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望月投手が最速154キロ、3者連続三振の今季初登板!近畿大学との交流試合《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
復帰登板でいきなり150キロ超えを連発!望月投手のシーズンがいよいよ始まります。

 きょう3月30日、6つの球場でプロ野球が開幕しました。こんなに桜が満開の中で始まることって過去にあったかなあ。阪神は開幕カードが東京ドームでの巨人戦ですが、東京の桜も緑の葉が見えるほどだそうですね。甲子園の桜も今が盛り。入学式まで持つのかどうか。

 ところで、きのう29日に公示された両リーグ12球団の出場選手で、阪神はドラフト4位の島田海吏選手がルーキーで唯一の開幕1軍メンバーに入りました。4年目の植田海選手も初めて1軍で開幕を迎えています。ことしは『海コンビ』の足で、かき回してもらいたいものです。

 東京ドームの始球式は、先日の東京マラソンで16年ぶりに日本記録を塗り替えた設楽悠太選手(Honda)でした。阪神の原口文仁選手と設楽選手はともに埼玉県大里郡寄居町で生まれ育ち、学校は違うけれど同じ学年です。東京ドームで、おそらく成人式以来の対面を果たしたことでしょう。この舞台での再会が、ますます互いを高めてくれますように。

近畿大学戦は、まさに“辛勝”…

 さて、ファームはことし2年ぶりに大学チームとの交流試合を行い、27日は関西大学に6対0で完封勝ちしました。そして29日は近畿大学と2年ぶりの顔合わせ。前回は2016年3月8日、その年のドラフトで巨人に入った畠投手が先発で、取材陣もお客様も多かった記憶があります。

 ちなみに2年前の阪神は、青柳投手が4回3安打無失点、次の伊藤和投手が2安打と犠飛で1点失い、9回はトラヴィス投手が1安打無失点。一方の近畿大学は、畠投手が5回3安打無失点で、そのあと左腕の横山投手が3イニングを2安打無失点、最後は伊波投手が1イニングを無失点。つまり、阪神打線は散発6安打で完封負けを喫しました。

 きのう29日の対戦は、先制しながら8回にホームランで追いつかれ、その裏に3連打で勝ち越して3対2というスコア。辛くも逃げ切ったという感じでしょうか。2年前と同じ、横山投手と伊波投手も投げていますね。

8回に同点2ランを放った背番号25の森田選手。新1年生です。
8回に同点2ランを放った背番号25の森田選手。新1年生です。

《交流試合》

 阪神- 近畿大学 (鳴尾浜) 

 近大 000 000 020 = 2

 阪神 000 200 01X = 3

  

◆バッテリー

【阪神】小野-望月-藤谷-呂-岡本-守屋 / 長坂-小宮山(4回~)

【近大】小寺(3回)-横山(1/3回)-伊波(1回2/3)-石原(1回)-村西(1回0/3)-宮崎洸(1回) / 川上-井町(8回裏)

◆本塁打 近大:森田2ラン(守屋)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊:北條   (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

2]指:荒木   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:今成  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:小宮山 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]三:陽川   (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0)

4]右:板山   (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

5]一左:中谷  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

6]左:緒方   (2-1-1 / 0-0 / 1 / 0)

〃一:森越   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]捕:長坂   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:岡崎   (2-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

8]中:江越   (3-0-0 / 1-0 / 1 / 0)

9]二:熊谷   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

小野 3回 47球 (2-1-1 / 0-0) 150

望月 1回 11球 (0-3-0 / 0-0) 154

藤谷 1回 15球 (0-0-1 / 0-0) 138

呂  1回 23球 (0-1-1 / 0-0) 142

岡本 1回 7球 (0-1-0 / 0-0) 145

守屋 2回 33球 (2-1-1 / 2-2) 144

<試合経過>※敬称略

4回無死満塁、緒方選手の遊ゴロで先制します。
4回無死満塁、緒方選手の遊ゴロで先制します。
続いて岡崎選手が左前タイムリー!
続いて岡崎選手が左前タイムリー!
内野安打で出ていた板山選手が生還しました。
内野安打で出ていた板山選手が生還しました。

 小野は1回に12番・牧野の中前打と四球などで2死一、二塁としますが、最後は空振り三振で無失点。2回は先頭の1安打のみ。3回は三者凡退で予定を終了。打線は近大・小寺の前に1回が三者凡退、2回に2死から緒方が右前打して二盗を決めるも得点なし。3回は北條の四球のみでした。

 4回から岡崎が投手陣をリード。4回は望月が今季初登板で、いきなり152キロを出してスタンドを沸かせます。1人目はファウル2つのあと見逃し三振!3球とも152キロ。次は変化球を交えながら154キロの真っすぐで空振り三振!3人目も変化球2球と真っすぐ2球(最後は153キロ)で空振り三振!このイニングは、お客様が何度もどよめきましたね。ベンチへ戻る際も大きな拍手です。

 その裏、3連続三振の余韻が覚めない中での攻撃は陽川が中前打、板山はセカンド内野安打、中谷の四球で無死満塁のチャンス!まず緒方の遊ゴロで二塁封殺の間に陽川がホームイン、続く岡崎の左前タイムリーで板山も還って、この回2点を先取しました。

5回は藤谷投手。今季初実戦だった27日に続いての登板です。
5回は藤谷投手。今季初実戦だった27日に続いての登板です。
7回に投げて三者凡退!岡本投手の躍動感あるフィニッシュ。
7回に投げて三者凡退!岡本投手の躍動感あるフィニッシュ。
最後は守屋投手が波乱?の2イニング。
最後は守屋投手が波乱?の2イニング。

 5回は27日の関大戦で今季初登板した藤谷がマウンドへ。1死後に四球を与えるも、自身が牽制で刺すなど3人で片づけました。6回は2月の安芸キャンプで投げて以来の呂が登板して、北條が遊飛を果敢に捕る好守備で始まり、四球と盗塁を許しますが最後は粘られながら三振を奪って無失点。

 7回は岡本が三者凡退に切って取り、8回はこの日が先発予定だった守屋が登板。関大戦と同じく完封リレーかと思われたのですが…守屋は1死を取ったあと代打・竹馬に左前打され、続く1番・森田に初球の真っすぐをレフトへ!なんと2ランを浴びてしまいました。次に四球を与えたものの、何とか同点でとどめています。

 すると5回から3イニング連続で三者凡退に抑えられていた打線が、追いつかれた直後の8回裏に先頭の北條が左前打、代打・小宮山も左前打で無死一、三塁とし、陽川が左前タイムリー!3連打で勝ち越しに成功です。そして9回表は熊谷が飛び込んで二ゴロを捕るなど、内野フライとゴロで三者凡退。1点のリードを守って試合が終わりました。

「きょうは望月でしょう!」と矢野監督

 では試合後の談話、矢野燿大監督です。小野投手については「あんまりよくなかったね。特にコントロール。俺が3度見た中で一番、コントロールとか球のキレとかよくなかったけど、でもすごく心配するほどじゃない。大学生に投げにくさも、なくはないから。1つのアウトをどう取るかを大学生相手で見せてほしいと思っていた。コントロールも荒れるってほどじゃないし、心配することはないよ」と話しています。

9回は守屋投手が1点差を守って逃げ切りました。
9回は守屋投手が1点差を守って逃げ切りました。

 そのあと監督自ら「望月でしょう!きょうは」と、今季初登板した望月惇志投手の話題に。「落ちることなくキャンプからやってこられた。彼は、任せていても自分でちゃんとやれる選手だからね。154キロという球の速さも能力だけど、内面の能力を感じる。ただ3人で抑えるだけでなく、クイックもやってみようとしたみたいだし、3人目はフォークから入ったり」

 また矢野監督は「今後がますます楽しみ。イニングをこなせるようになれば、1軍のローテーションにも入っていける。高卒3年目という感じがしない。現状では申し分ないと思うよ。ケガがあって、こうやって投げられるところまで来た。内面も成長しているかもしれないね」と続けました。焦ってはいけませんが、ものすごく期待してしまいますね!

小野投手と呂投手のコメント

1軍ローテーション入りは当確の小野投手が調整登板。
1軍ローテーション入りは当確の小野投手が調整登板。

 小野泰己投手は、何か試したことがあったかと聞かれ「特に試すというより、いつも通りと考えていました」と答えています。内容については「納得いく球が少なかった。変化球を引っかけたりとか。あとはシーズンに入ってしっかり修正できればと思います。ストレートはしっかり(指に)かかったのが何球かあったので、もっと確率を上げるようにしたい」とのこと。

 3イニングというのは、もともと決まっていたそうです。これで無失点イニングが29となりました。それに関しては「ゼロで抑えられるのはいいことだと思うので、しっかり抑えたい。そうすれば勝ちもつくし、チームのためにもなる。こだわってやっていきたいです」と小野投手。次は1軍での登板でしょうか。打線の援護もお願いします!

呂投手は2月18日以来のゲーム登板。
呂投手は2月18日以来のゲーム登板。

 次に呂彦青投手。安芸キャンプ中の2月18日に行われた、高知ファイティングドッグスとの練習試合で1イニングを投げて以来、入団後2度目の登板です。「状況はだいぶ、よくなりました。ストレートはいいボールがいっていたけど、変化球でストライクを取れなかったので、修正したいと思います」

 これからの課題として「きょう一番惜しかったのはフォアボールを出したこと。ストレートのスピードをもうちょっと出せるように、変化球でストライクを取れるように」と言っていました。鳴尾浜では初登板とあって声援も大きかったですね。「ファンの方々の声援はすごく感じています。それで自分も乗っていけるところがあるので、どんどん応援していただきたいです」

復帰登板をも冷静に受け止めるモッチ―

 今季初登板となった望月投手の話です。昨年12月に腰部ヘルニアの手術をし、そこからリハビリやトレーニングに励んできました。27日に登板した藤谷洸介投手と同じく、シート打撃に2度投げてからのゲームです。試合後は「腰の痛みもないですし、そういう部分では手応えありますね」と穏やかな笑顔を浮かべての取材対応でした。

これが一歩目であり、次につなげないと意味はないという望月投手。
これが一歩目であり、次につなげないと意味はないという望月投手。

 ただ投球内容を具体的に振り返ると「変化球の精度も悪いし、ストレートも高めのボールより低めの方が、伸びとか質とかまだまだ。低めの真っすぐの精度を上げないと、と感じています」と望月投手。その点は高橋投手コーチからも指摘されたそうです。「試合全体のテーマは、ゾーンで勝負してテンポよく投げようということ。(細かなコントロールというよりは)ストライクゾーンで攻めていこうと思って。また体の使い方に関しては考えすぎず、どこかポイント1つに絞っていきました」

 フォームが少し変わった?以前より“ため”がある感じがしたので。「はい。変わりました。横を向いている時をできるだけ長くするようにしています。下半身の使い方も意識して。変えてから、バッターのタイミングが取りづらいと言ってもらっているので、継続していきたいですね」

矢野監督が「内面の能力を感じる」と評しています。
矢野監督が「内面の能力を感じる」と評しています。

 自分で考えてクイックを挟んだりしていたと監督が評価してたんですが、2死を取って「きょうはランナーが出そうにないから入れておこうかな」と思ったから?と聞かれると「いえ違います、違います!フォーク2球で、真っすぐが合っているかなと、タイミングをずらそうと思って入れただけなんです」と、これは即座に必死で訂正(笑)

 最速154キロなどで3者連続三振!その結果と、ここまで戻ってきたという思い、どちらが大きいのでしょう。「結果もですけど、とりあえず試合に投げられたので」。とはいえ「手術をして、とりあえず試合に投げられたってのはありますけど、次につなげないといけないことの方が多い」と言い、また長いイニングを投げることにも「まだそれは。イニングを重ねれば変化球も必要になってくるので、そこはまだ練習しないといけないから」と冷静なコメントです。

反省の守屋投手、勝ちをつけた陽川選手

同点2ランを浴びて、汗をぬぐう守屋投手です。
同点2ランを浴びて、汗をぬぐう守屋投手です。

 8回に同点2ランを打たれてしまった守屋功輝投手は、何だか投げにくそうに見えたと声をかけたら「投げづらかった。最悪です。悪い癖が出てしまいました。肩が突っ込んで…」と反省しきり。ことしは修正して、いいピッチングができていると言っていたのに。「はい。きょうは最悪でした。公式戦でなくてよかったですけど」。打たれたのが実は新1年生だと聞き、さらにへこんでいました。でもきっと、すぐもとへ戻るはずです。大丈夫!

 最後は陽川尚将選手です。追いつかれた直後の8回裏に放った勝ち越しタイムリーを含む2安打で、矢野監督は「これまで見てきた陽川より、ことしはレベルが上がっている」と評価。1軍の開幕をファームで迎えることで、大きく落胆する必要はないとも矢野監督は話しています。

4回、先制のホームを踏んだ陽川選手。8回には勝ち越しのタイムリーも。
4回、先制のホームを踏んだ陽川選手。8回には勝ち越しのタイムリーも。

 以前、ナゴヤ球場での教育リーグ2試合で三振しなかったことを書いたのですが、それをどこかから聞いたみたいで「きょうは三振してしまいました」と陽川選手。そう言いながらも気持ちは前を向いているのがわかる今季です。すぐ1軍に戻りましょう、と言ったら「はい。頑張ります」という返事。きょう30日のウエスタン・オリックス戦(舞洲)でも3回に先制のタイムリーを放ったみたいですね。よしよし!

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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