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1軍もファームも、9回に逆転満塁弾を浴びて負けた日…《6/2 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
この人の満塁弾で負けた阪神ですが…あえてオリックス・武田選手の写真を冒頭に!

きょう3日、中国・四国地方と近畿地方の梅雨入りが発表されました。きのうからの天気予報で「あすの雨で近畿も梅雨に入りそう」と言っていたので、まあ予想通りです。西宮市は日付の変わる頃から降り始め、明け方はかなりの雨。でも午前中に上がる見込みだったせいか、鳴尾浜のウエスタン・オリックス戦は中止が決まるまで結構かかりましたね。9時過ぎの段階ではまだ出ていなかった気がします。

まさか×4くらいの2試合

さて、きのう2日のオリックス戦は先制されて逆転して、追いつかれて勝ち越してという接戦でした。8回までは…。先発の秋山投手は1回と5回に1点ずつ失ったものの、他はしっかり抑えてゲームを作っています。しかし9回に渡辺投手がまさかの満塁ホームランを打たれて逆転負け。それだけでも驚いたのに、夜は1軍が同じく9回に、同じく逆転満塁ホームランで負けました。まさかの呉投手が、しかも2死ランナーなしから打たれたなんて。

鳴尾浜と甲子園をハシゴされたファンの方も多かったはず。それはもうショックでしょうけど、1日に2本もグランドスラムを目撃って、ある意味すごいかもしれません。おまけに2本とも9回の逆転弾。ことしの阪神タイガースは延長戦とかサヨナラ勝ちとか、親子揃っての出来事が多いですね。負ける時は別々でいいのに。両方とも見てしまったという皆さん、本当にお疲れ様でした。

《ウエスタン公式戦》6月2日

阪神-オリックス 12回戦 (鳴尾浜)

オリ 100 010 006 = 8

阪神 000 201 001 = 4 

◆バッテリー

【阪神】秋山-小嶋-●渡辺(1敗)-藤原-田面 / 梅野

【オリ】佐藤峻(5回)-中山(1回)-鈴木(1回)-小松(3勝2敗1S)(1回)-大山(1回) / 若月-伏見(8回)-田中(9回)

◆本塁打 武田3号満塁(渡辺)

◆三塁打 横田、吉田雄

◆二塁打 山本

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:大和  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .375

〃右:緒方  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .217

〃打:原口  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .228

2]二:森越  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .258

〃二:黒瀬  (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .188

3]遊:北條  (3-0-0 / 1-2 / 0 / 1) .247

4]右中:江越 (5-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .287

5]捕:梅野  (5-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .393

6]指:新井  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .222

〃打指:岡崎 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .270

7]一:中谷  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .301

8]三:坂   (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

〃走三:西田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .200

9]左:横田  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 1) .198

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 7回 105球 (4-1-1 / 2-1 / 2.53) 143

小嶋 1回  11球 (0-0-1 / 0-0 / 1.45) 140

渡辺 0.1回 17球 (3-1-1 / 4-4 / 4.85) 143

藤原 0.0回 4球 (0-0-2 / 2-2 / 5.14) 139

田面 0.2回 16球 (2-1-0 / 0-0 / 3.38) 131

経過1 打線は二度勝ち越し

秋山投手は先発して7回4安打2失点(自責1)でした。
秋山投手は先発して7回4安打2失点(自責1)でした。

秋山は1回、先頭の小田をショート北條の捕球エラーで出し吉田雄の右前打で無死一、三塁。続く宮崎の中犠飛で1点を失います。2死後に奥浪の左前打で一、二塁となるも岩崎を二ゴロに打ち取って最少失点にとどめました。もちろん自責点は0です。そこから2回、3回は三者凡退。4回も先頭・伏見への死球、奥浪の犠打、岩崎の飛球を捕ったレフト横田の送球エラーで2死三塁としますが、若月は遊ゴロで無失点。このとき北條の送球が低すぎ、ファーストの中谷は“開脚キャッチ!”ナイスでした。

一方、2回は1死から新井の死球と中谷の左前打、2死後に横田のピッチャー内野安打(地面でクルクル回る打球を佐藤峻がつかめず)で満塁とするも大和は左飛でチャンスを逃した打線。3回も相手エラーや梅野の左前打など、毎回ランナーを出しながら無得点でした。でも4回2死から横田がレフトフェンス直撃の三塁打を放ち、大和の見事な左前タイムリーで同点!さらに森越の中前打でエンドラン成功、大和は三塁へ。北條が四球を選んで2死満塁となり、江越の時に暴投で勝ち越します。

本文とは無関係ですが…中谷選手の打席でバットにボールが当たる瞬間。
本文とは無関係ですが…中谷選手の打席でバットにボールが当たる瞬間。

ところが5回、秋山が山本の三塁線を破る二塁打などで2死三塁として吉田雄にタイムリー三塁打を浴び、再び同点。先ほど自身も三塁打を放った横田は、ジャンプしながらレフトフェンスにぶつかっていきましたが捕れず。倒れたため心配したものの起き上って送球。三塁打にはなったけれど無事で何よりです。

6回は4番・伏見から三者凡退に斬って取った秋山。その裏、オリックス2人目の中山に対して先頭の坂が左前打、横田は遊ゴロでランナーが入れ替わり、緒方に投ゴロで2死二塁。黒瀬の右前タイムリーでまたまた勝ち越しに成功!7回も三者凡退だった秋山は、4安打2失点(自責1)で交代しました。8回は小嶋が登板。先頭の小田に四球を与え犠打と右飛で三塁まで進めますが、伏見を遊ゴロ(ここは北條の好捕と好送球)で無失点。

経過2 9回に6失点で大逆転を許す

そして9回、マウンドへ向かった渡辺は奥浪、岩崎に連打されたうえに暴投で無死二、三塁。代打・田中に四球を与えて満塁とし、続く8番の武田にカウント2-1からの4球目をレフトへ…。打った瞬間に誰もが確信するほどの当たりは、横田がほんの一瞬動いただけでレフトの防球ネットに突き刺さりました。まさかの逆転満塁ホームラン!これで6対3と引っくり返され、山本から三振を奪ったところで渡辺が降板します。

派遣先のBCリーグから“里帰り”中に登板した田面投手。
派遣先のBCリーグから“里帰り”中に登板した田面投手。

代わった藤原は小田に死球、続く吉田雄にも死球を与え、たった4球で交代。ついでBCリーグに派遣中の田面が、久々に鳴尾浜での登板です。1死一、二塁で宮崎に左前打されて満塁となり、伏見の左前タイムリーで2人を還したあと奥浪を三飛、岩崎を空振り三振に斬って取りました。

7回は鈴木、8回は小松の前に三者凡退だった打線。8対3とリードを広げられた9回は大山から、まず先頭の代打・原口がストレートの四球を選びます。1死後に北條が遊ゴロで一塁に残り、江越の右前打で2死一、二塁。梅野が放った打球はサード奥浪の頭上に伸ばしたグラブをかすめてレフト前へ!二塁から北條が生還して1点を返すも、反撃はここまで。最後は新井が空振り三振で試合終了です。

秋山、立ち上がりの安定を求めて

「コースにきっちり投げること」を優先したという秋山投手。
「コースにきっちり投げること」を優先したという秋山投手。

中6日で先発した秋山投手は「毎回、立ち上がりが…。立ち上がりだけ。いろいろ努力はしたい」と先取点を許した初回を悔やみます。そして「全体的にファウルで粘られることが多く、三振が1つで無四球の割には球数が多かった。何とか、という感じです」と振り返りました。確かに前回は7回で87球だったので、今回の7回105球は多めですね。

また「スピードよりコースにきっちり投げることを優先しました。コントロールはそれなりに安定してきて、ちゃんと狙って投げられています。今までスピードなり角度なり、いろいろ求めてきたけど、今はシンプルにしっかり操れるところで投げられていると思う」と話しています。

「球数的には6回が終わったところで90球くらい?7回は7番からだったので、そこをしっかり抑えればまだあるかなと思った。でも次のピッチャーもいるから」。本人はまだいける状態だったわけですね。次に向けては「もうちょっと辛抱して低めを投げ続けるとか、勝負どころでのピッチングをもっと全体的に考えて投球していきたい」とのことでした。

久保投手コーチは「まあまあ良くなってきています。立ち上がりね。立ち上がりというのは心の中にまだ波が立っているところ。落ち着くまでどれくらい時間がかかるか、だね。またピンチを迎えると“点はやりたくない”って、やはり波が動く。それが如実に見える。技術的に抑え込むか、精神力でいくのか。もう一皮かな」と秋山投手を分析しています。なお終盤のリリーフ陣については、このところ二神投手が打ち込まれ、鶴投手は1軍ということもあってか「小嶋のあとに渡辺とか、やってみたんだけどね…」と言葉は少なめ。

“里帰り登板”の田面

久々にタテジマで鳴尾浜のマウンドに立った田面投手。拍手も大きかったですね。
久々にタテジマで鳴尾浜のマウンドに立った田面投手。拍手も大きかったですね。

その久保コーチが「普通に投げてくれたからホッとしました。打たれる分はいいねん」という田面投手。連打で藤原投手が出した走者2人を還してしまいましたが、それより四死球で崩れてしまうようなことはなかったのでよしということでしょう。それにしても、3月下旬からルートインBCリーグの福井ミラクルエレファンツに派遣されている田面投手が投げるとは思わなかったのでビックリしましたね。

浜田ファームディレクターによれば、こういう場合はNPBへ事前の申請が必要で、田面投手も既に申請済みのためウエスタン公式戦での登板となったわけです。これまでも福井の試合がない時にメディカルチェックで2日間ほど帰ってきていて、甲子園開催試合の“お出迎え”に登場した田面投手に驚かれた方がありました。きのうも、もう帰ってきたと思われたのでは?きょうまた福井へ戻りますが、あと少しでトラヴィス投手と交代。早いものです。

サード受難、これをチャンスに

実戦復帰した新井選手。「バッティングの形は悪くない」と掛布DC。
実戦復帰した新井選手。「バッティングの形は悪くない」と掛布DC。

この試合には、左膝の打撲で登録を抹消された新井選手が6番DHでフル出場。5打席に立って四球、遊ゴロ、遊飛、遊ゴロ、三振でした。掛布DCいわく「バッティングの形は悪くない。結果が出ていないだけでボールを見る形はいい。タイミングも、練習では合っているけど実戦ではブレがある。あとはこの3連戦の中で、きっかけの1本なりが出れば」とのこと。新井選手本人は「膝の方は特に問題なかったです。今やっていることをしっかりやるだけ。(守備は)守れるなら守りたいけど、状態を見てからじゃないですか」と話しています。

残念ながら、きょう3日の試合は中止になってしまいましたが、あすはできるでしょう。そこで守備にもついて問題なければ1軍復帰へ、という段取りと思われます。きのうは関本選手が左わき腹を痛めて登録を抹消されたため、坂選手が昇格。6回を終えたところで荷物を抱えて甲子園へ移動しました。何年か前にショートの受難が続いたタイガースですが、ことしはサードですかねえ。

決して災難を歓迎などしてはいませんけど、小虎にとってのチャンスでもあるわけで。でも「サード…」と微妙な表情の北條選手は、先日の1軍昇格について「ずっと親子ゲームやったんで1軍にいた気がしない」と苦笑いです。戻ってきてからナゴヤで2戦連発。3試合連続ホームランも期待していたと言ったら「僕も打つんちゃうかと思いました」とニヤニヤ。なお初回のエラーは「タイミングが合わなかった。あれを僕が捕っていたら、試合は勝っていたはず」と大反省でした。

なお『小虎日記』ですけど、逆転満塁ホームランを放ったオリックス・武田選手の話を、次の記事でご紹介します。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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