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高橋遥投手、8か月ぶりのマウンドで打者を圧倒《阪神・安芸キャンプ》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
フリー打撃登板前に、投球練習場でピッチングをする高橋遥投手。

 きょう11日、ことし初実戦の日を迎えた阪神タイガースの安芸キャンプ。しかし!朝から思った以上に雨が降り続き、四国銀行との練習試合は朝9時前に中止が発表されています。いきなり出鼻をくじかれてしまいましたねえ。土砂降りというわけではないのですが、気温はかなり低く冷たい雨がしとしと…という感じでしょうか。

 きのう10日の練習後、きょう先発予定だった福永春吾投手に話を聞きました。きょうの登板に向けて「真っすぐをしっかり投げられるように。思ったボールを投げていきたい。バッティングピッチャーやシートもやってきて、ゲームの中で自分のピッチングができるように」と抱負を語っていました。真っすぐの強さに重点を置く、とのこと。

11日の先発予定だった福永投手。写真は9日の投内連係のものです。
11日の先発予定だった福永投手。写真は9日の投内連係のものです。

 真っすぐ以外に試したいことは?「カーブをしっかり投げられたらなあと。どのタイミングで投げるかはわからないですけど」。ゼロに抑えるのが目標?「自分の納得できるボールを投げ込むことと、やりたいことをやっていくというところです。もちろん結果も大事ですけど」

 また4番を任された陽川尚将選手のコメントもご紹介しましょう。「まずは結果にこだわってやっていきたい。打席では内容もこだわっていきます」。具体的には?「どんどん積極的に振っていくとか、淡白にならないように」。4番での思い入れというものは特にないと言っていました。

陽川選手、2019年の“安芸1号”は次の試合に持ち越しですね。これは9日のバント練習。
陽川選手、2019年の“安芸1号”は次の試合に持ち越しですね。これは9日のバント練習。

 今キャンプの課題を聞かれると「去年の後半はインコース(攻め)が多くなってきて、ファウルをしたりしていた。そこを一発で打ち返せるようにというのが1つと、ボールの見極めをしっかりやっていくこと」と答えた陽川選手です。

 なお初実戦を前に、平田勝男監督は「今やっていることを出してくれれば。結果が欲しくなるだろうけど。あとは、サインをしたり一緒に写真を撮ったりするのがファンサービスだけど、ゲームに入ったら“きびきびした動き”ってのもあるよね。だらだらしていたら失望させるから。それも最大のファンサービスだよ」とも話していました。

フリー打撃に登板した2人

 そして、きのうは2年目の高橋遥人投手呂彦青投手が、今キャンプ初めて打撃投手を務めています。ランチ後のフリー打撃に登板して熊谷敬宥選手、藤谷洸介選手、小幡竜平選手、陽川選手を相手に10分間ずつ投げました。結果を簡単にご紹介します。

【呂投手】

先に投げた呂投手。
先に投げた呂投手。

打者8人 43球 安打性の当たりは3本

(熊谷選手に左中間、陽川選手に中前と中越え。バックスクリーンを越えたか?手前か?という微妙なところだったものの、陽川選手本人が「越えていませんね」と言っていました)

【高橋遥投手】

打者9人 49球 空振りは3個(陽川1、小幡2)

続いて高橋遥投手。
続いて高橋遥投手。

安打性の当たりは2本

(どちらも3巡目の熊谷選手で中前打2本。「1本目はセカンドゴロかな。いや抜けていたかな」と熊谷選手。ヒットにしましょう。2本目は文句なしのヒットです)

 2人ともボールが多かったですね。打者の見逃した球は、呂投手が25球(うち2球はストライク?)、高橋遥投手は26球(うち9球がストライク?ハーフスイングも1球あり)でした。

監督、コーチが球の威力を絶賛

 高橋遥投手について平田監督は「コントロールにバラつきはあったにしても、球の力ってのはもう!小幡なんて最初にドンと来られて、ビックリして見逃したくらい。陽川からも空振りを取ったりして。感触を徐々に取り戻して、もう少しコントロールがよくなってくればね。久しぶりの打者との対戦だったから。それにしても球の力は見ていて迫力あるよ」と、その潜在能力の高さを改めて口にします。

 高橋建投手コーチは「力強さがある球だった。コントロールは悪かったので、そこはこれからの課題になりましたけど、腕を振って投げられたので、ひと安心です」と、まさに安堵の笑み。そして「球はすごいです。はっきり言って。故障明けじゃないような球を投げているのは確かです。球の強さは、こっちに来ているピッチャーでもトップクラス。去年と同様にすごい球を投げています」と、やはり絶賛でした。

まもなくマウンドへ向かう高橋遥投手。バッティングケージの後ろでキャッチボール中です。
まもなくマウンドへ向かう高橋遥投手。バッティングケージの後ろでキャッチボール中です。

 なお「一番よかった時?そこにはまだ届いていないけど」として、何割くらいかという問いに「難しいなあ。70%くらいかな。半分以上なのは確か」と高橋コーチは言います。陽川選手から空振りを取っていましたね。「おそらく(陽川が)力むくらいの勢いを感じていたんじゃないかなというイメージはありました。強い球を投げているのが、そこでわかりますね」

 実戦にはまだ?「コントロール、精度、これから。試合の感覚や、ランナーを置いたらどうかとか」。投げる、ということに関しては?「こちらは、いけそうな雰囲気があります。コントロールは別にして。ただバランスがまだ固まっていないのは心配ですね。そこが一番、肩やヒジに来やすいので」

「楽しかったです!やっぱり」

 では高橋遥投手のコメントです。久々の実戦…と問いかけている途中で「疲れました!」と。本当に心からの言葉だったようです。「急ピッチで投げたんで、そのせいかも」。急ピッチ?「テンポを速く投げたんです。思いっきり。疲れました」と苦笑い。変化球も試した?「最後の方は全然ストライク入らなかったんで。変化球は全部、フォームの中で投げ急いでしまった。もうちょっと、しっかり落ち着いて投げられればいいかなと思います。真っすぐも変化球も、どっちも」

ネット越しのピッチングでも、打者が差し込まれる球も多かったですね。
ネット越しのピッチングでも、打者が差し込まれる球も多かったですね。

 打者は差し込まれている印象がありましたね。収穫は?「自分の中では、もうちょっとストライクゾーンに投げれるかなと思ったので…。ストライクが入る、入らないでバッターもすごく気を使ってくれていたと思います。もうちょっと投げられたかな。でもバッターに対して投げられたのでよかった!ボール自体はそんなによくなかったんですけど」

 ヒット性が2本、うち1本はもしかすると二ゴロに打ち取った当たりでした。「バッターもまだ調整の段階ですし、ピッチャーのボールをあまり見ていないから、自分の方が有利だっただけで。実戦を積んできたら、きょうのボールでは抑えられないと思います」。実戦間隔が空いていたからばらついた?「結構、緊張もしたので。久しぶりで。あと、すごい力んじゃったかも」。ブルペンとは違う?と聞かれ「楽しかったです、やっぱり!久しぶりだな~、マウンドに立つのが久しぶりで、やっぱりいいな~と思いました」と思わず笑みがこぼれます。

熊谷選手は同期の高橋遥投手について「速い!」を繰り返しました。
熊谷選手は同期の高橋遥投手について「速い!」を繰り返しました。

 これから球数も増やして?「きょうもトータル100球以上投げたんですけど、体力がないと思われているんで。大学では体力だけが売りだったのに。“大学はすごかったなあ”と今、思います(笑)。ストライクは入らなかったけど。とりあえず、みんなに追いつけるように。まだ追いついていないので」。そして「バッターにいっぱい投げられたらいいですね。次は変化球で、もっとストライクを取りたいと思います」とまた笑顔。

 投げたくてウズウズする?「トレーナーさんの言うことを聞いて頑張ります」。最後は優等生の締めでしたよ。

 対戦した陽川選手は「真っすぐ、すごかったです。速かった」と言い、熊谷選手は「あれを久々に見たら、もう!すごいですよ。速い!速いだけじゃないなあ。キレもありますね」と目を丸くして語ります。そんな高橋遥投手から2安打。「いや最初は差し込まれていました。速い!」と告白する熊谷選手。そして藤谷選手は「速かったー!ビビりました。2月に見る球じゃない」と、とても素直な感想です。

もっと、ストライク、いっぱい

 最後に、同じく10日に今季初めてのBPを務めた呂投手は「初めてBPをさせてもらって、打者のバッティングというのはあまり気にせずに投げました。コントロールがあまりよくなかったと思います」。変化球のテーマは?「ストライクゾーンに投げること。変化球は結構ストライクが決まっていたので、よかったです」と振り返りました。

フリー打撃登板前にキャッチボールをする呂投手です。
フリー打撃登板前にキャッチボールをする呂投手です。

 次に向けて、どのあたりを改善?また上げていきますか?「一番はコントロールだと思います。ブルペンでは結構いい感じでしたが、マウンドに上がってバッターを相手にすると感覚が違うので…そこを改善します」

 そこへ通りかかった高橋コーチが「ストライク!もっとストライク、いっぱいね」と声をかけ、呂投手も「はい」と答えながら笑っていました。そうそう、呂投手はまだチョコレートをもらっていないそうですよ。これからよろしくお願いします。

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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