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今季初の同一カード3連勝!完封リレー & 陽川14号《9/11 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
3ランで生還した(右から)今成、陽川、緒方の3人。普通は打った人が先頭ですよね?

9月12日現在、ウエスタン・リーグは広島が12試合、それ以外の4チームは9試合を残すのみとなりました。首位のソフトバンクと2位の中日が競り合っていて、まだ優勝へのマジックナンバーは出ていません。阪神は3位、でも既に自力優勝の可能性はなし。4位の広島、5位のオリックスもしかりです。

9日から行われていた中日戦で、阪神が今季初の同一カード3連勝してしまったため (ソフトバンクはオリックスに2勝1敗)、だいぶソフトバンク有利になってきました。13日にソフトバンクが広島に勝つか引き分け、なおかつ中日がオリックスに負けると、ソフトバンクにマジック『5』が点灯。そして、16日にナゴヤ球場で行われる直接対決初戦が最短胴上げ日、と思われます。かなり雨に邪魔されそうですけど…。

こうなってくると、楽しみは1軍への昇格か個人タイトルに移行しますね。きのう11日に陽川選手が14号を放ち、ソフトバンクのカニザレス選手に1差をつけて単独トップに立ちました。既に1位の打点は増えていく一方だし、打率も3割を超えて、もしかして三冠も?という位置。投手部門では秋山投手も狙えそうですね。もちろん1軍優先ですから、結果的にタイトルがついてくればよしってことでしょう。

中日と最後の3連戦、失点3で3連勝!

では、きのう11日の中日戦の結果、経過とコメントをご紹介します。これが中日とは今季最後の対戦でした。先ほども書いたように、同一カード3連勝がここへ来て初めてだったとは。それでも最終的に12勝17敗1分けと負け越しですけどね。この3連戦は3対2、2対1、4対0というスコア。合わせて3点しか失いませんでした。そして決勝打は全部ホームランです。

一塁側スタンドで観戦していた西脇高校野球部の皆さん。
一塁側スタンドで観戦していた西脇高校野球部の皆さん。

そうそう、きのう鳴尾浜へ来られていた方はご存じだと思いますが、一塁側スタンドに「え、カープファン?」というような赤い団体を発見。休憩時に聞いてみたら兵庫県立西脇高校野球部の皆さんです。選手とマネージャーを合わせて44人が、朝10時くらいから来て試合終了まで(もしかすると試合後の練習も?)見学。長時間なのにキチッと並んで座り、とても熱心に観戦していました

「監督から『試合を生で見て勉強してきなさい』と言われたので、みんなで来ました。これも練習の一環です」と、しっかりしていますねえ。ちなみに女子マネージャー3人に、誰のファンか取材してみたところ「藤浪選手」「鳥谷選手」「梅野選手」という回答。梅野選手にはお知らせしておきましたよ。

《ウエスタン公式戦》9月11日

阪神-中日 最終30回戦(鳴尾浜)

中日 000 000 000 = 0

阪神 003 100 000 = 4

◆バッテリー

【阪神】○金田(4勝1敗)-榎田-高宮-桑原 / 小豆畑-小宮山(7回~)

【中日】●山井(1勝1敗)(3回1/3)-セプティモ(2/3回)-金子(1回)-ハイメ(1回)-福(1回)-西川(1回) / 加藤

◆本塁打 陽川14号ソロ(山井)

◆三塁打 西田

◆二塁打 緒方

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右:緒方  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .278

2]三:今成  (4-3-0 / 1-0 / 0 / 0) .314

3]一:陽川  (4-2-3 / 2-0 / 0 / 0) .301

〃走:一二三 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .100

〃二:坂   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .176

4]中:横田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .271

5]指:新井  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .301

6]左:江越  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .209

7]二一:西田 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .244

8]捕:小豆畑 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .211

打捕:小宮山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .238

9]遊:植田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .151

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

金田 6回 73球 (4-5-1 / 0-0 / 2.72) 148

榎田 1回 15球 (1-0-0 / 0-0 / 0.73) 136

高宮 1回 15球 (1-0-0 / 0-0 / 3.60) 139

桑原 1回 16球 (0-1-0 / 0-0 / 2.35) 147

<試合経過>

7回は榎田投手が投げました。1安打無失点でした。
7回は榎田投手が投げました。1安打無失点でした。
3安打の今成選手。5回は中日・荒木選手にタッチされて二盗失敗。
3安打の今成選手。5回は中日・荒木選手にタッチされて二盗失敗。
桑原投手は連続無失点継続中でも「まあいつかは取られますよ」と淡々。
桑原投手は連続無失点継続中でも「まあいつかは取られますよ」と淡々。

先発の金田は1回、先頭の亀澤に右前打されながら荒木の併殺打など3人で片づけ、2回も1安打のみ、3回は三者凡退。4回は先頭に四球を与えたあと井領を併殺、ここも3人で終了。ここまで二塁すら踏ませぬピッチングでした。5回に2死から初めての連打を許して一、三塁とするも無失点。6回は三者凡退で締めて交代しています。

その間に打線が先制。1回は緒方と今成の連打を得点に結び付けられなかったものの、3回に緒方が右越え二塁打、今成はショート内野安打で無死一、三塁として、陽川がまた打ちました!センターバックスクリーンへ飛び込む第14号で3点を先取し、4回には先頭の西田が初球を打って左中間三塁打!続く小豆畑の左前タイムリーでもう1点追加。

以降も毎回ヒットや四球で走者を出しながら無得点だった打線ですが、リリーフ陣が二塁に走者を置くことなくリードを守り切りました。7回は榎田が、8回は高宮が、それぞれ先頭にヒットを許すも後続を断ち、9回は桑原がクリーンアップを三者凡退!4投手の完封リレーで試合終了です。

安定期に入ってきたと久保コーチ

先発で6回を投げ4安打無死点で4勝目を挙げた金田投手について、掛布監督は「ボールの緩急と同時に、投球間隔の緩急も知るために先発で投げさせている。間合いを考えたピッチングができれば彼のプラスになるし、その方が力まないから。力まないストレートを覚えて、苦しまぎれに投げることがなくなるといい。きょうの変化球、スライダーがいいよね」と、効果ありという表情でした。

唯一のピンチ?5回一、三塁での金田投手。一塁走者は溝脇選手です。
唯一のピンチ?5回一、三塁での金田投手。一塁走者は溝脇選手です。
これを0点で抑えて戻る金田、小豆畑のバッテリー。
これを0点で抑えて戻る金田、小豆畑のバッテリー。

また久保投手コーチは「いいねえ。形ができてきたし、投げながらゲームの中でアレンジできていっているので。やりたいことが、だいぶ形になってきた。崩れにくくなったね。安定期に入ってきたかな」と、大きくうなずきながらの言葉です。

「スピードは出るけど、それを前までは “いって、いって、いって” だった。今は、いくべき時をわかってミックスさせたりできる。多彩になってきましたね。松田しかり。思惑通りにいっていますよ」と、1軍での登板が続く松田投手の名前も挙げた久保コーチ。この日の金田投手は、まさに大人のピッチングと言えますね。

「まだいけそうな感じがした」73球

では金田投手本人のコメントです。6イニング投げるのは久々だと思いますが、とても落ち着いていて余裕を感じました。「いや~余裕はないですけど、やることをしっかりやろうという感じです」。やることとは?「カウントに苦しまない。ストライク先行でいく。うまく変化球を使う。バッターの狙っていない球を投げる。配球の組み立てですかね」

画像

久保コーチは「安定期に入った」と評していたことを伝えると「安定すればいいんですけど、まだわかんないですねえ。きょうも(4回の先頭打者に)フォアボールを出してしまった。1軍でもファームでも同じように抑えることが大事なので」と金田投手はまだ不満顔でした。

ただ「セットの形とかしっかりできて、(いい時と)悪い時との差はなくなってきたかな」と言っています。今季最長の6イニングを投げてのスタミナを問われ「今までイニングの途中で足がつったりしたんですけど、きょうは大丈夫だった。まだいけそうな感じもありました」とのこと。今回は6イニングで73球、いつも通り球数少なく打ち取っています。

小豆畑選手は4回、パパになって初めてのタイムリー♪
小豆畑選手は4回、パパになって初めてのタイムリー♪

リードした小豆畑選手に聞いてみると、好投の要因は「ツーシームがうまくいっていたからじゃないですかね」と言います。130キロ半ばくらいの球だそうで「よく落ちていたでしょう?ツーシームとフォークを投げ分けていますよ。真っすぐが速いから余計に生きる」と納得の様子。これだけで話は終わってしまいましたが、小豆畑選手もナイスタイムリー!

選球眼を磨いて減点を減らすこと

次は、この3連戦で11打数7安打という掛布監督のノルマを、12打数8安打でクリアした陽川選手です。先に掛布監督の言葉。「きょうの1発はデカいよなあ!」と第14号3ランについての感想があり、そのあと「でも三振2つだからね。フォアボールを2つ選んでの11打数7安打、これがオレの理想。7回の打席も、そんなに甘いボールは投げてこないのに打ちにいってた」とダメ出しがありました。

3回に陽川選手が3ラン。ここ20試合で7本目です。まだ打ちそう。
3回に陽川選手が3ラン。ここ20試合で7本目です。まだ打ちそう。
先に来て、監督の前で帽子を脱いで一礼。嬉し泣きのポーズ?今成選手。
先に来て、監督の前で帽子を脱いで一礼。嬉し泣きのポーズ?今成選手。
そこへやっと陽川選手が。あとはタイトル画像に続きます。順番おかしい(笑)
そこへやっと陽川選手が。あとはタイトル画像に続きます。順番おかしい(笑)

「もうちょっと自分というものをわかって、“自分に対する状況判断”でピッチャーの配球を考えること」が必要だそうです。相手のピッチャーも陽川選手は、そう簡単に打ち取れるとは思っていないという自覚を持てって意味でしょうか。そういうわけで掛布監督の採点は「数字が100点、内容は60点、平均して80点」。とはいえ3試合で8安打4打点、サヨナラホームランと先制&決勝の3ランも含まれていますからね。

陽川選手本人は「結果が出るのはいいことですけど、そのあとの三振とか、1打席目の三振とか…。ボール球に手を出してますからね。1打席目、甘い球でした。あそこでランナーを進められたら初回に点が入っただろうし。最後のも甘かったのに」と反省しきり。

監督が「要求は高くなるけど、手を出さずに自分有利なカウントにすればいい」と話していましたよ。「ボール球に手を出すってのは自分でもわかっているので…。もっと選球眼をと上げていかなきゃいけないと思っています」。そのために心がけているのは?「相手の配球など考えながらっていうのも1つの方法かと。これからの課題です」

ハイタッチの順番はどうあれ、この日も決勝3ランで笑顔の陽川選手です。
ハイタッチの順番はどうあれ、この日も決勝3ランで笑顔の陽川選手です。

13日は大和高田クラブ、14日はカナフレックスの社会人チームと交流試合が予定されています。陽川選手は「どういう試合であれ、1軍に上がるためには結果と内容が大事になってくるので、一日一日を大事に」と気合いを入れ直しました。なお7回の打席で自打球を当て、珍しく途中交代となった左すねは「大丈夫です。ちょっと腫れている程度で。火曜日の試合も出ますよ」とのこと。病院へも行っていません。

残り試合も全力で!緒方&西田

そして前日の試合で、8回に代打逆転2ランを放った緒方選手。ホームランの感触を聞いたら「めちゃめちゃよかったですよ~!」と笑顔。

3回、先頭で右越え二塁打の緒方選手。
3回、先頭で右越え二塁打の緒方選手。
2回に右前打した西田選手。4回は三塁打で激走しました!
2回に右前打した西田選手。4回は三塁打で激走しました!

この試合では望月投手が嬉しいプロ初完投勝利!「最後までいくとは言われていなくて、1イニング1イニングを投げました。8回に逆転してもらったのが大きかったですね!あれで最後はすごく楽に投げられたので」と感謝しています。

その緒方選手は、きのう11日も内野安打と二塁打のマルチ。どちらも先頭打者でチャンスメイク。また、10日は緒方選手の前で中前打を放って逆転のお膳立てをしたのが西田選手でした。きのうも2回に右前打、4回は左中間三塁打で「よかったです。いい感じですね。打たないと出られないので」とコメント。残り試合にかける思いは、みんな同じ。なんとか雨予報を覆して試合ができますように。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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