、例えばりんごと福島の桃とか県外のものとくっつけてみたいですね」。

現在は、「カシス」「ジンジャー」「りんごジュース」を加え、6種類をラインナップ
現在は、「カシス」「ジンジャー」「りんごジュース」を加え、6種類をラインナップ

岡田さんが青森の特産品をどのように日本全国、そして世界へ発信していくのか楽しみです。

「あおもり りんご缶」の商品開発のものがたりは、ウェブメディア「暮らす仙台」でご紹介しています。ぜひご覧ください。

合同会社あおなび

青森県青森市篠田 3-26-3

担当者:代表 岡田 滋

TEL 017-753-3111

E mail: s.okada@aonabi.co.jp

https://www.aonabi.co.jp/

取材協力:JUSTINE COFFEE(ジャスティンコーヒー)

撮影:堀田祐介(blow-up)

フリーランスライター/編集者/翻訳者

大学卒業後、株式会社東京ニュース通信社に入社。編集局でテレビ誌の制作に携わり、その後仙台でフリーランスに。雑誌、新聞、ウェブでエンターテインメント、スポーツ、広告、ビジネスなど幅広いジャンルの執筆活動を行う。2016年よりウェブメディア「暮らす仙台」で東北のよいもの・よいことを発信。ローカルビジネスの発展に注力している。好きなものは、旅、おいしいものを食べること、筋トレ、お酒、こけし、猫と犬。夢は、クリスマスのニューヨーク・セントラルパークでスケートをすること。妄想は、そのスケートのお相手がジム・カヴィーゼルだということ。

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