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松田遼馬が152キロ!チームは2年4ヶ月ぶりの7連敗《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
20日のソフトバンク戦で9回に登板した松田投手。自己最速の152キロが出ました!

きのう20日、阪神は1軍もファームも途中まで1対1という緊張感あるゲームでした。でも結果は違いましたね。ファームは相手エラーで同点にしたものの、9回に松田投手が打たれて敗戦。とはいえ松田投手が150キロ超えを連発してくれ、お客様は「ええもん見たね」という雰囲気に…と感じたのは私だけでしょうか。鳴尾浜でバックスクリーンの球速表示に『152』を出した阪神の投手は初めてだと思います。

しかし現実に戻ると、チームはこれで7連敗。4月24日から5月4日までの6連敗が最多だったので今季ワーストです。2013年は4連敗までしかしていなかったようで、2012年3月24日から4月7日まで、引き分けを挟んで8連敗して以来のことだと判明しました。惜しい戦いもあるんですけどねえ。

《ウエスタン公式戦》8月20日

阪神-ソフトバンク 22回戦 (鳴尾浜)

ソフ 010 000 001 = 2

阪神 000 001 000 = 1

◆バッテリー

【阪神】二神-高宮-榎田-●松田(2敗) / 小宮山

【ソフ】オセゲラ(7回)-○嘉弥真(1勝)(1回)-S江尻(1敗11S)(1回) / 拓也

◆本塁打 猪本13号ソロ(二神)

◆二塁打 西田、真砂

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]右:緒方   (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .294

2]二:北條   (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .242

3]三:陽川   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .248

〃打:柴田   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .260

4]指:森田   (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .278

〃走指中:田上 (1-0-0 / 0-0 / 1 / 0) .125

5]一:原口   (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

6]左:中谷   (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .182

7]捕:小宮山  (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .174

8]遊:西田   (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .236

9]中:横田   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .182

〃打:高山   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .192

〃投:松田   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

二神 6.2回 97球 (7-6-0 / 1-1 / 1.57)

高宮 0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 2.41)

榎田  1回 8球 (0-0-0 / 0-0 / 1.16)

松田  1回 18球 (2-1-0 / 1-1 / 9.64)

打線は4安打、タイムリーなし

前日同様、ソフトバンクが2回に先取点。6番の猪本が二神の真っすぐをレフトへ運びました。おなじソフトバンクの塚田がリーグトップの14本で、1本差に迫る13号です。それ以外は1回が牧原の右前打のみ。3回には亀澤と牧原にヒットを許し2死一、二塁としますが、4番・江川は一邪飛で無失点。4回と5回は三者凡退で、6回に松田の右前打を許しただけ。6回まで5安打1失点で連打はなく、しっかりゲームを作っています。

打線はオセゲラの効果的な変化球に翻弄され、4回までパーフェクト。しかも前日の7回から7イニング連続で三者凡退です。ようやく5回2死から中谷が右前打!ここは得点なしでしたが、6回に先頭の西田がライナー性の打球を左翼線ギリギリに落とす二塁打を放ち、横田がこれまた三塁線ギリギリに転がす絶妙の犠打で1死二塁。続く緒方の強烈な打球がオセゲラを強襲するも遊ゴロで2死。でもダメージはあったのか、次の北條はストレートの四球。2死一、三塁となり、続く陽川の打席でオセゲラが一塁へ送った牽制球が大きく逸れて、その間に西田が生還!

追いついてもらって続投の二神は7回、猪本に中前打、2死後に拓也の中前打で一、二塁となったところで交代です。高宮が2球で亀澤を投ゴロに打ち取って事なきを得ました。8回は榎田が登板し、わずか8球で三者凡退!その間の打線は7回に先頭の森田が中前打、代走の田上が1死後に盗塁を決めるも得点ならず。8回は緒方が2人目の嘉弥真を強襲する内野安打で出ただけです。

1対1のまま迎えた9回は松田がマウンドへ。投球練習から150キロという表示が出てスタンドを沸かせましたが、先頭・塚田への初球は151キロでストライク、そして空振りさせた3球目が152キロ!「おお~」というどよめきが漏れる中、以降も150や151と全部ストレートで7球を投じ空振り三振!次の真砂にはまず112キロのカーブ(ボール)、次の148キロをファウルされ、ソフトバンクのベンチから大歓声。なるほど、初めてバットに当たったということですね。そして3球目は139キロのスライダーで、これをレフトへ。中谷の返球で北條が二塁へ入りタッチしたもののセーフ。二塁打となりました。

川島は初球148キロで中飛に打ち取り2死。しかし真砂を三塁へ進めてしまいます。続く安田にもすべて150キロ前後の直球勝負で、カウント2-2からの7球目を打たれ…左前タイムリー。3死目は小宮山の盗塁阻止でしたが、土壇場で勝ち越点を与えてしまった松田。その裏は江尻の前に代打・柴田、田上、原口が三者凡退。試合終了です。

「このままだと1軍では捕まる」

まず二神投手の談話からご紹介します。台湾のウインターリーグで仲良くなったという猪本選手に、思いっきり叩かれたホームランで「ほんと容赦なく、でしたね」と苦笑い。「インコース要求の真っ直ぐが甘めに…。失投です。きょうはインコースをしっかり投げ切れなかった。カットボールを外に投げたりしたけど、外に目付けされ、インコースが効いていなかったですね。そこが反省点。小宮山さんもサインを出しにくかったと思います」。でも外角の球はよかったのでは?「スライダーと真っすぐをアウトコースに集められたのでピンチも抑えられたんですけど、裏を返せばインコースがうまく使えていないからと。幅を広げる意味でも内を使いたかったのに、使いきれなかった」

6回に塚田選手から奪った三振はスライダーでした。打ち取ったものの「あそこでフォークとかがあればいいんですよね。落ちる球をしっかりモノにできていないので。ツーシームなりフォークなりピンチで投げられる、自分の中で信頼できるボールにしていきたい。でないとキャッチャーがしんどい」と言います。ソフトバンク戦はことし相性がいいらしく「復調にきっかけになれば」と二神投手。そして「アウトコースの球が投げられたから6回いけましたが、1軍では捕まるかもしれないと肌で感じています。まだ足りない」と表情を引き締めました。

次に、左肩の違和感で離脱していた榎田投手が順調に回復して初実戦。でも8球で終わっちゃいましたね。「もうちょっと投げたかったのは投げたかったですけどね。違和感があった時に比べて、しっかり問題なく投げられた。ただボールの感覚がもうちょっとかなと思います」。もうちょっと?「自分としては、もっとしっかり投げたい。結果は打ち取れていますが、振り遅れてファウルだったり…。うーん、僕としてはどうかな~と思いますね。打ち損じてくれてるんで」。真っすぐ主体は意図的に?「ソフトバンクのバッターは、真っすぐのタイミングで振ってくる。その中で勝負できればいいなと。真っすぐの感覚をつかみたいというのもあって多めにしました。真っすぐで打ち取れたのはよかったかも」

152キロは出たけど、変化球がまだまだ

松田投手はちょうど1週間ぶりの登板でした。152キロ出たねと声をかけたら「出ましたねえ。でも0点に抑えないと」と、笑顔はありません。昨年の侍ジャパンで出た151キロが自己最速だったので、更新?「去年のは僕、152と聞いていたんですけど。あれ?勘違いかなあ」。でもまあ最速には変わりないでしょう。浮かない表情なのは、自己最速より失点したことの方が大きいからかと尋ねると「同点の場面で、いっぱいピッチャーがいる中で出してもらったのに…。そういう結果も大事にしていきたい」と悔しそう。

18球中、16球がストレート。「きょうは真っすぐが走っていたというのもあったし、変化球の精度がまだまだなので。でも真っすぐに頼って打たれた。去年の課題ができていない」。真っすぐがよくなったのは何かやって?「いろいろフォームを見直したりしました。体の開きが早かったので、それを抑えるのにどうしたらいいかと考えて。まだまだ課題はいっぱい。真っすぐは高いし、変化球がまったくダメっていうぐらいなので。やること多いですねえ。しっかり練習していかないと。きょうは真っすぐ自体、悪くなかった。もっと練習して低く投げるとかしていきたい」と話していました。

久保投手コーチは松田投手について「だいぶ振れてきましたね。よくなる兆し。150キロオーバーしてきたんで。これが続くように。続いてやっと安定期に入る。あとはタテの変化を望むんだけど、何か相手に感じさせるボールがないと。真っすぐしかないと相手は思う。まだ変化球もまともに放れないので。いつもスライダーを打たれる。真っすぐのタイミングで。そのためには相手を惑わせるタテのボールがないと」とコメントしています。

8日に抹消されたあと19日が初登板で8回2死一、二塁の場面を抑え、きのう20日も7回2死一、二塁で出て2球で片づけた高宮投手。どちらもランナーを置いての登板だったのは「たまたまですよ」と笑います。続けて「調子は悪くないですね」というように、ファームではオールスター明けに投げた5試合が無失点。「10日間は過ぎたけど、いつでも行ける準備はしています」とのことでした。

この他の選手の話などは、あすまた書かせていただきます。

今週末の鳴尾浜では23日(土)が京都大学、24日(日)は大阪商業大学との交流試合が12時半から行われます。大学とは3月にやっていないので今季初ですね。また22日は紅白戦があり、秋山投手や歳内投手、建山投手、島本投手らが登板する予定とか。投手については、あくまでも予定ですので変更の場合はご了承ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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